代数拡大とかガロア理論に関するいくつかのノートを書いた。
いくつかをここに残しておこうと思う。

・円分体のガロア群
・1の原始11乗根
・1の原始21乗根
・解が1の冪根で表される時にそれを実現する
・4次方程式
・5次方程式



円分体のガロア群(2016/2/23) 円分体は、ガロア群の概念に慣れるのにとても良い題材だと思う。 このノートの目標は、p/qを既約分数、qを3以上の自然数として cos(2πp/q)の最小多項式の次数がφ(q)/2になること をガロア群と関連付けて紹介することを目指す ・・と思って書こうとしたものの 雑な紹介しかできなかった。結局は[*2]とそこに紹介してるpdfを参照してほしい [*1] http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13136585998 最小多項式が3次あるいは4次方程式になる場合 [*2] http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13150899098 cos(pπ/q)が有理数 応用例として [*3] http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13129216628 cos(π/n)+cos(3π/n)+cos(9π/n) = a+b√d となるようなn ほか読みやすいものとしては有名な所ですが「物理のかぎしっぽ」など ----- * 体、拡大体、中間体 「体」とは、四則演算で閉じた集合である(0で割るのを除いて) 有理数体Qを含む、有理数より大きな体がある。 実数体Rや複素数体Cはその代表であるが 今回考察するのはそれらよりはもっと"小さな"体である。 例えば Q(i)と呼ばれる {a+bi|a,b∈Q} という集合とか Q(ω)と呼ばれる {a+bω|a,b∈Q}, ω=(-1+√-3)/2 という集合とか 体の性質から、Kを体としてx∈Kならばxの有理式は全てKに属する。 一般的に有理数に、(Q係数で)既約な多項式の解αを添加した体Q(α)を考えるのが典型的である。 (このようなαは代数的な数と呼ばれ、最小多項式というものを考えることができる。) "添加"とは、いくつかの意味で捉えられ、同値である。 ・Qとαを含む最小の体 ・αの有理式で表される集合 ・αの多項式で表される集合 (2つ目と3つ目の同値は"分母の有理化"の本質的な所だと思う) * Q⊂L となる体があるとき LはQの拡大体と呼ぶ。(QはLの部分体と呼ぶ。)  この拡大を習慣的にL/Qと書く。 * K⊂M⊂L となるそれぞれ体K,M,Lがあるとき M は拡大L/Kの中間体と呼ぶ。 乗法を一旦忘れると、Qの拡大体Lは、Q上の(有限次元の)線形空間である。 この次元は拡大次数と呼ばれて [L:Q] というふうに表記される。 特にn次既約多項式の解の1つαを添加した体Q(α)は拡大次数がnである。 (1,α,α^2,...,α^(n-1)は線形独立でかつQ(α)の任意の元はこれらの線形結合である) ----- * 円分体 1の原始n乗根exp(2π/n)をζnとおいたときのQ(ζn)が円分体と呼ばれる。 このあと添え字のnは適宜省略する。 n=1,2 では ζは有理数なので n≧3 を想定する。 n=3,4 のときはそれぞれ先に紹介した Q(ω),Q(i)のことである。 [問] これらとQの間には、別の中間体は、存在しない。 [解答例] 例えばQ⊂M⊂Q(i)とおくとQ≠MだからMは a+bi, b≠0 なる元を持つ。  そうすると先に指摘したことからMは Q(i)の元すべてを持つことが分かる。 ・n=5のとき Q(ζ)とQの間には中間体が存在する。それはQ(√5)である。 Q(√5)⊂Q(ζ)の包含関係が自明でないかもしれない。 ζ = (-1+√5)/4+√(-2√5-10)/4 ζ^2 = (-1-√5)/4+√(2√5-10)/4 ζ^3 = (-1-√5)/4-√(2√5-10)/4 ζ^4 = (-1+√5)/4-√(-2√5-10)/4 ζ+ζ^4 = (-1+√5)/2 より (-1+√5)/2 ∈ Q(ζ) が確認できる。 これより任意の a+b√5|a,b∈Q がζの多項式で表されることが従う。 ----- ・n=7のとき Q(ζ)とQの間には2つの中間体が存在する。 Q(√-7) と Q(cos(2π/7)) である。 ・Q(cos(2π/7)) が Q(ζ)よりも小さな体であることは、 cos(2π/7) の最小多項式が3次式であることから分かる。 実際に中間体であることは: ・ζ+ζ^6 = 2cos(2π/7) ・ζ+ζ^2+ζ^4 = (-1+√-7)/2 ----- * 円分体のガロア群 ガロア群は、拡大に対して定義される。ここではQ(ζ)/Qに対するガロア群を考察するのである。 