2章メモ「First examples」

前回のノートで紹介した資料の2章(タイトルがFirst examples)をだいたい読んだ。 「動機付け問題」が6つあって、そのうち2つについて自分の言葉でまとめた。 それから、章末の練習問題をいくつかを除いて解いた。 これらは、Chow群の言葉を使って身近な問題(数え上げ幾何学?)を解決できる良い例であった。 [A] A(x,y,z),B(x,y,z),C(x,y,z)を一般の斉次3次式とする。 [A(x,y,z):B(x:y:z):C(x:y:z)] = [x:y:z] となるような[x:y:z]はいくつあるか? [B] 一般の3変数X,Y,Zの斉次3次式F,G,Hの線形結合aF+bG+cHが1次式と2次式に分解できるような比a:b:cはいくつあるか。 ・複素数係数で考えている ・「一般の」とは特別な関係にないというような意味であるが、 正確にはパラメータ空間での稠密なザリスキ開集合においてという意味である。
[A-1] これはP^2からP^2へのA,B,Cで定義されたd次写像と、恒等写像の、グラフの交わりとして解釈できる。 すなわち、4次元多様体P^2×P^2={[a:b:c],[x:y:z]}の2つの2次元部分多様体 M: ([a,b,c],[A(a,b,c),B(a,b,c),C(a,b,c)]) で媒介変数表示されるもの N: ([a,b,c],[a:b:c]) で媒介変数表示されるもの の交わりとして解釈する。 これを、Chow群を使って計算できる。 [A-2] ・P^m×P^nのような射影空間のChow群について、  一般に多様体の直積X×YのChow群はXのChow群とYのChow群の直積とは限らないが、  P^n×P^mの形の時にはそれぞれのChow群の直積となる (資料2.1.4) (P^mの超平面)×(P^n全体)という閉部分多様体に相当するαと、 (P^m全体)×(P^nの超平面)という閉部分多様体に相当するβで生成される。 環としては、Z[α,β]/(α^{m+1},β^{n+1}) と記述されることになる。 α^mβ^nが、[1点]に相当するChow群となる。(P^m×P^nでもすべての点は有理同値である) ・写像f:P^r→P^sのグラフを、P^r×P^sのr次部分多様体として解釈できる。 (P^1→P^1のグラフが普段見ることの多いグラフに相当する。) fの次数dは写像を記述する多項式の次数であり、一般の点y∈P^s上のファイバーf^-1(y)の次元である。 ・命題2.12によると、このグラフのChow群は、Σ[i=0..r]d^i*α^iβ^{s-i} と記述される 従って[A-1]で記述したM,Nに対して [M] = α^2+dαβ+d^2β^2, [N] = α^2+αβ+β^2 であることが分かる。 [M][N] = (α^2+dαβ+d^2β^2)(α^2+αβ+β^2) ということになるが、 α,βは3次以上の項が消えてα^2β^2の項だけが残り、(d^2+d+1)α^2β^2を得る。 すなわちMとNが横断的に交わるならば交点は(d^2+d+1)個であり、これが問題の答えとなる。
[B-1] 3次式、あるいは射影平面P^2における(非特異と限らない)3次曲線は、10個の係数で記述される: c111*X^3+c222*Y^3+c333*Z^3+c112*XXY+c223*YYZ+c331*ZZX+c122*XYY+c233*YZZ+c311*ZXX+c123*XXY+c223*YYZ+c331*XYZ・・★ 定数倍の違いは同一視されるから、これは、9次元射影空間P^9でパラメータづけられていると解釈できる。 パラメータ空間としてのP^9を考察するのがこの話題となる。 ・P^9のうち特異点を持つ(3次曲線に対応する)ものが8次元閉部分多様体をなす。 (ある定数a,b,cに対して[X:Y:Z]=[at:bt:ct]とおくとt=0の重解となるもの) (従って非特異3次曲線は9次元開部分多様体をなす) ・さらに、そのうち2次式と1次式に分解するものは7次元閉部分多様体をなす。  