10章 セグレ類

[1] $\mathbb{P}^n$における一般の(2n-1)個のベクトル場の階数がnに満たない場所は何点あるか?
(pdfには(2n-1)の代わりに2nと書いてあるが、計算が合わないので誤植と疑っている。)
(このノートでは、他にも2か所誤植を疑っている所がある。私が間違っている可能性もある。)
[2] f,gを一般な1変数(e=2d)次式とする。f,gの線形結合のうち、d個のe乗和で表せるものはいくつあるか?

[1-1] セグレ類
ベクトル束$\cal E$に対して、i次セグレ類$s_i({\cal E})$と全セグレ類$s({\cal E})=1+s_1({\cal E})+s_2({\cal E})+..$ が定義され、以下の性質がある:
・チャーン類の逆元である。$s({\cal E})c({\cal E}) = 1$
・射影化$\mathbb{P}{\cal E}$における${\cal O}_{\mathbb{P}{\cal E}}(1)$の類を$\zeta$とすると、 $\zeta^{r+i-1}$の押し出しが$s_i({\cal E})$である。
・$\cal E$を大域的に生成された階数rのベクトル束とする。
 $(r+i-1)$個の一般な切断が$\cal E$を生成するのに不足する所の類は$(-1)^i s_i({\cal E})$を掛けたものである。

#具体例
・$\mathbb{P}^n$における$r=1, {\cal E}={\cal O}(m=1)$での観察。
チャーン類は$1+m\zeta$なので、セグレ類は$1-m\zeta+m^2\zeta^2-m^3\zeta^3+..$となる。
1つの大域切断 $x^m-1$ が消えるのは $x^m=1$ の $m$箇所
2つの大域切断 $x^m-1,y^m-1$ が消えるのは $x^m=y^m=1$ の$m^2$箇所
・$\mathbb{P}^n$における$r=2, {\cal E}={\cal O}(1)+{\cal O}(2)$での観察。
チャーン類は$(1+\zeta)(1+2\zeta)$で、セグレ類を展開すると$1-3\zeta+7\zeta^2-15\zeta^3+31\zeta^4+..$となる。
2つの大域切断 $(x, x^2), (y, y^2)$ が平行になるのは$ xy^2=x^2y $で$[x:y]=[0:1],[1:0],[1:1]$の3箇所
3つの大域切断 $(x, x^2), (y, y^2), (z, z^2)$ が平行になるのは、 $[x:y:z] = [0:0:1],[0:1:0],[1:0:0],[1:1:0],[0:1:1],[1:0:1],[1:1:1]$の7箇所
(箇所とは、余次元iの多様体としての総次数として数える意図)
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[1-2] 接ベクトルのチャーン類は5章で求めた。
$\mathbb{P}^n$の接ベクトルのチャーン類は $c({\cal T}) = (1+\zeta)^{n+1}$であった。
従ってセグレ類は、$s({\cal T})=1/(1+\zeta)^{n+1}$となる。

・$\mathbb{P}^n$の(2n-1)個のベクトル場が1つの余接ベクトルで消える場所の観察。
セグレ類の展開を行うと、以下の結果を得る。
・n=1の場合
1つのベクトル場は、2点で消える
・n=2の場合
2つのベクトル場は、3直線で平行になる
3つのベクトル場は、6点で、平行になる
・n=3の場合
3つのベクトル場は、4平面で同一平面となる
4つのベクトル場は、10直線で同一平面となる
5つのベクトル場は、20点で同一平面となる
・冒頭の問題の答えとしては、(2n-1)個のベクトル場は、\binom{2n}{n}点で階数がnに満たない。

・n=1の場合、接束は1階で、${\cal O}(2)$と同型である。
実際k[x]とk[u]で張り合わせると $\partial /\partial x = \partial u/\partial x \partial /\partial u = -1/x^2 \partial /\partial u $と変換される。
大域で正則な接ベクトル場は $(ax^2+bx+c)\partial /\partial x = -(a+bu+cu^2)\partial /\partial u$ の形をしている。
例えば$x\partial /\partial x = -u\partial /\partial u $は2点 $x=0$と$u=0$で消え、$s_1({\cal T})=-2\zeta$ と合致する。