【f(x+y)=f(x)+f(y), f(xy)=f(x)f(y)を満たすQ(ζ)からQ(ζ)への全単射写像】を考えることになる。 (x∈Q のとき f(x)=x であることも定義上要求されるが自然に満たされる) (ガロア群の元同士に、写像の合成によって演算を入れて、群とみなす。) そのようなfによるζの像について、あるkがあって f(ζ) = ζ^k となることが分かる。 f(ζ)が決まれば、Q(ζ)の元はすべてζの多項式で表されるから、 f(x+y)=f(x)+f(y), f(xy)=f(x)f(y)によってQ(ζ)の元の行き先がすべて決まる。 ここで、kはnと互いに素である必要がある。そうしないとfが条件を満たさない(全単射にならない) 逆に、kがnと互いに素であればこの写像は条件を満たす。 その証明は本質的に円分多項式の既約性と関係し、自明ではないと思う。 ζをζ^k に写す写像をσ[k] と名付けることにする。 ここでk≡j (mod n) のとき ζ^k=ζ^jでありσ[k]とσ[j]は同一である。 すなわち、kは、「nを法とする既約剰余類」と思うことができる。 また、写像の合成は、σ[k]・σ[j] = σ[kj] で表される。 すなわち、これは「既約剰余類のなす乗法群」Z/nZ* なのである ----- * ガロアの基本定理が主張するには、中間体がどれだけあるかを知るには  ガロア群の部分群がどれだけあるかを知れば良い (Z/5Z)* は Z/4Z に同型であり、{0+4Z,2+4Z} という部分群を持つ。 (Z/5Z)* の部分群としては {1+5Z,4+5Z} という部分群である。 (Z/7Z)* は Z/6Z に同型であり、{0+6Z,2+6Z,4+6Z}, {0+6Z,3+6Z} という部分群を持つ。 (Z/7Z)* の部分群としては {1,2,4}+7Z, {1,6}+7Z という部分群である。 ζ+ζ^2+ζ^4 = (-1+√-7)/2 の指数が1,2,4 などとなっているのは偶然ではない ・ガロア群の部分群があれば、対応する中間体がある。 Q(ζ)/Q のガロア群をGとおく。Gの部分群をHとおく。 Q⊂M⊂L となる中間体Mの集合Xと、Gの部分群Hの集合Yが次のように対応する: M∈X ---> Y = {g∈G | 任意のx∈Xに対してg(x)=x} H∈Y ---> M = {x∈L | 任意のg∈Hに対してg(x)=x} さらにM,Hがこれで対応しているとき |H|=[L:M], |G|/|H|=[M:Q] が成り立つ ----- ・n=7 の場合の状況 Q(ζ)の部分集合で、H3={σ[1],σ[2],σ[4]} の作用で不変な集合がある。 それをM2とおくとそれは体をなし、|G|=6, |H3|=3 で [M2:Q]=2 である。 逆に、Q(ζ)の部分体であってH3の作用で不変なものがあれば、それはM2の部分体である。 H3に属さないGの元(例えばσ[3])で不変でなければ、それはM2に一致する。 Q(ζ+ζ^2+ζ^4) はH3の元で不変である。 なぜならσ[1]は恒等写像であるし、 σ[2] は ζをζ^2に写し、ζ^2を(ζ^2)^2に写し、ζ^4を(ζ^2)^4に写し、 それぞれ ζ^2,ζ^4,ζ となるから、σ[2](ζ+ζ^2+ζ^4) = ζ^2+ζ^4+ζ で不変となる。 σ[4] も同様である このことからまず ζ+ζ^2+ζ^4 のQ上最小多項式は2次以下であることが分かる 一方 σ[3] はζ+ζ^2+ζ^4をζ^3+ζ^5+ζ^6 に写し、ζ+ζ^2+ζ^4と異なる。 このことから ζ+ζ^2+ζ^4 のQ上最小多項式はちょうど2次だと分かる。 ----- H={σ[1],σ[-1]} に対応する中間体が Q(cos(2π/n)) = Q(ζ+1/ζ)である。 そういうわけで、cos(2π/n)の最小多項式の次数は、|G|/|H| = φ(n)/2 である。 ----- [練習問題] n=15の場合、Q⊂M⊂Q(ζ)となる中間体Mはどれだけあるか。 (ヒント:|G|=8 であり |H|=4となる部分群が3つ、|H|=2となる部分群も3つある。) 練習問題として挙げてはみたが、 やはり考察例・解答例を書いておくことが役に立つかもしれない [解答例] ・G = (Z/15Z)* = {1,2,4,7,8,11,13,14} である。 正確には G = {σ[1],σ[2],σ[4],σ[7],σ[8],σ[11],σ[13],σ[14]} で σ[k] は ζをζ^k に写す写像である。 ・部分群 H = {1,2,4,8}(+15Z) に対して Q(α = ζ+ζ^2+ζ^4+ζ^8) が求める中間体である。 これはQ上2次拡大のはずである。 