これがこの問題のテーマとなる。 ・3重接線を持つものは別の7次元多様体をなす。 (ある定数a,b,cに対して[X:Y:Z]=[at:bt:ct]とおくとt=0の3重解をもつもの) ・3つの1次式に分解するもの(「延長三角形」) ・2次式と1次式に分解してそれらが接するもの ・1点を共有する3つの1次式に分解するもの(「アスタリスク」) などの閉部分多様体も考えられ、練習問題でいくつか扱う。 ------ [B-2] 1次式と2次式に分解できる3次式がなす7次元部分多様体を考える。 (a1*X+a2*Y+a3*Z)*(b11*XX+b22*YY+b33*ZZ+b12*XY+b23*YZ+b31*ZX) の展開を考えることで、写像 P^2×P^5 → P^9 の像と解釈できる。具体的には: c111=a1*b11 c222=a2*b22 c333=a3*b33 c112=a1*b12+a2*b11 c223=a2*b23+a3*b22 c331=a3*b31+a1*b33 c113=a1*b31+a3*b11 c221=a2*b12+a1*b22 c332=a3*b23+a2*b33 c123=a1*b23+a2*b31+a3*b12 7次元多様体P^2×P^5のうち、6次元をなす閉集合において、2次式が因数分解される。 残りの7次元開集合(従って稠密)では、2次式部分は既約となる。   この2次式部分が既約な7次元開集合は(因数分解の一意性により)P^2×P^5 → P^9 で単射で移る。 残りの6次元閉集合は(3つの因子の並び替えの自由性により)6対1に移る。 (いずれにしても、個の観察から像が7次元多様体であることがわかる。) #因数分解されるものが6次元をなすという事実は、  P^5のうち、2次式が因数分解されるものに相当する空間が、  同様の議論でP^2×P^2→P^5の2対1に移った像で4次元ということから分かる。 この像をΓと名付けておく。Γの「次数」が問題の答えとなる。なぜなら: P^9のChow群は、超平面をHとすると、余次元nの成分は[H]^nで生成されるのであった。 Γの次数をdとすると[Γ]=d*[H]^2ということになる。 aF+bG+cH=0で表される3次曲線は、P^9の次数1の2次元多様体である。(P^2→P^9の1次写像の像) 従ってそのChow群は[H]^7であり、[Γ]との積はd*[H]^9となり、これは[d点]である。 ------ [B-3] 資料本文2.2.1の説明:push-pull公式(1.3.6)を使う方法。 ・多様体の射f:Y→Xがあるとき、 Xの閉部分体Zのうち、ZのXにおける余次元codim_X(Z)と、Zの逆像のYにおける余次元codim_Y(f^-1(Z))が等しいものに対して、 対応するChow群の写像f^*: [Z]→[f^-1(Z)]がうまく定義できて、環準同型をなす。引き戻しと呼ぶ。 (参考:fが平坦射のときには、Zに関する条件が常に満たされる) ・fが固有射のとき(具体的には例えば閉埋め込みのとき) 任意のYの閉部分体Wに対してf_*: [W]→[f(W)]がうまく定義できて、環準同型を成す。押し出しと呼ぶ。 push-pull公式は、XのChow群の元α'とY'のChow群の元β'に対して f_*(f^*(α')・β') = α'・f_*(β')が成り立つことを主張する。 P^2×P^5→P^9のような閉埋め込みの像の次数を求めるには、その次元をmとして(従って今回はm=7)、 [H]をP^9の超平面類として、α'=[H]^m,β'=P^2×P^5で公式を適用すると良い。 ・f^*が環準同型となる事実により、f^*([H]^7) = (f^*[H])^7 ・β'は環の単位元なので、左辺は(f^*[H])^7の押し出しである。 ・右辺は[H]^7・[Γ] = d*[H]^9 であった。 (この計算方法はあとの練習問題でも繰り返し使う。) f^*[H]を求める必要があるが、これはc111=a1*b11のようにcたちはa,bたちのそれぞれ1次式であることから、 [A-2]のようにα,βを名付けておくと、f^*[H] = α+βである。 従って、Γの次数は、(α+β)^7で与えられる。 αはP^2のChow群だからαの3次以上は消え、同様にβの6次以上は消えるから、α^2*β^5だけが生き残り、係数は21である。 1点の押し出しは1点だから、α^2*β^5の押し出しは[H]^9である。 こうしてpush-pull公式の左辺は 21*[H]^9であり、右辺がd*[H]^9であるから、d=21を得る。 ---- [B-4] 資料 練習2.42-44 の方針 特定の点を通る3次曲線は、パラメータ空間ではP^9の超平面(=次数1の8次元多様体)をなす。 (★式に特定の[X:Y:Z]を代入すればcたちの1次式になるから) ということは、一般の7つの点を通る3次曲線も、パラメータ空間で、次数1の2次元多様体をなす。 #明示的な例 aXY(X-Y) + bYZ(Y-Z) + cZX(Z-X) = 0 で表される3次曲線は、7つの点 [1:0:0],[1:1:0],[1:1:1]などの7つの点を通る。 Γ=d*[H]^2 とおくと、Γに[H]^7を掛けたものを調べればdが分かるという方針である。 そこで、7つの点を通るような、「1次式と2次式に分解できる3次式」がいくつあるかを考える。 これは、2点を通る直線が一意的に存在し、5点を通る2次曲線が一意的に存在するから、 7つの点を2つと5つに分ける分け方の個数である。7!/2!5!で21個である。 #この方法を正当化するには、対応する7つの超平面がΓと横断的に交わることが必要である。  それが練習2.42であった。 「1次式A(X,Y,Z)と2次式B(X,Y,Z)に分解できる3次式」に相当するΓの点Fを1つ取る。 AとBは2点で交わるのでp,qとおく。2点p,qを通る3次曲線は、P^9の1次の7次元多様体をなす。 実は、これが、P^9におけるΓの点Fにおける「接空間」である。 これを示せというのが練習問題2.42であった。 /* 考察。p=[p1:p2:p3], q=[q1:q2:q3] とおく。 p,qを通る7次元多様体は次の2つの1次方程式で定義される: c111*p1^3+c222*p2^3+c333*p3^3+c112*p1p1p2+...+c123*p1p2p3=0 c111*q1^3+c222*q2^3+c333*q3^3+c112*q1q1q2+...+c123*q1q2q3=0 点Fを、3次曲線(a1*X+a2*Y+a3*Z)*(b11*XX+b22*YY+b33*ZZ+b12*XY+b23*YZ+b31*ZX) に相当する点とおく。 係数の関係式により、例えばΓのa1を少し増加させた方向の接ベクトルは、(b11,0,0,b12,0,b33,b31,b22,0,b23)da1 とおける。 この方向が、先の2つの1次方程式を満たすことから、候補の接空間に居ることが確認できる: b11*p1^3 + b12*p1p1p2 + b33*p1p3p3 + b31*p1p1p3 + p22*p1p2p2 + b31*p1p1p3 + b23*p1p2p3 = 0 が成り立つ。 (これは、p1でくくれば、pが2次曲線(b11*XX+b22*YY+b33*ZZ+b12*XY+b23*YZ+b31*ZX)上の点であることに帰着する) 同様に、b11を少し増加させた方向の接ベクトル:(a1,0,0,a2,0,0,a3,0,0,0)等も候補の接空間に居ることが確認できる。 */ ----
