曲面での標準因子とセール双対の観察

[1] P^2の場合
[2] 1点でブローアップされたP^2の場合
[3] より一般なヒルツェブルフ曲面
[4] P^3のn次曲面x^n+y^n+z^n+w^n=0

標準因子と呼ばれる因子ωと標準層K=O(ω)があって、
セール双対 h^i(F) = h^(n-i)(F~@K) が成り立つ。
(F~はFの双対層、@はテンソル積の記号の代用)

標準層は、余接ベクトルのなす余接層Ωの「行列式層」K=det(Ω)として求められる。
これはいわゆる微分形式的なもので初等的な方法で計算できる。
(n=1の場合は「行列式層」の工程は必要ない。)
行列式層は、外積代数を使って定義される。


[1] P^2の標準因子とセール双対の観察 3つのアフィン: U0: z≠0, (x[02],x[12]) U1: x≠0, (x[10],x[20]) U2: y≠0, (x[01],x[21]) 略式座標で: U0: (x,y) U1: (y/x,1/x) U2: (x/y,1/y) によってP^2を被覆する。 --- U0上の a*dx+b*dy と U1上の A*d(y/x)+B*d(1/x) が貼り合わさるときの関係を計算する: d(y/x) = (xdy-ydx)/ xx, d(1/x) = (-dx)/xx の関係があるので、 これを解くと a=-Ay/xx-B/xx, b=A/x, A=bx, B=-(ax+by)x A*d(y/x)+B*d(1/x) = ... = b/(1/x) *d(y/x) + (-a-b(y/x))/(1/x)^2 *d(1/x) --- そういうわけで余接層Ωは次のような2階の局所自由層: U1で[a,b]なものは次のように変換される: U2で[b/(1/x), (-a-b*(y/x))/(1/x)^2] U3で[a/(1/y), (-a*(x/y)-b)/(1/y)^2] 行列式層はdx∧dy的なもので、結果的には dx∧dy = (∂x/∂X ∂y/∂Y - ∂x/∂Y ∂y/∂X)*dX∧dY のような変換を受ける。 あるいは先の結果から、adx∧bdyは、 [-a/(1/x)^2*d(1/x)]∧[b/(1/x)*d(y/x)-b(y/x)/(1/x)^2*d(1/x)] = -ab/(1/x)^3*d(1/x)∧d(y/x) と計算される。(展開してdX∧dX=dY∧dY=0を使う。) そういうわけでK=det(Ω)は次のような1階の局所自由層: U1で A なものは次のように変換される: U2で A/(1/x)^3 U3で A/(1/y)^3 --- ・局所自由層O(m)をこの文脈で描写すると: U1で A なものが次のように変換される層と描写できる: U2で A*(1/x)^m U3で A*(1/y)^m (例えばm=1のときa=1, a=x, a=y のとき(のk倍)が大域切断を与える。) そういうわけで、この場合はK=det(Ω)はO(-3)に同型である。 これは、P^2のO(m)に対する[h0,h1,h2]の次の挙動から期待される通りである: m=-4: [0,0,3] m=-3: [0,0,1] m=-2: [0,0,0] m=-1: [0,0,0] m=0: [1,0,0] m=1: [3,0,0] m=2: [6,0,0]
[2] ブローアップされた射影平面の場合 前回の略式座標によるアフィン被覆を使う: U1:(y/x,x) U2:(x/y,y) U3:(y/x,1/x) U4:(x/y,1/y) ・層の描写:それぞれのアフィンの正則関数を変換関数で変換するほうの視点を使う。 