一般に終結式を使えば"機械的に"(たいていコンピュータを使いたくなるという意味でも) α=ζ+ζ^2+ζ^4+ζ^8の最小多項式を得ることができる しかし次のような具体的に手計算範囲で求める方法もある α = ζ+ζ^2+ζ^4+ζ^8 β = ζ^7+ζ^11+ζ^13+ζ^14 (剰余群 G/H を考えるわけである。G/H = {{1,2,4,8},{7,11,13,14}}) 以下の議論には必要ないが、αとβは共役の関係である。なぜなら一般に: σ[k](x) は x の8個の共役を与えて Π(X-g(x)) g∈G は有理数係数多項式となる。 x=αを適用して、Gの元は8個あるがそのうち4つはg(α)=α, 残りの4つはg(α)=βと作用する。 {(X-α)(X-β)}^4 は有理数係数多項式である。 多項式的な考察をすると (X-α)(X-β)が有理数係数多項式であることが従う。 Q(α)の元は、{1,α}の線形結合で表せるはずである。 そこで α^2の展開を考える。αの1次式で表せるはずである。 α^2 = ζα+ζ^2α+ζ^4α+ζ^8α = σ[1](ζα) + σ[2](ζα) + σ[4](ζα) + σ[8](ζα) = (σ[1]+σ[2]+σ[4]+σ[8]) (ζα) [形式的にこのような表記を使ってみる] = (σ[1]+σ[2]+σ[4]+σ[8]) (ζ(ζ+ζ^2+ζ^4+ζ^8)) = (σ[1]+σ[2]+σ[4]+σ[8]) (ζ^2+ζ^3+ζ^5+ζ^9) = (ζ^2+ζ^4+ζ^8+ζ) + (ζ^3+ζ^6+ζ^12+ζ^9) + (ζ^5+ζ^10+ζ^5+ζ^10) + (ζ^9+ζ^3+ζ^6+ζ^12) = α + (-1) + (-2) + (-1) = α-4 を得る。こうしてαは x^2-x+4=0 の解であることが分かる。 すなわち Q(α) = Q(√-15) である。 図形問題への応用 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14145078554 他の部分群と中間体 ・部分群 H={1,4,7,13}(+15Z) Q(α = ζ+ζ^4+ζ^7+ζ^13) が求める中間体で Q(ζ^10) = Q(ω) = Q(√-3) である ・部分群 H={1,4,11,14}(+15Z) Q(α = ζ+ζ^4+ζ^11+ζ^14) = Q(ζ^6+ζ^9) = Q(cos(2π/5)) = Q(√5) である。 ・部分群 H={1,14}(+15Z) Q(α = ζ+ζ^14) = Q(cos(2π)/15) αの最小多項式は x^4-x^3-4x^2+4x+1 ・部分群 H={1,4}(+15Z) Q(α = ζ+ζ^4) αの最小多項式は x^4-x^3+2x^2+x+1 ・部分群 H={1,11}(+15Z) Q(α = ζ+ζ^11) = Q(ζ^6) = 5次の円分体 αの最小多項式は x^4-x^3+x^2-x+1

・1の原始11乗根を冪根拡大で表す(2015/7/26) 1の原始11乗根αを題材にしよう。 5次拡大を使うので1の原始5乗根をζとおいておく。 β = α+1/α とおくと βはy^5+y^4-4y^3-3y^2+3y+1=0 を満たす。 この方程式の解をβ1,β2,β3,β4,β5 とおく。 ガロア群の元は倍角公式で具体的に描写される。すなわち Gal(L/K) = {e,f,f^2,f^3,f^4} (eは恒等写像、f^kはfのk回合成, f(β) = β^2-2) このとき L1 = β+ζf(β)+ζ^2f^2(β)+ζ^3f^3(β)+ζ^4f^4(β) L2 = β+ζ^2f(β)+ζ^4f^2(β)+ζ^6f^3(β)+ζ^8f^4(β) L3 = β+ζ^3f(β)+ζ^6f^2(β)+ζ^9f^3(β)+ζ^12f^4(β) L4 = β+ζ^4f(β)+ζ^8f^2(β)+ζ^12f^3(β)+ζ^16f^4(β) L5 = β+ζ^5f(β)+ζ^10f^2(β)+ζ^15f^3(β)+ζ^20f^4(β) とおくと L1^5, L2^5, L3^5, L4^5, L5^5 が K に含まれる というのがラグランジェのリゾルベントという方法である。 そして (L1+L2+L3+L4+L5)/5 = β によってβを得られるのである。 L5=-1 であり残りの L1^5,L2^5,L3^5,L4^5 は次の4次方程式の解となる。 L^4+979L^3+467181L^2+157668929L+25937424601 = 0 これは根号を使うことで解ける: L = -979/4 + 275√5/4 ± 55(3+2√5)√((-5-√5)/2), -979/4 - 275√5/4 ± 55(3-2√5)√((-5+√5)/2) 数値解 L = -398.47968±47.591489*i, -390.85330±91.020326*i これらの"5乗根"の和から1を引いて5で割ったものがβを与える。 