・n=2の接束のアフィン同士の変換は別の所で計算したことがあった。(chow6.html)
$[X:Y:Z] = [x:y:1] = [s:1:t] = [1:u:v]$ の座標を使って記述する。

$v_1 = (2)\partial /\partial x + (3)\partial /\partial y$
$= (-2uv+3v) \partial /\partial u + (-2v^2) \partial /\partial v$
$= (-3st+2t) \partial /\partial s + (-3t^2) \partial /\partial t$
$v_2 = (-5x^2)\partial /\partial x + (-5xy+4x)\partial /\partial y$
$= (4) \partial /\partial u + (5) \partial /\partial v$
$= (-4s^2) \partial /\partial s + (-5st+4s) \partial /\partial t$
$v_3 = (-7xy+6y)\partial /\partial x + (-7y^2)\partial /\partial y$
$= (-7u^2) \partial /\partial u + (-7uv+6u) \partial /\partial v$
$= (6) \partial /\partial s + (7) \partial /\partial t$
の3つのベクトル場を題材にして実際に観察する。
$v_1,v_2$ は、$[X=0], [Z=0], [15X-10Y+8Z=0]$ の3直線で平行になる。
$v_1,v_2,v_3$は、$[X:Y:Z]=[0:0:1], [0:1:0], [1:0:0], [0:-9:7], [24:-35:0], [-8:0:15]$ の6点で平行になる。

抽象的な計算に対して、こうやって具体例で意味を実際に確認すると安心する。

[2]の問題を説明するのは、他の章にあった話題を追う長い旅となった。
ややこしかったので、適宜、d=2,e=4を使って次元を具体的にして描写した。
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[2-1] 「包含関係因子」の類 (2.1.8)

$\mathbb{P}^d, \mathbb{P}^e$ を、2変数$s,t$の斉次d次式、斉次e次式の集合として解釈して、
$\mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e$の閉部分 $\Phi = \{(D,E) \in \mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e | E \geq D\}$ を考える。
具体的には$[u_0:u_1:u_2],[v_0:v_1:v_2:v_3:v_4] $のうち、
$(v_0s^4+v_1s^3t+..+v_4t^4)$が$(u_0s^2+u_1st+u_2t^2)$で割り切れるようなものを考える。
$\Phi$は、余次元dの多様体を成す。$\mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e$における$\Phi$の類を考える。

$(v_0s^4+v_1s^3t+..+v_4t^4) = (u_0s^2+u_1st+u_2t^2)(w_0s^2+w_1st+w_2t^2)$
となる[w_0:w_1:w_2]が一意的に存在するので、$\Phi$は$ \mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^{e-d}$に同型であることに注目する。
この同一視による閉埋め込み $\mathbb{P}^e\times \mathbb{P}^{e-d} \to \mathbb{P}^d \times \mathbb{P}^e$ を$\alpha$とおく。

$\mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e$の類としての$\mathbb{P}^e,\mathbb{P}^e$の超平面類の引き戻しを、$\sigma,\tau$とする。
$\mathbb{P}^e\times \mathbb{P}^{e-d}$の類としての$\mathbb{P}^e,\mathbb{P}^{e-d}$の超平面類の引き戻しを、$\sigma,\mu$とする。
($\sigma$を2つの意味で使っているが、$\alpha$によって2つの$\sigma$は結びつくので濫用している。)

・$\alpha$によって、$\tau$が$\sigma+\mu$に引き戻されるのが1つ目の道具となる。
一番簡単な例としては、$v_0=0$ は、$u_0w_0=0$ に引き戻される。
より一般には、$v_i$たちは$u_i$たちと$w_i$たちの双1次式で表せることから、納得できた。

・これにより未定係数法で、$\mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e$における$\Phi$の類を得ることができる。
$\Phi$は余次元dなので、$\sigma,\tau$のd次式な類を持つ。
今回は $[\Phi] = c_0\sigma^2+c_1\sigma\tau+c_2\tau^2$とおける。
$\mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e$においては、$\sigma^d\tau^e = \sigma^2\tau^4$が1点であることから、
$[\Phi]\cdot\tau^4 = c_0$ [点]
$[\Phi]\cdot\sigma\tau^3 = c_1$ [点]
$[\Phi]\cdot\sigma^2\tau^2 = c_2$ [点]
である。この左辺を評価するのに、上記を利用して$\Phi$に引き戻して計算することができる。
$\Phi$においては、$\sigma^d\mu^{e-d} = \sigma^2\mu^2$が1点であることに注意する。