章末の練習問題 練習2.23 v:P^2 → P^5 をVeronese写像 [a:b:c] -> [aa:bb:cc:ab:bc:ca] とする。 d次曲線C⊂P^2の像は次数2dである。 より一般に、d次Veronese写像v:P^n→P^Nによる次数e次元kの部分多様体Xの像の次数はd^k*eである。 /* push-pull公式を考える。 P^5の超平面Hの引き戻しv^*(H)は、P^2の2次曲線となるから、 v^*[H]・[C] は [2d点]となる。その押し出しは[2d点]となる。 push-pull公式により、[v(C)][H] = [2d点] となるからv(C)の次数は2dである。 一般の場合も同様に、(v^*[H])^k・[X] = [d^k*e点] であることから結果を得る。 この計算は[B-3]で行ったのと同じ計算である。 */ 練習2.24 σ:P^r×P^s→P^{(r+1)(s-1)-1} をSegre写像としてX⊂P^r×P^sを余次元kの部分多様体とする。 Chow群の元[X]は、P^rの超平面に由来する類αとP^sの超平面に由来する類βのk次式と書ける。 [X] = Σ[i=0..k] c_iα^{k-i}β^i とおく。 (a) c_i≧0 を示せ (b) σ(X)の次数を計算せよ (c) Λ⊂σ(P^r×P^s)となるような線形部分空間Λは、P^rとP^sのどちらかのファイバーの形をしている。 /* Segre写像は、[a0:a1:..:ar]×[b0:b1:..:bs]を [aibj] たちに送る写像である。 例えばr=2,s=1の場合 [a0:a1:a2]×[b0:b1] → [a0b0:a0b1:a1b0:a1b1:a2b0:a2b1] a0,a1,a2を固定した時の像やb0,b1を固定した時の像は線形空間となる。 (c)は、σ(P^r×P^s)に含まれる線形写像がこれらの形をしたもの(の部分空間)のみであることを主張している。 考察に入る。 αはP^rの超平面類に由来するからα^r=[1点]であり、rより大きい冪は消える。 そこで、[X]α^{r-(k-i)}β^{s-i}を考えれば、c_i[1点]となる。 ここで、定理1.7「クライマンの定理」がある。 標数0の代数閉体の代数多様体Xに推移的に作用する群Gがあって代数群をなしているとき、 ・任意の部分多様体A,B⊂Xに対して、gAとBが横断的に交わるようなg∈Gが存在する。 ・Gがアフィン変換であれば、Chow群の元として[gA]=[A]である これにより、[X]に横断的に交わるα類を{r-(k-i)}個、β類を(s-i)個とってきて積を交点数として解釈できることが保証される。 従ってc_i≧0であることが言える。 (b)について: いつものように超平面類[H]の引き戻しを考えると(ai,bjそれぞれについて1次式だから)α+βである。 Xの次数を計算するには、[X](α+β)^{r+s-k}を考えれば良い。 展開してα^r*β^sの係数だけが生き残る観察から、結果はΣ[i=0..k] C(r+s-k,r-i) c_iとなる。 (c)について: σ(X)の次数が1となるのは、C(r+s-k,r-i)=c_i=1となる項が1つあるときに限られる。 それは、i=rまたはi=k-sのときである。 i=rのときはP^rの1点上のファイバー、i=k-sのときはP^s上の1点上のファイバーである。 */ 練習2.25 クレモナ変換 φ:[x:y:z]→[1/x:1/y:1/z]=[yz:zx:xy]を考える。 P^2×P^2におけるφのグラフに相当するChow群を求めよ。 /* [a:b:c]×[x=bc:y=ca:z=ab]でパラメータづけられる2次元多様体(従って余次元も2)である。 これは、2つの方程式ax=by, by=cz で切り取られる。 従って、それぞれのP^2の超平面類をα,βとおくと、(α+β)^2 となると考えた。 (ax=byで切り取られたものとby=czで切り取られたものが横断的に交わる) ところが命題2.12によると、φは2次写像に見えるから、α^2+2αβ+4β^2であるように思えた。 