L1からL4はζを使って表すこともできる: L = 11*(-10ζ^3+10ζ^2+25ζ-16) [原始5乗根は4つあるのでそれぞれがL1からL4を与える] Lの5乗根たちは数値計算で L1の候補: -1.0996 + 3.1290*i -0.9496 - 3.1778*i -3.3157 - 0.0788*i 2.7288 - 1.8851*i 2.6361 + 2.0127*i L2の候補: -3.1979 - 0.8795*i -1.8247 + 2.7696*i 3.1041 - 1.1681*i -0.1517 - 3.3132*i 2.0702 + 2.5912*i L3,L4はそれぞれ複素共役 そして y^5+y^4-4y^3-3y^2+3y+1 = 0 の数値解は -1.918985947228995 -1.30972146789057, -0.28462967654657, 0.83083002600377, 1.682507065662362, (L1+L2+L3+L4-1)/5 をこれらの値に対応させることができた。 例えば一番上の候補について: ((-1.0996+3.1290*i)+(-3.1979-0.8795*i)+(-1.0996-3.1290*i)+(-3.1979+0.8795*i)-1)/5 ≒ -1.919 # 5乗根の組み合わせのうち -1.0996 + 3.1290*i と -3.1979 - 0.8795*i が 対応して -0.9496 - 3.1778*i と-1.8247 + 2.7696*i が対応して ・・という対応はどのように知ることができるのか: 解と係数の関係から L1^5,L2^5,L3^5,L4^5 の積は 11^10 となっている。 5乗根の組み合わせは L1*L2*L3*L4 = 121 を満たす組み合わせとなっている # βからαを得るには α = {β±√(β^2-1)}/2 とすれば良い *追記:α = {β±√(β^2-4)}/2 の間違いだと気付いた https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13182028133

・(7+21√-3)/2 の3乗根は1の原始21乗根で表せる(2015/11/23) 1の原始21乗根をζとおくと b = (ζ^10-ζ^8+ζ^6+ζ^5+ζ^4+ζ^2-ζ) の3乗がa(またはその共役)になる [背景考察] α=exp(2π/7) に対して c =α+1/α = 2cos(2π/7) を考察する cは次の3次方程式を満たす: F(x) = x^3+x^2-2x-1 = 0・・@ この方程式はカルダノの方法で解ける。 c = ({(7+21√-3)/2}^(1/3) + {(7-21√-3)/2}^(1/3) - 1) / 3 そういうわけで Q(b=a^(1/3))⊃Q(α+1/α) ところでbの最小多項式は x^6-7x^3+343 でありQ上既約 (x-b)(x-ωb)(x-b/ω)(x-b~)(x-ωb~)(x-b~/ω) と分解されるはず b~はbの複素共役であり a*(a~) = 7^3 であることから b*b~=7 で b~ = 7/b と表すことができる また ωは (b^3-14)/21 と表すことができる 結局すべての解が1つの解の有理式で表されている・・A 一方拡大次数の考察から Q(b) は Q(α+1/α) の2次拡大でもある ところで ωは Q(b)に含まれるが Q(α+1/α)には含まれない すなわち Q(b) ⊃ Q(α+1/α,ω) ⊃ Q(α+1/α) が成り立つが 拡大次数の考察から左の2つの体は一致するはずである Q(α+1/α,ω) ⊂ Q(α,ω) = Q(ζ) が分かる。 一番左の中間体に対応する Q(ζ)/Q のガロア群の部分群の生成元は αを共役にしてωを保つような自己準同型、すなわち ζ^3→ζ^(-3), ζ^7→ζ^7 とするようなものである 3k≡-3 (mod 21), 7k≡7 (mod 21) を満たすのは k≡13 (mod 21) そういうわけで Q(α+1/α,ω) = Q(ζ+ζ^13) が分かる しかし具体的なbの計算は多少偶然に頼る手探り以外に見つけていない 手探りとは: 3(α+1/α)+1 = b+7/b をbについて解いた結果から √(-3α^4-2α^3+3α^2-2α-3) の平方根がQ(α)に含まれるはず resultant((-3x^4-2x^3+3x^2-2x-3)-y^2,Φ[7](x),x),factor; を計算機に投げる。定数項が49であることからノルムが7な適当な元を使って resultant((-3x^4-2x^3+3x^2-2x-3)-(1-x)^4*y^2,Φ[7](x),x),factor; を試してみるとなんとたまたまcの最小多項式が出現する (α^3+α^4)^2*(1-α)^4 が上記の√の中身を与えることが分かる ここから bの具体的な表示が得られる