具体例では $[\Phi]\cdot\tau^4$ を$\Phi$に引き戻すと、$(\sigma+\mu)^4$で、$\sigma^2\mu^2$の係数は6
$[\Phi]\cdot\sigma\tau^3$を$\Phi$に引き戻すと、$\sigma(\sigma+\mu)^3$で、$\sigma^2\mu^2$の係数は3
$[\Phi]\cdot\sigma^2\tau^2$を$\Phi$に引き戻すと、$\sigma^2(\sigma+\mu)^2$で、$\sigma^2\mu^2$の係数は1
というふうにして計算が完了する。
こうして結果は、$[\Phi]=6\sigma^2+3\sigma\tau+\tau^2$ ということになる。
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[2-2] $\Phi \to \mathbb{P}^d$は射影束として実現できる。

$\mathbb{P}^e\times \mathbb{P}^1$を考えて、その座標を、$[u_0:u_1:u_2], [s:t]$ と表記する。
「$u_0s^2+u_1st+u_2t^2=0$」で切り取られる閉部分を$\cal D$とおく。
これに対応する「イデアル層」を$\cal I_D$の完全列 $0\to {\cal I_D} \to {\cal O}_{\mathbb{P}^d \times \mathbb{P}^1} \to {\cal O_D} \to 0$ がある。

この完全列に「$\mathbb{P}^1$上の層${\cal O}_{\mathbb{P}^1}(e)$を$\mathbb{P}^e\times \mathbb{P}^1$に引き戻した層」、略式に「$x,y$の斉次e次式の層」をテンソルして、
それから、$\mathbb{P}^e$成分への射影によって、$\mathbb{P}^e$上の層の列に押し出したものを、
$0 \to {\cal F} \to H^0({\cal O}_{\mathbb{P}^1}(e))\otimes {\cal O}_{\mathbb{P}^e} \to {\cal E} \to 0$ とおく・・。
(pdfの339ページの$\cal E$を定義する式の$\alpha$は$\mu$の誤植だと思う。)

・層のテンソル積は通常は右完全のみ保つが、この層は平坦なので完全性を保つ。
・押し出しは通常は左完全のみ保つが、この場合はイデアル層が自由なので(?)、
 1次コホモロジーが消える的な感じで、右完全にもなると大雑把に理解した。

階数は、${\rm rank}{\cal F}$=$(e-d+1)$, ${\rm rank} (H^0(O_{\mathbb{P}^1}(e))\otimes {\cal O}_{\mathbb{P}^e} ) = (e+1)$, ${\rm rank} {\cal E} = d$ である。
$\mathbb{P}^e$上の層${\cal F}$の射影化が、$\Phi$に一致する。
(pdfには$\cal F$の代わりに$\cal E$と書いてあるが階数と次元が合わないので誤植を疑っている)

#地に足が付けて、例えばアフィン$[1:u_1:u_2]$上では
1つ目の項 $\cal F$ は、$k[u_1,u_2]$係数の$x,y$の斉次4次式のうち$(s^2+u_1st+u_2t^2)$の倍数であるもの
真ん中の項 $H^0({\cal O}_{\mathbb{P}^1}(e))\otimes {\cal O}_{\mathbb{P}^e}$ は、$k[u_1,u_2]$係数の$s,t$の斉次4次式全体
右の項 $\cal E$ は、その剰余環であると理解した。(自信ない)

#例えばこのアフィンでは、${\cal F}$は$k[u_1,u_2]$加群として
$w_0=s^2(s^2+u_1st+u_2t^2)$
$w_1=st(s^2+u_1st+u_2t^2)$
$w_2=t^2(s^2+u_1st+u_2t^2)$ で生成され、e-d+1=3階である。
${\cal E}$はこのアフィンでは$st^3,t^4$で代表される剰余類で生成され、d=2階である。
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[2-3] 定理9.6と今までの結果により、$\Phi$のChow環の情報から${\cal F}$のチャーン類を知ることができる。
chow9.htmlで紹介した、チャーン類の情報から射影化のChow環の積構造を知る使い方と逆の使い方である)
ホイットニーの公式により、$\cal E$のチャーン類を知ることもできる。