これは、命題2.12の適用条件を満たしていないことによる: φはP^2→P^2全体の写像として定義されていない:例えば[a:b:c]=[1:0:0]の行先が定義されない。 次の練習の方針では、 直線が2次曲線に移ることからαβの係数が2であることに対応し、 像が全体であることからβ^2の係数が1であることに対応すると考えた。 */ 練習2.26 P^2×P^2→P^8をSegre写像とする。そのグラフのChow群を求めよ。 /* 命題2.12に至る過程を応用する練習である。 Segre写像とは[a:b:c]×[x:y:z]→[ax:ay:az:bx:by:bz:cx:cy:cz]で、像は4次元である。 P^2,P^2,P^8の超平面類をα,β,γとおく。グラフをΓとおく。 [Γ] = Σ[i=0..2,j=0..2] c_ij*α^i*β^j*γ^(4-i-j) とおける。 係数c_ijを求めるには、[Γ]・α^(2-i)・β^(2-j)・γ^(i+j)の点の個数を考察すれば良い。 ・c_22は像の次数で、[B-3]の方法でγの引き戻し=α+βを4乗したときのα^2β^2の係数で6である。 ・c_12はαで切り取られた部分の像(3次元)で、α(α+β)^3の展開から3である。 ・c_11は同様にα^2(α+β)^2の展開から2である。 このようにして、 [Γ] = 6α^2β^2 + 3αβ^2γ + 3α^2βγ + 2αβγ^2 + (α+β)γ^3 + γ^4 を得た。 */ 練習2.27 s:P^2×P^2 --> P^2* を次のように定める: 異なる2点p,q∈P^2に対して、pとqを通る直線を対応させる。 sのグラフのChow群を求めよ。 /* 今度はsは前の練習と違って単射でない。 超平面類を順にα,β,γとおく。始域が4次元だからグラフは4次元である。 [Γ] = Σ[i=0..2,j=0..2] c_ij*α^i*β^j*γ^(4-i-j) とおける。 今度はγも3次以上で消えるからi+j≧2だけが有効である。 ・c_22は像の次数で、全射だから1である。 ・c_12はαで切り取られた部分の像の次数である。  それは特定の点を通る直線で、[B-4]のように超平面なので次数1である。 ・c_11は1点の像の次数なので1点で1である。 以上から [Γ] = α^2β^2 + αβ^2γ + α^2βγ + αβγ^2 を得た。 */ 練習2.28 X⊂P^nを通常2重点を1つ持ち、他で滑らかな次数dの超曲面とする。Xの双対曲面X^*の次数は何か? /* X^*には、X^*と2点で接する超平面が存在する。 本文2.1.3では、Xが特異点を持たない場合は双対曲面の次数はd(d-1)^{n-1}と述べられている。 具体例:X: xy^2=x^3+x^2z の場合、 [x:y:z] --> [3xx+2xz:2yz:x^2+y^2] 特異点[0:0:1]の行先は定義されない。 形式的に考えると、[0:0:1]に収束する点の行先は、[±1:1:0]に収束する。(y/x→±1による) [3x(x/y)+2(x/y)z:2z:x(x/y)+y] Xを特異点でブローアップしたX~を考える。g:X~→X*を考える。 X~のChow群は、特異点を通らない超平面類をα、特異点を通る超平面類をβとして、e=α-βとおくと、 α^n+(-e)^n = 0, αe=0 を満たし、[X~] = dα-2eとおける。 (特異点の外では[X~]α^{n-1} = dα^n, 特異点との交わりは2点:[X~]e^{n-1} = -2(-e)^nだから) X*の超平面の引き戻しg^*(H)はd-1次曲面である。 gを表す多項式は特異点を(1次の)共通零点に持つからg^*(H)は特異点を(1回?)通る。 従って[g^*(H)] = (d-1)α-eとなる。 [X~][g^*(H)]^{n-1}を展開するとd(d-1)^{n-1}α^n+2(-e)^n = d(d-1)^{n-1}α^n-2α^n となる 従って、答え d(d-1)^{n-1} - 2 を得た [n=2の場合はhttps://en.wikipedia.org/wiki/Pl%C3%BCcker_formulaと合致した] */ 少し飛ばす。