Ωの計算: U1で a*d(y/x) + b*dx U2で (-a/(x/y)^2-by/(x/y)^2)*d(x/y) + b*(x/y) * dy U3で a*d(y/x) - b/(1/x)^2*d(1/x) U4で (-a/(x/y)^2-b/(1/y)*1/(x/y)^2)*d(x/y) - b*(x/y) * 1/(1/y)^2 d(1/y) が貼り合わさる (実用的にU1からU2の変換を計算するには例えば d(x/y) = dx/y - x * dy/y^2 なので U1の式に dx = y*d(x/y) + (x/y)dy を代入してさらに d(x/y) = -d(y/x)/(y/x)^2 とおけば良い。) K=detΩの計算: U1で A U2で A/(x/y) U3で A/(1/x)^2 U4で A/(x/y)/(1/y)^2 貼り合わさる切断を[F(U1),F(U2),F(U3),F(U4)]の形式で書く: ω: [1,1/(x/y),1/(1/x)^2, 1/(x/y)*1/(1/y)^2] O(m[C]):[1, 1, (1/x)^m, (1/y)^m] O(m[E]):[x^m, y^m, 1, 1] O(m[L1]): [(y/x)^m, 1, (y/x)^m, 1] O(m[L2]): [1,(x/y)^m, 1, (x/y)^m] こうして、Kは、O(-[L2]-2[C])に同型であることが分かる。 div(x/z)=[L1]+[E]-[C]なので、E,Cを使うとO([E]-3[C])とも同型である。 --- ・前回の結果の再掲: (a) m≧0のとき h^0(X,O(mC))=(m+1)(m+2)/2 m<0のとき h^2(X,O(mC))=(m+1)(m+2)/2 (b) m≧0のとき、h^0(X,O(mE))=1, h^1(X,O(mE))=(mm-m)/2 m<0のとき、h^0(X,O(mE))=0, h^1(X,O(mE))=(mm-m-2)/2 (c) m≧0のとき、h^0(X,O(m[L1]))=m+1 m<0のとき、h^1(X,O(m[L1]))=-(m+1) ・ということはセール双対によると具体的には例えば K@O(3[C]) = O([E]) なので、h^i(-3[C]) = h^(n-i) ([E]) 実際、どちらもi=0,1で0、i=2で1である。 K@O(2[C]) = O(-[L2]) なので、h^i(-2[C]) = h^(n-i) (-[L2]) 実際、どちらもi=0,1,2に対してすべて0である。 --- ・(a),(b)全体にセール双対を適用すると: (a) m≧0のとき h^2(X,O(-mC)@K)= (m+1)(m+2)/2 m<0のとき h^0(X,O(-mC)@K)=(m+1)(m+2)/2 O([E]-3[C])を当てはめて、-3-m をnとおくと次のように表せる: m>-3のとき h^0(X,O([E]+n[C])) = (n+1)(n+2)/2 m≦-3のとき h^2(X,O([E]+n[C])) = (n+1)(n+2)/2 (この式でn=0,-1の場合が先の垣間見に相当sるう。) (b) m≧0のとき、h^2(X,O(-mE)@K)=1, h^1(X,O(-mE@K))=(mm-m)/2 m<0のとき、h^2(X,O(-mE)@K)=0, h^1(X,O(-mE@K))=(mm-m-2)/2 O([E]-3[C])を当てはめて、1-m をnとおくと次のように表せる: n>1のとき、h^2(X,O(n[E]-3[C]))=0, h^1(X,O(n[E]-3[C]))=(nn-n-2)/2 n≦1のとき、h^2(X,O(n[E]-3[C]))=1, h^1(X,O(n[E]-3[C]))=(nn-n)/2 --- 20.1.I「漸近的リーマンロッホ」によると、χ(mF@G)は(Gが構造層でなくても)mの多項式となる。 ということは実は、χ(a[E]+b[C])をa,bの多項式で表せないか? 上記の様子から、 f(a,b) = (b+1)(b+2)/2 - (a+1)(a-2)/2 - 1 = (b+a+1)(b-a+2)/2 を推測した。 セール双対は f(a,b) = f(1-a,-3-b) を主張するが、これは確かに成り立っている。 上記に再掲した(a),(b),(c)の結果は、(a,b)=(0,m),(m,0),(-m,m)で確かに再現される。 こんな風にa,bの多項式で表せるとは、 前回、それぞれを求めるのにかなり苦労したことを思うと、すごいような気がする。 [追記] 交点数の多重線形性を既知とすると、上記を導ける。 a[E]+b[C]を(a,b)とおく。χ(a[E]+b[C])=f(a,b)とおく。交点数の定義から、 (a,b)・(a',b') = f(0,0)-f(a,b)-f(a',b')+f(a+a',b+b') 一方で、交点数の多重線形性とE・E=-1, C・C=1, E・C=0から、これは -aa'+bb' に一致する。 