自明類$\zeta$は、$\mathbb{P}^e$上の層${\cal F}$を$\mathbb{P}{\cal F}$に引き戻した直線束の類であった。
$\mathbb{P}^e$の超平面類$\tau$を引き戻した$\mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e$の類を、[2-1]の$\alpha$で引き戻したもの$\tau$が、この類に一致するらしい。
そこで、$\mu$は$\mathbb{P}^{e-d}=\mathbb{P}^2$の超平面類だったので、$\mu^{e-d+1}=\mu^3=0$が成り立つ。
$\mu+\sigma$を引き戻した類が$\zeta$であることだから、$(\zeta-\sigma)^{e-d+1} = 0 $の関係式が得られる。
これを展開して、定理9.6による$\Phi$のChow環の関係式 $\zeta^{e-d+1}+c_1(\cal F)\zeta^{e-d}+c_2(\cal F)\zeta^{e-d-1}+... = 0 $と比較すると
$c_i({\cal F}) = (-1)^i \binom{e-d+1}{i}$, すなわち$c({\cal F})=(1-\sigma)^{e-d+1}$ を得る。
ホイットニーの公式から、$c({\cal E})=1/(1-\sigma)^{e-d+1}$ を得る。

#e-d+1=3の具体例では、
$c({\cal F}) = (1-\sigma)^3$
$c({\cal E}) = 1/(1-\sigma)^3 = 1+3\sigma+6\sigma^2+10\sigma^3+..$
d=2では$\sigma$の3次以上は消える。
最高次数$c_2({\cal E})=6\sigma^2$の意味を5章のチャーン類の意味で確認できる:
例えば$(s+a_1t)(s+a_2t)(s+a_3t)(s+a_4t)$で代表される剰余類を与える$\cal E$の大域切断は、
この4つの因子から2つの因子を選んでできる2次式に相当する6点で消える。

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[2-4] 割線多様体
(10章で使われている変数dとmの代わりに、上記との統一のために変数eとdを使う。)

$C$を$\mathbb{P}^e$の有理曲線とする。具体例としては$[s^4:s^3t:s^2t^2:st^3:t^4]$でパラメータづけられる曲線を考える。
2d-1≦eを満たすdに対して、$C$上のd点を通る(d-1)次元平面が通る点の集合$\Phi'$が(2d-1)次元の多様体をなす。その次数を知りたい。

有理曲線$C$上の点をパラメータづける$\mathbb{P}^1$の座標変数を$[s:t]$とおく。
$\mathbb{P}^1$のd点の組Dに対して、d個の因子の積$(t_1s-s_1t)(t_2s-s_2t)=u_0s^2+u_1st+u_2t^2$を考えることにより、
直線Cのd個の点$[s:t]=[s_1:t_1],[s_2:t_2]$を、$\mathbb{P}^d$の点$[u_0:u_1:u_2]$と結びつけることができる。

$\Phi=\{(D,p) \in \mathbb{P}^d\times \mathbb{P}^e$ | 点pがDに相当するd点を通る(d-1)次元平面上にある} を考える。
$\Phi$の$\mathbb{P}^e$への射影が次数を求めたい$\Phi'$である。

$\mathbb{P}^e$の点$p=[v_0:v_1:v_2:v_3:v_4]$ を、双対の双対という視点で解釈する:
すなわち$[V_0:V_1:V_2:V_3:V_4]\in P^{e*}$ に対応する超平面を、スカラー $V_0v_0+V_1v_1+V_2v_2+V_3v_3+V_4v_4$ に送る1次形式として理解する。
$[V_0:V_1:V_2:V_3:V_4]$ が表す超平面が、直線Cのd個の点$[s:t]=[s_1:t_1],[s_2:t_2]$を含む条件は、
$V_0v_0+V_1v_1+V_2v_2+V_3v_3+V_4v_4 = V_0s^4+V_1s^3t+V_2s^2t^2+V_3st^3+V_4t^4$が $(t_1s-s_1t)(t_2s-s_2t)$ で割り切れると解釈できる。