(重複度などの話題) 練習2.32 ψ={(p,q,r)∈P^n×P^n×P^n|p,q,rが共線} とおく。 (a)ψは余次元n-1の閉部分多様体である。 (b)ψのChow群を決定せよ。 /* 成分を並べた3×(n+1)行列のrankが2以下であることが条件となる。 (n-1)個の3次正方行列の行列式が0であることで条件式を書ける。 それぞれの超平面類をα,β,γとするとその類は(α+β+γ)^{n-1}となる。 ・・と思ったが、 pが直線上、qが1点のとき、rは平面上にあることから [ψ]α^{n-1}β^nγ^2 = 1 のはずである。すなわち[ψ]のαγ^{n-2}の係数が1。 しかし(α+β+γ)^{n-1}ではαγ^{n-2}の係数がn-1であり一致しない。 ・・分かった。 (n-1)個の3次正方行列の行列式が0である条件式を連立させると、 p=qで表される部分が、(n-1)重の重複度を持つ。(交わりが横断的でない。) それを考慮すると 答えは (α+β+γ)^{n-1} - (n-2)[ (α-β)^n/(α-β) + (β-γ)^n/(β-γ)+ (γ-α)^n/(γ-α) ] と思った。 */ 練習2.33 F,GをP^rからP^rへのそれぞれd次,e次の正則な写像とする。 F(x)=G(x)となるxはいくつあるか? /* [A-2]のグラフの交わりの方法で、(d^{r-1}+..+d+1)(e^{r-1}+..+e+1)だと思う? */ 練習2.34 ψを(P^2)^4の共線な4点p,q,r,sからなる部分多様体とする。 サイクルと交わらせた交点を考察する未定係数法を使って[ψ]を求めよ。 /* 超平面類をα,β,γ,δとおく。 α^aβ^bγ^cδ^dの係数をk_abcdとおく。 k_0011=1:(2点を一般の位置にとると残り2点はその直線上にある) k_0002=0:(3点を一般の位置にとると共線でない) を得れば良い。 */ 練習2.35 (前の続き) 前の練習2.34の結果を練習2.32を応用して得よ。 p,q,rが共線であることとp,q,sが共線であることの連立として考察せよ。 /* p,q,rが共線である多様体は(α+β+γ) p,q,sが共線である多様体は(α+β+δ) (α+β+γ)(α+β+δ) = α^2+αβ+β^2 + (前の2.34の答え) となる。 この余計な分は、p=qに相当するα^2+αβ+β^2が2重に現れることによる。 それがα^2+αβ+β^2であることは恒等写像のグラフとして定理2.12から分かる。 */ 練習2.36 A,B,Cを一般の関係にある同型写像:P^2→P^2とする。 p,A(p),B(p),C(p)が共線になるようなp∈P^2はいくつあるか /* 1×A×B×C: P^2 → P^2×P^2×P^2×P^2 の像は2次元で、 α^aβ^bγ^cδ^dの係数をk_abcdとおくと、 k_1122=1(P^2の直線とそのAによる像は1点で交わる) k_0222=1(1点の像は1点) である。これと練習2.34の結果を掛けたもののα^2β^2γ^2δ^2の係数を見れば良い。 4変数から2変数選ぶ方法で、答えは6である。 */ 少し飛ばす。(ブローアップ等の話題) P^2の3次曲線はP^9でパラメータづけられるのであった。 練習2.45,46 3つの1次式に分解するもの(「延長三角形」)は6次元をなす。 その接平面について[B-4]と同様の考察ができて、 6点を通る「延長三角形」を数えることで、その次数を求められる: 6点を2点ずつに分ける方法は15通りある。 練習2.47,48,49 「アスタリスク」がパラメータ空間で5次元多様体をなし、次数が15であること。 