@の方程式の係数は F(x)≡(x-2)^3 (mod 7Z[x]) を使って思い出すことができる この関係は次のような「読みかえ」によって説明できる F(x) = (x-α-α^6)(x-α^2-α^5)(x-α^3-α^4) が成り立つ。ということは G(y) = F(x)-(x-y-y^6)(x-y^2-y^5)(x-y^3-y^4) をyの方程式と見なすと y=α^kが解となっている 整数係数多項式の因数分解は整数係数に収まることを既知として G(y) = (y-α)(y-α^2)...(y-α)^6 * (整数係数多項式) = (y^6+y^5+y^4+y^3+y^2+y+1) * (整数係数多項式) の関係を得る。y=1 を代入すると G(1)≡0 (mod 7Z[x]) すなわち F(x)≡(x-2)^3 (mod 7Z[x]) AからQ(b)/Q はガロア拡大でありそのガロア群はアーベル群で クロネッカーウェーバーの定理によりある円分体に含まれるはず ということが分かる
[2015/3/29追記] http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13157511943 (14-√-7+3√21)/2 の3乗根も1の原始21乗根で表せるはずである 今では 具体的なbの計算は多少偶然に頼る手探りよりももう少し確実な方法を身につけているので紹介する 1の原始21乗根をaとおく。A^3 = 2*a^11+4*a^9+2*a^8-3*a^7-4*a^4+6*a^2-4*a+6 の3乗根を知りたい 1の原始21乗根aによる拡大体Q(a)を考察する。もう少し言うとその整数環であるZ(a)で考察する http://www.lmfdb.org/NumberField/ で該当のページに辿りつく方法はいくつかあるが、例えばガロア群をC6xC2と指定すると出会える http://www.lmfdb.org/NumberField/12.0.205924456521.1 類数が幸いに1であること、単数群が5つの元で生成されること、その生成元 の情報が利用できる A^3 のノルムが7^9であることから、まずは(7)を素イデアル分解する ノルムが7となる元を探す。系統的な探し方はまだ知らないがこれぐらいなら適当に探してなんとか見つけられる(ここで多少偶然に頼る) http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14156999604 (1+a^4-a^5+a^6) が ノルムが7の元として得られた (7) = (1+a^4-a^5+a^6)^6 * (1+a^17-a^16+a^15)^6[イデアルとして等しいという意味] A^3 = (1+a^4-a^5+a^6)^6 * (1+a^17-a^16+a^15)^3 * (単数) を得られる。 (単数)の部分を計算すると 33601*a^11-26238*a^10-28798*a^9+12256*a^8-32712*a^7-18156*a^6+36312*a^5+30001*a^4-20338*a^3 +18156*a^2+2182*a-48157 単数は 上記のURLの Torsion generator, Fundamental units で生成される 具体的には (a^3+1),(a^10-a^8+a^3),(a-1),(a^2-1),(a^4-1) を a1,a2,a3,a4,a5 と名付けておくと 任意の単数は これらの整数冪とaの冪を掛け合わせて得られるはずである。 与えられた単数に対する Fundamental units の積での表示 を求めるには、さきも紹介したページでの私の返信に書いてある方法が使える http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14156999604 代数体Lの乗法群 から Rの加法群 への埋め込みが6種類ある (LからLへの自己同型が12種類あって、それぞれを経由してから複素絶対値をとると 12種類のうち2種類ずつは複素共役の関係だから、6種類の実埋め込みが存在するわけである) それで A^3 = (1+a^4-a^5+a^6)^6 * (1+a^17-a^16+a^15)^3 * a1^3* a2^9 * a3^(-3) * a4^3 * a5^6 * a^15 が得られる。ここから 3乗して A^3 になるものを求めることができる(そのうちの1つにa^7,a^14を掛けたものが残りの2つである)