この漸化式を満たすfは2次形式であることが分かる。 [確認] 漸化式でa'=1とおくと、f(0,0)-f(a,b)-f(1,b')+f(a+1,b+b') = -a+bb' b'=0とおく。f(a+1,b)-f(a,b) = -a+f(1,0)-f(0,0) 両辺をaについて0からA-1まで合計して f(A,b)-f(0,b) = -A(A-1)/2+{f(1,0)-f(0,0)}A 漸化式でa=a'=0,b'=1とおいて f(0,0)-f(0,b)-f(0,1)+f(0,b+1) = b 両辺について0からB-1まで合計して、f(0,B)-f(0,0)=B(B-1)/2+{f(0,1)-f(0,0)}B f(A,B) = -A(A-1)/2+B(B-1)/2+{f(0,1)-f(0,0)}B + {f(1,0)-f(0,0)}A を得る。 --- この周辺はホッジの指数定理(20.2.11)と関係あるような気がするが、理解がまだ及ばない。 2020/06/28
[3] より一般のヒルツェブルフ曲面 ・既約な射影曲面の可逆層のオイラー標数は2次形式をなし、交点数と標準因子と種数から決定できる ・交点数は、2次の部分を定める ・標準因子は、1次の部分を定める。2次式の「対称点」が標準因子と関係する。 ・定数項は構造層のオイラー標数であり、これは曲面の種数(?)と関係する。 前回描写したヒルツェブルフ曲面でこれを示す。 3つの因子[C],[E],[L]があって(交点数形式で独立でないが後でそう示す)、 交点数は以下のようになる: [C]・[C] = n [E]・[E] = -n [L]・[L] = 0(フィブリレーションの視点) [C]・[E] = 0 [L]・[E] = 1 [L]・[C] = 1 n=0の場合がP^1×P^1, n=1の場合がブローアップされた射影平面に同型。 (ここで使うC,E,Lというアルファベットはそこに由来する。) 標準因子は上記のように計算しても得られるが検索すると高等な視点があるらしい: https://math.stackexchange.com/questions/2755321/canonical-divisor-of-hirzebruch-surface ・ヒルツェブルフ曲面は「トーリック多様体」だったらしい。しかし今回は踏み込まない。 文献メモ:https://www2.math.ethz.ch/education/bachelor/lectures/fs2015/math/alg_geom/brasselet 結果、ω = -[C]-[E]-2[L1] になるらしい。 従って、因子D = a[C]+b[E]+c[L1] のオイラー標数f(D)は、次を満たす: ・交点数の情報:f(O)-f(D)-f(D')+f(D+D') = D・D' = naa'-nbb'+ac'+a'c+b'c+bc' ・セール双対:f(D)=f(ω-D) ・構造層のオイラー標数は1:f(O)=1 *Dを[C],[E],[L1]の貼る線形空間のベクトルと考えると良いかもしれないと思った。  f(a,b,c) = f(a[C]+b[E]+c[L1]) と記号を濫用する。 ・交点数の情報から関数等式を解くと:  f(a,b,c) = f(O)+af(1,0,0)+bf(0,1,0)+cf(0,0,1)-(a+b+c)f(0) + na(a-1)/2 - nb(n-1)/2 + ac+ bc ・種数の情報f(O)=1を代入してセール双対関係 f(a,b,c) = f(-1-a,-1-b,-2-c) を整理すると  f(1,0,0)=2+n, f(0,1,0)=2-n, f(0,0,1)=2 が決定される。 ・その結果  f(a,b,c) = (a^2+a)n/2-(b^2+b)n/2+ac+bc+a+b+c+1 = (a+b+1)(an-bn+2c+2)/2 ・平方完成  f(a,b,c) = n/2*(a+1/2+1/n+c/n)^2 - n/2*(b+1/2-1/n-c/n)^2 ・3変数だが2次形式として2階であるから、1変数は余計であることが分かる。  (a,b,c)が(-n,n,1)の方向に変化した時にf(a,b,c)は変化しない。  実際、略式座標でy/zとかかれる有理関数の因子は -n[C]+n[E]+[L1] である。  [L1]=n[C]-n[E]とおくことで余計な変数が減らされる。 ・そう考えると、本質的にすべての因子の個数だけ(無限個)変数があった所を、  このようにして余計な変数を減らした結果、生成元を有限個にできたとも思える。 ・分母にnが現れているのでn=0の場合は個別検討する:  f(a,b,c)=(a+b+1)(c+1) = (a+b+c+2)^2/4 - (a+b-c)^2/4  この場合は (a,b,c)=(-1,1,0)が「余計な方向」である。 6/29
[4] P^3のn次曲面Zの標準因子の具体例 ・P^3 x≠0: Spec[y/x,z/x,w/x] y≠0: Spec[x/y,z/y,w/y] z≠0: Spec[x/z,y/z,w/z] w≠0: Spec[x/w,z/w,z/w] 貼り合わせの計算 a*d(y/x) + b*d(z/x) + c*d(w/x) は (-ayy/xx-bzy/xx-cwy/xx)*d(x/y) + (by/x)*d(z/y) + (cy/x)*d(w/y) に貼り合わさる。 体積形式 d(y/x)d(z/x)d(w/x) は (-yy/xx * y/x * y/x )d(x/y)d(z/y)d(w/y) = -(y/x)^4 d(x/y)d(z/y)d(w/y) に貼り合わさる。 これはx=0で4位の極を持つことが分かる。すなわちP^3の標準因子はO(-4)である。 ここから、21.5.Bの連接公式K_Z=K_X|Z@detN[Z/X]を使うと、 K_ZはP^3上の層O(-4)@O(n)=O(n-4)をZに引き戻したものと同型である。 これを、この公式によらない計算を以下で行った。 --- 練習のためP^2の曲線の微分の計算をはさんだ [4-a] 超楕円曲線 y^2=x^6+1, Y^2=X^(2n)+1, X=1/x, Y=y/x^n, y=Y/X^n、[これは種数n-1] dx/y = -dX/X^2 * X^n/Y = -X^(n-2)dX/Y ydy = 2n*x^(2n-1)dx なので dx/y = dy/2nx^(2n-1) y=0となる点では、x≠0なので、極ではない。 x^k*dx/y=-X^(n-2-k)dx/Y [k=0,1,..,n-2]が大域切断を生成する。 従ってn≧2のとき、ω_Xはx=0でn-2位までの極を持っても良い有理関数の層と同型であることが観察できる。 コホモロジーの最初のノートの最後の[5]で触れたように、 セール双対は、H^0(Z,ω_Z)をH^1(Z,O)と結び付ける。 (そちらでは、h^1(Z,O)=n-1を見た。ここでは、h^0(Z,ω_Z)=n-1を見た。) P1=[0:1], P2=[0:-1], ω_Z=(n-2)P1+(n-2)P2 ということである。 --- [4-b] n次フェルマー曲線 Proj k[x,y,z]/(x^n+y^n+z^n) x≠0: 1+(y/x)^n+(z/x)^n = 0 y≠0: 1+(x/y)^n+(z/y)^n = 0 z≠0: 1+(x/z)^n+(y/z)^n = 0 (y/x)^(n-1)*d(y/x) + (z/x)^(n-1)*d(z/x) = 0 の関係がある。 (y/x)^a*(z/x)^b*d(y/x)は、-(y/x)^(a-n+1)*(z/x)^(b+n-1)*d(z/x)に変換される。 y=z=0な点は曲線上にないから、a,a-n+1のどちらかが非負かつb,b+n-1のどちらかが非負のとき そこでn-1≧0なので、a≧0かつb≧-(n-1)のときにx≠0全体で正則となる。 y≠0では -(x/y)^(-a-b-2) * (z/y)^b * d(x/y) となるので -a-b-2≧0 かつ b≧-(n-1)のときにy≠0全体で正則となる。 z≠0では (x/z)^(-a-b-2) * (y/z)^(a-n+1) * d(x/z) となるので -a-b-2≧0 かつ a≧0のときにz≠0全体で正則となる。 