以上の解釈により($v$が双対座標$V$に変わる違いを除いて)この$\Phi$は[2-1]で描写した$\Phi$の定義と一致する。

従って、[2-3]により、$\Phi$は$\mathbb{P}^e$上のベクトル束$\cal F^*$の射影化として解釈できる。
この視点により、$s_d(\cal F^*) = \binom{d-e+1}{d}$ が求める答えになる。
(冒頭の2番目の性質により、これが$\zeta^{(d-e+1)+d-1} = \zeta^{e}$の押し出しの次数に相当する)
(ここのあたり、実はまだ完全には納得できていなくて自分をごまかしている)

#具体例での観察
$\mathbb{P}^4$のねじれ4次曲線の2点を結ぶ直線の通る集合$\Phi'$は、$\mathbb{P}^4$の$(2d-1)=3$次元多様体を描く。
その次数とは、一般な余次元$(2d-1)$の平面、この場合は直線、との交点数として解釈できる。
$[s:t]=[1:1],[2:1]$に相当する2点$[1:1:1:1:1]$と$[16:8:4:2:1]$を結ぶ直線上にある点$[17:9:5:3:2]$を参考に、
$[17a:9a:b:3a:2a]$で表される直線と$\Phi'$の交点を観察することにした。
$[s:t]$と$[s':t']$に相当する2点を結ぶ直線が$[17:9:b/a:3:2]$を通るとおくと、
$s^4+s'^4 = 17$, $s^3t+s'^3t' = 9$, $st^3+s't'^3 = 3$, $t^4+t'^4 = 2$ という4変数の連立方程式を得る。
ただし、すべての変数に$\sqrt{-1}$を何回か掛けたものと、 $(s,t)$と$(s',t')$を入れ替えたものは、同じ2点の組を表すことに注意する。

適当に終結式を計算して解を数値的に求めて解の妥当性を吟味するようなことをして、数値的に
$[s:t],[s':t'] = [2:1], [1:1]$,
$[s:t],[s':t'] = [2.0088:1.1685], [0.92:-0.6066]$,
$[s:t],[s':t'] = [0.4976+1.9342i : -1.12875-0.28709i]$
の3組が方程式を満たすことを観察した。
ちなみに下2つの組はwolfram alphaによると解析的には次のように表せるらしい:
$s^4 = 17/2 - 1/2 \sqrt{\pm 44546 \sqrt{277}/1535 \pm 369407/1535}$
$t^4 = 1+\sqrt{\pm 289 \sqrt{277}/3070 \pm 503/614}$
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[2-5] $f,g$を一般な1変数$e=2d$次式とする。$f$と$g$の線形結合のうち、d個のe乗和で表せるものはいくつあるか?

1変数e次式を考えることは、2変数の斉次e次式を考えることと同等である。
e乗和で表せる多項式を、$e$次多項式のなすベクトル空間$\mathbb{P}^e$における有理曲線として解釈できる。
$(sx+ty)^e$ の係数が、$[s:t]$でパラメータづけられているという解釈である。

#斉次多項式$v_0x^4+v_1xy^3+v_2x^2y^2+v_3xy^3+v_4y^4$(のスカラー倍の違いを無視したもの)を 点$[v_0:v_1:v_2:v_3:v_4] \in \mathbb{P}^4 $ と解釈する。
そうすると、e乗和な多項式は、$[v_0:v_1:v_2:v_3:v_4] = [s^4:4s^3t:6s^2t^2:4st^3:t^4]$でパラメータづけられる曲線に対応する。

従って、d個のe乗和で表される多項式は、この曲線上のd点を含む平面上の点ということになる。
すなわち、[2-4]で考えた割線多様体$\Phi'$である。
$e=2d$という条件によって、$\Phi'$の余次元が1となっている。
$f$と$g$の線形結合は、$\mathbb{P}^e$における直線に対応するから、それと$\Phi'$の交点数は$\Phi'$の次数であり、
すなわち[2-4]の結果$\binom{e-d+1}{d}=\binom{2d-d+1}{d}=d+1$が答えを与える!

2020/12/4

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