2016/7/6 追記 1の原始21乗根の生成する体と中間体とガロア群の部分群の考察を述べてみる。 円分体は、そのガロア群が可換であることが、考察に有利である。 [第一段階:ガロア群] ζ=exp(2πi/21)の最小多項式はx^21-1の因数の1つであり実際には Φ(x) = x^12-x^11+x^9-x^8+x^6-x^4+x^3-x+1 である。(円分多項式) Q(ζ)/Q は12次拡大であり、 Q(ζ)の元はζの11次以下のQ係数多項式で一意的に表される そこで、21と互いに素な整数kに対して、 ζをζ^kに置き換えるという写像σ[k]を考える。 実体を分かりやすくするために例を挙げるとこれらは σ[2](1+ζ^4+ζ^5) = 1+ζ^8+ζ^10 σ[8](ζ^10+2ζ^11) = ζ^80+2ζ^88 = ζ^17+2ζ^4 のような作用をするQ(ζ)からQ(ζ)への写像である。 これがQを固定する自己同型写像を与えている。 特にk≡20 (mod 21) のときは複素共役写像である。 すなわちガロア群 Gal(Q(ζ)/Q)は集合としては {σ[k]|kは21と互いに素} で表される8種類の元を持つ集合であり 群の演算としては σ[j]とσ[k]の演算は、写像としての合成、すなわちσ[jk]で与えられる。 (jとkが21と互いに素ならばjkも21と互いに素だから演算は閉じている) このようにして Gal(Q(ζ)/Q)は自然に 「既約剰余類がなす乗法群」に同一視できる。 簡略化してG={1,2,4,5,8,10,11,13,16,17,19,20}と書く。 (演算は、21を法とする積で与えられる。) ---------- [第二段階:部分群] Gの部分群をすべて挙げよという課題は純粋に群の問題である。 部分群とは、演算が閉じているようなGの部分集合のことである。 後の画像に示したように、自身を含めて9個の部分群が存在する。 これを見通しよく挙げつくすには、 「既約剰余類がなす乗法群」の構造を知っていると良い。 すなわち3で割った余りと7で割った余りの組に分解することで (Z/21Z)の乗法群は、(Z/3Zの乗法群)と(Z/7Zの乗法群)の直積とみなせ それぞれについてはpが素数の時Z/pZの乗法群は(p-1)個の元からなる巡回群である。 視覚的には横方向は6マスでループ、縦方向は2マスでループするマス目として 1 , 10 , 16 , 13 , 4 , 19 8 , 17 , 2 , 20 , 11 , 5 と並べてみて後の画像の部分群がどのような分布をしているのかを見ることで私の意図が伝わると良い (左上を0行0列として数えた時、a行b列とc行d列の演算結果がa+c行b+d列になっているという意図である) [第三段階:中間体] 部分群に対応する中間体は、「固定体」で特徴づけられる。 例えば{1,4,16}という部分群、正確には{σ[1],σ[4],σ[16]}という部分群に対応する中間体は、 B = {x∈Q(ζ) | σ[1](x)=x かつ σ[4](x)=x かつ σ[16](x)=x} というQ(ζ)の部分集合である。 (σ[1]は恒等写像であるしσ[16]はσ[4]を2回作用させたものだから 条件としては B={x∈Q(ζ)|σ[4](x)=x}と書いても同じである) ガロア理論が主張することには、 ・部分群と中間体が1対1に対応する ・部分群Hに対応する中間体をMとおくと 部分群Hは Q(ζ)/M のガロア群とみなすことができる。 またHがGの正規部分群であるならば(可換群では常に満たされる) 剰余群G/H は M/Q のガロア群とみなすことができる 中間体に属する元の具体例として次は重要である。 Gal(Q(ζ)/Q) の部分群 {σ[k]|k∈H} を考える。 Σζ^k [k∈H] はこの部分群に対応する中間体に属する。 (イメージのためには例えば上記のBという中間体の例として ζ+ζ^4+ζ^16 にσ[4]を作用させて不変であることを確かめよ) (余裕があればQ(ζ)/BやB/Qのガロア群を考察してみよ) これらの道具によって ζの多項式で表される複素数αが与えられたとき、 σ[k]がそれを固定するようなkを調べることで 「αがどの中間体に属し、どの中間体に属さないか」 を知ることができるのである。 また拡大次数の情報から、中間体Mに対して αのM係数での最小多項式の次数を知ることができる。 例えば次のような議論が可能となる: ・α=ζ+ζ^13を固定するようなσ[k]はk=1,13のみだから αは画像のAという中間体に属し、それより小さな中間体には属さない。 従ってA=Q(α)である。 αの最小多項式は6次式であり、Aの任意の元はαの5次以下の多項式として一意的に表せる。 実際ζ+ζ^13の最小多項式はX^6-X^5+3X^4+5X^2-2X+1 というQ上既約な6次式である ・ζ+ζ^20=2cos(2π/21)についても同様である。 