従って全体で正則になる条件はa≧0, b≧-(n-1), a+b≦-2 のすべてを満たすことであり、 例えばB=b+(n-1)とおくとa≧0, B≧0, a+B≦n-3を満たすa,Bの個数として数えやすく、 1からn-2までの整数の和で、(n-1)(n-2)/2 を得る。 (実際、正則n次曲線の種数は(n-1)(n-2)/2である。) 1階の局所自由層だから、切断sを1個とれば、ω_X=O(div(s))と書けるのであった。 切断a=0, b=-(n-1)をとれば、x≠0で正則で、x=0でn-3位の零点を持つ。 連接公式によればP^2上のO(n-3)を曲線Zに引き戻したものと同型であるのと合致する。 この視点では、具体的には分母にxの(n-3)次まで現れて良い次数0の単項式を数えることになる。 ただし、x^n+y^n+z^n=0によって線形従属なものを考慮する必要があるが、n-3次以下では従属関係はない。 y^n/x^n = -z^n/x^n-1 なので、yの次数を(n-1)次以下に制限すれば良い。 これを数えるとやはり、1からn-2までの整数の和で、(n-2)(n-1)/2 を得る。 --- [4-c] n次曲面 Proj k[x,y,z]/(x^n+y^n+z^n+w^n) x≠0: 1+(y/x)^n+(z/x)^n+(w/x)^n = 0 y≠0: 1+(x/y)^n+(z/y)^n+(w/y)^n = 0 z≠0: 1+(x/z)^n+(y/z)^n+(w/z)^n = 0 w≠0: 1+(x/w)^n+(y/w)^n+(z/w)^n = 0 (y/x)^(n-1)*d(y/x) + (z/x)^(n-1)*d(z/x) + (w/x)^(n-1)d(w/x) = 0 の関係がある。 面積形式では例えば {(y/x)^(n-1)*d(y/x)}∧{(z/x)^(n-1)*d(z/x)} = {-(z/x)^(n-1)*d(z/x)-(w/x)^(n-1)d(w/x)} ∧ {(z/x)^(n-1)*d(z/x)} = {-(w/x)^(n-1)d(w/x)} ∧ {(z/x)^(n-1)*d(z/x)} の関係がある(d(z/x)∧d(z/x)=0を使った) そういうわけで以下の3つが同一のものとなる (y/x)^(a+n-1)*(z/x)^(b+n-1)*(w/x)^c * d(y/x)∧d(z/x) (y/x)^a*(z/x)^(b+n-1)*(w/x)^(c+n-1) * d(z/x)∧d(w/x) (y/x)^(a+n-1)*(z/x)^b*(w/x)^(c+n-1) * d(w/x)∧d(y/x) y,z,wは3つ同時には0にならないから、 a+n-1≧0 かつ b+n-1≧0 かつ c+n-1≧0 のときにこれはx≠0全体で正則となる。 [準備計算] x≠0からy≠0へ変換では、 a*d(y/x)+b*d(z/x)+c*d(w/x) は (-ayy/xx-bzy/xx-cwy/xx)*d(x/y) + (by/x)*d(z/y) + (cy/x)*d(w/y) に貼り合わさるのだったから、 a*d(y/x)∧b*d(z/x) = (-ayy/xx)*d(x/y) ∧ {(-bzy/xx)*d(x/y) + (by/x)*d(z/y)} = (-ayy/xx)*d(x/y) ∧ (by/x)*d(z/y) = -ab(x/y)^(-3)*d(x/y)∧(z/y) [準備計算ここまで] 従って(y/x)^(a+n-1)*(z/x)^(b+n-1)*(w/x)^c * d(y/x)∧d(z/x)を変換すると、 (x/y)^(-(a+n-1)-(b+n-1)-c-3)*(z/y)^(b+n-1)*(w/y)^c * d(x/y)∧d(z/y) となる。 これがy≠0全体で正則となる条件は、 -(a+n-1)-(b+n-1)-c-3≧0 かつ b+n-1≧0 かつ c+n-1≧0 となり、z≠0, w≠0でも同様である。 最終的に、a,b,c≧-(n-1), a+b+c+2n+1≦0 が条件となる。 これを満たすa,b,cの組は(n-1)(n-2)(n-3)/6種類であり、これが微分の大域切断を生成する。 連接公式による計算は先と同様であろう。

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