5点を通るアスタリスクは、5点を2点と2点と1点に分けて、 2点を通る直線, 2点を通る直線, それらの交点ともう1点を通る直線, で記述される。 この分け方は15通りである。 練習2.50 3重直線はパラメータ空間で2次元多様体を成し、次数が9であること。(標数≠3とする) これは3次のVeronese写像P^2→P^9の像であることから得られる。 [a:b:c] → [aaa:bbb:ccc:3aab:3bbc:3cca:3abb:3bcc:3caa:6abc] 練習2.51 2重直線と直線に分解できる3次式は4次元多様体Xを成す。 [a:b:c],[x:y:z] → [axx:byy:czz:2axy+bxx:2byz+cyy:2czx+azz:2axz+cxx:2bxy+ayy:2cyz+bzz:2ayz+2bzx+2cxy] の像である。 像の次数は練習2.23等と同様にして考えれば良い: (α+2β)^4 のα^2β^2の係数を見れば良い:答えは24である。 練習2.52 前の練習を、[B-4]の方針で考えると間違った結果を得る。説明せよ。 4点を通る直線2組は区別をつけると6通り。 すなわちX・[H]^4 は[6点]である。 たぶん重複度4みたいな感じだと思うけど説明できない。 Xの接空間が次元が余計にある? 練習2.53,54 2次曲線と直線に分解され、それらが接するような3次曲線がなす6次元多様体の次数。(標数を0とする) それに相当するP^2×P^5の部分多様体(の閉包)は余次元1である。そのChow群を考える。 [a1:a2:a3], [b11:b22:b33:b12:b23:b31] 接する条件は、2次の判別式:a,bの双2次式で書けるからChow群は2α+2βの形となる。 いつもの方法で(2α+2β)(α+β)^6のα^2β^5の係数が答えであり、従って42である。 P^2の4次曲線のパラメータ空間はP^14である 練習2.55 既約でない4次曲線がなす多様体をΣとする。その既約成分とそれぞれの次元と次数を求めよ。 /* 1次式と3次式に分解されるものΣ_1と、2次式と2次式に分解されるものΣ_2がある。 Σ_1はP^2×P^9の像であり、11次元で次数は11!/2!9!=55である。 Σ_2はP^5×P^5の像であり、10次元で次数は(10!/5!5!)/2=126である。 */ 練習2.56 4直線に分解する4次曲線がなす多様体の次元と次数 /* 8次元で次数は(8!/2!2!2!2!) / 4! = 105 */ 練習2.57 1点で交わる4直線に分解する4次曲線がなす多様体の次元と次数 練習2.34の結果を利用せよ。 /* 6次元で、次数は(ab+bc+cd+da+ac+bd)(a+b+c+d)^6を展開したaabbccddの係数/4!で45 */ 練習2.58 一般の6点を通る、1点で交わる4直線の個数を数えることにより前の問題の答えを得よ /* 2点を通る直線L1、 2点を通る直線L2、 L1とL2の交点と1点を通る直線、 L1とL2の交点と1点を通る直線、 として考える。6点を2,2,1,1に分ける方法は45通りであり前の答えと合致する。 */ 1点で交わるn直線に分解するn次曲線については7.3.4に答えがあるらしい。 後は空間曲線についての問題がもう少しある。 練習2.59 S⊂P^3をd次の滑らかな曲面、L⊂Sを直線とする。 Lを含む一般の平面HとSの交わりを考えることで、SのChow群における[L]の自己交点数を計算せよ。 /* f:S→P^3を閉埋め込みとする。push-pull公式により f_*(f^*[H]・[L]) = [H]・[L] = [1点] Hの引き戻しは直線Lと(d-1)次曲線Cに分解する。 [L][L]+[C][L]=1, [C][L]=d-1より、[L][L]=2-dを得る。(本文の結果と合致) */
2020/10/31

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