σ[20]は複素共役写像であるから、 この中間体 Q(cos(2π/21))は Q(ζ)のうち実数がなす中間体とも言える。 ・部分群{1,4,10,13,16,19}に属する元として ζ+ζ^4+ζ^10+ζ^13+ζ^16+ζ^19 が存在する。 ところがこれは-ζ^7のことであり、(1-√-3)/2のことである。 対応する中間体はこれを含むようなQの2次拡大体であるからQ(√-3)である (暗に次のような体論的命題を使っている: L⊃M⊃Kとなる体L,M,Kがあって L/KとM/Kの拡大次数が(共に有限で)等しいならばL=Mである) ・ζ+ζ^2+ζ^4+ζ^8+ζ^11+ζ^16 = -(ζ^9+ζ^15+ζ^18) である。 1の原始7乗根をzとすると{z+z^2+z^4,z^3+z^5+z^6}=(-1±√-7)/2であることに帰着する。 対応する中間体はQ(√-7)である ・もう1つの元が6個な中間体に対応する中間体は必然的にQ(√21)である ・それらを含む4次拡大体Bは必然的にQ[√-3,√-7,√21]である。 従ってBに属するような複素数 y=ζ+ζ^4+ζ^16 (これはy^4-y^3-y^2-2y+4=0 の解) は1,√-3,√-7,√21の線形結合で表せるはずである。 ・拡大次数からcos(2π/21)のQ(√21)係数最小多項式は3次であることが分かる。

・解が1の冪根で表される時にそれを実現する http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13136172733 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14152494279 3次方程式の場合は次のようにして可能かどうかを判定できる 解が1の冪根で表される ⇔ 判別式が平方数 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13153067293 例題を1つ挙げて考察方法を紹介しよう: F = y^4-3y^3+19y^2+33y+71 = 0 まず1の何乗根を使えば良いか推測する。それには判別式が有用である。D(F) = 5^3*11^2*181^2 次に素因数集合を観察するのが有用となる F(-1)=-61, F(1)=11^2, F(2)=5*41, F(3)=11*31 など・・ 5と5N+1型素数のみが現れる傾向が分かる Q(z)でノルムが71になるような元を適当に見つける ただしz=exp(2πi/5), H=z^4+z^3+z^2+z+1の根 N(z+k) を適当に試すと N(z-5) = 11*71 N(z+2)=11 であることから (z-5)/(z^k+2) の形で代数的整数になるものを探す (z-5)/(z^4+2) が該当する y = (z-5)/(z^4+2)*x とおいてxの最小多項式を求める resultant(resultant(H,y/((z-5)/(z^4+2))-x,z),F(y),y) の因数の1つから G(x) = x^4+x^3+6*x^2-4*x+1 = 0 以上によりまずは定数項が1の場合に帰着できた 次に実な場合に帰着させる。 resultant(resultant(H,x/z-u,z),G(x),x) の因数の1つから f(u) = u^2+3u+1 を得る 実単数は ±(sinaθ)/(sinbθ)のいくつかの積で表せる。θ=2π/5 resultant(resultant(H,u*(z^2-1/z^2)/(z-1/z))-v,z),f(u),u) で係数を小さくしていくようにいけば求まる所にいきつく あとは最小多項式をそのつど検算して共役を調整しつつ復元 u = -(sin2θ)^2/(sinθ)^2 = -z^3-z^2-2 x = u*z^2 y = (z^3-5)/(z^12+2)*x 次数下げ・分母の有理化により標準形に直せば y = -z^3+3*z^2-z+1 を得る 共役解も求めれば y = -z^3+3*z^2-z+1, -3z^3-4z^2-4z-2, z^2+4z+2, 4z^3+z+2
その後、もっと機械的な方法に出会った。 より一般的に G(x)=0 の解の1つをαとして F(x)をQ(α)係数で分解する方法に出会った。 数理解析研究所講究録第722 巻1990 年17-20  元吉文男 著 (電子技術総合研究所)   巡回群をガロア群に持つ5 次方程式の判別とその解法 http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/0722-02.pdf 以下などで具体的なmaximaコマンドとともに紹介している。 http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/mathbun/mathbun606.html https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11157391336

