Ax+By+mz (x,y,zは0以上の整数)で表せない正の整数の個数f(m)の挙動
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14161391349
89x+787y+mz (x,y,zは0以上の整数)で表せない正の整数の個数をf(m)とおく。
初等的な考察から m≧88*786=69168 のときは f(m)=88*786/2=34584 で一定となるが、
1≦m≦69168 のときのf(m)の挙動は複雑である。
そこで(m,f(m))の散布図を描いてみた。なんだか部分的に規則的な挙動がみられる。
数学的な話題を求めている人はその規則を考察したくなるに違いない。
[89,787は私のきまぐれによる選択であり必然性は無い]
考察
A,Bを互いに素とする。Bは奇数としておく。
0≦m<AB な整数mに対して
yB≡m (mod A)となるyを0≦y<A の範囲でとれる。
そうすると整数x,yで m=yB-xA と表されることになる。
このmから(x,y)への対応を、x=X(m),y=Y(m)と名付けておく。
点(x,y)が所属する範囲は
0≦y<A, 0≦yB-xA<ABで表される平行四辺形である
このうちx>0 に存在する格子点が、
Ax+By (x,y∈{0}∪N) で表せない整数に相当している。
その個数は (A-1)(B-1)/2 であるがこの定数をC/2と名付けておく。
そのうち、{(x,y)|0<x≦X(m)かつY(m)≦y<A}に存在する格子点が
Ax+By+m で新しく表すことができる整数となる。
そこで、m,2m,..,nm,に対して同様に長方形をくり抜くようなイメージで
Ax+By+nm で表すことができる整数の個数を評価することができる。
x<B/2のとき
f(m) = g(x,y) = C/2 - Σx(A-ny) [ n∈N, ny<A ]
x≧B/2 のとき
f(m) = g(x,y) = C/2 - Σ(A-y)(B+n(x-B)) [n∈N, B+n(x-B)>0]
m=yB-xA, x=X(m), y=Y(m)の関係である。
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x<B/2のとき
f(m) = g(x,y) = C/2 - Σx(A-ny) [ n∈N, ny<A ]
x≧B/2 のとき
f(m) = g(x,y) = C/2 - Σ(A-y)(B+n(x-B)) [n∈N, B+n(x-B)>0]
シグマを展開してそれぞれn=A/y,n=B/(B-x) を代入すると
[非整数的補間するという操作である]
x<B/2のとき
f(m)≒ C/2 - x(A-y)A / 2y
x≧B/2 のとき
f(m)≒ C/2 - x(A-y)B / 2(B-x)
・yを固定してxを1ずつ変化させるとmは公差Aで変化し、
散布図に見られる直線および分数関数曲線に対応する。
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・次に知りたいのはmを狭い範囲に絞った時のg(x,y)の下限である。
m=yB-xAを固定した時の g(x,y)の下限として考察すれば良い。
yの関数として考察する。対称的な挙動からx<B/2の場合を扱えば良い。
y=sqrt(mA/B)のときが下限に相当し、
f(m) = C/2 + sqrt(ABm) - (AB+m)/2 という式を得る。
確かに傾向をよく再現しているが、
非整数的補間の影響と思われるずれが見られる(図の赤線)
そこで補間せず整数的に調べてみると次の結果を得た:
L[n] = AB(1-sqrt(n/(n+2)))/(n+1) とおく。
L[n]はL[0]=ABから0に向かう単調数列である。
L[n]≦m≦L[n-1] のとき
f(m) = C/2 - ABn((n+1)(m/AB)-2)^2/(8n+8)
これは、放物線の断片をつなぎ合わせたものである。(図の青線)
nが大きくなると断片は小さくなり、包絡線で近似できる(図には加えてない)
f(m)=(C-AB)/2 + ((m+16AB)sqrt(m^2+16ABX)+m^2-40ABm)/64
最初に示したA=89,B=878のf(m)のグラフにおいて
下限が折れ曲がっている所に相当するのは
確かにL[1]≒14801,L[2]≒6838 である
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