・4次方程式の話題 「shanksの恒等式」 √(22+2√(5))+√(5)=√(11+2√(29))+√(16-2√(29)+2√(55-10√(29))) の周辺 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12155944522 f(y)=y^4-54*y^2-40*y+269=0 の最小分解体を題材に ガロア群の部分群と中間体を調べる過程を紹介してみよう f(y)=0の4つの解は次のように表示できる: a = √5+√(22+2√5) b =-√5+√(22-2√5) c = √5-√(22+2√5) d =-√5-√(22-2√5) 最小分解体 L = Q(a,b,c,d) を考える(a,b,c,dの有理式で書ける数の集合という意味である) L/Q のガロア群がD4だという前情報がある。 ということはLの元でQ上線形独立な元が8個とれるはずである。 --- a^2 = 27+2√5 + 2√(110+10√5) a^3 = 30+71√5 + 37√(22+2√5) + 2√(110+10√5) √(22+2√5)*√(22-2√5) = 4√29 などから、次のように"線形基底"をとることにする: {1,√5,√29,√145,√(22+2√5),√(110+10√5),√(22-2√5),√(110-10√5)} この順に {1,X,Y,XY,Z,XZ,W,XW} とでも名付けることにした。 これらは線形独立でありLの任意の元はこれらの線形結合で表される。 --- L/Q のガロア群G の元gとはQの元を固定するLからLへの自己同型写像である。 つまりLの元 x,yに対してg(x)g(y)=g(xy),g(x+y)=g(x)+g(y)を満たす ちょっとした考察で、g(Z),g(W)を決めれば 写像gは決定されることが分かる。 なぜなら g(Y)=g(ZW/4), g(X)=g((Z^2-22)/2) が成り立つからである。 g(Z)が取り得る候補は4つである。Z,-Z,W,-Wのどれかである。 なぜなら (Z^2-22)^2 - 20 = 0 が成り立つことと 自己同型性から (g(Z)^2-22)^2 - 20 も成り立つ必要があるからである。g(W)も同様である。 g(Z)=±Z,g(W)=±W となる場合と g(Z)=±W,g(W)=±Z となる場合が4通りずつで このようにして確かに Gの元は8個ある。 [問] g(Z)=W,g(W)=W のような場合が不適であることを納得せよ。 --- D4とは位数8の二面体群というものであるが、 これは正方形を自身に合同に重ねるような変換の群という由来である。 実際、正方形の頂点を Z,W,-Z,-W と名付ければ、上記と対応する。 (正方形の合同変換は先に述べたような変換を引き起こし 逆に先に述べたような変換は正方形の合同変換を引き起こす) この群は次の2つの元で生成される。 左に90度まわす元sと、上下を反転させるtである。作用としては s([Z,W]) = [W,-Z] と t([Z,W])=[Z,-W] である。 st のように書いたとき、これは t,sの順に作用させる元を意味することとする。 すなわち (st)([Z,W]) = s(t([Z,W])) = s([Z,-W]) = [W,Z] st≠ts であることに注意せよ。 D4 = {e,s,ss,sss,t,st,sst,ssst} である。(eは単位元) [問] tsはこのうちどれかと等しい。どれか。 D4の部分群とは、D4の部分集合で演算について閉じているものである。 部分群をもれなく書き出すのは意外と難しい。 元が2つからなる部分群が5つある。 {e,ss}, {e,t}, {e,st}, {e,sst}, {e,ssst} 元が4つからなる部分群は3つある。 {e,s,ss,sss},{e,ss,t,sst}, {e,st,ss,ssst} (他に自明な部分群{e} と D8自体がある。) これら部分群と、Q⊂M⊂L となる中間体Mが1対1に対応するというのがガロアの基本定理である。 Gの部分群Hに対する中間体Mは、{Hのどの元に対しても不変なLの元}が対応する。 自明な部分群にはLが対応し、D4自体には、Qが対応する。 元が2つからなる部分群には、Q上4次拡大となる中間体が、 元が4つからなる部分群には、Q上2次拡大となる中間体が対応する。 Lの線形基底へのGの元の作用を求めることにより、不変体が分かりやすい。 s([1,X,Y,XY,Z,XZ,W,XW]) = [1,-X,-Y,XY,W,-XW,-Z,XZ] t([1,X,Y,XY,Z,XZ,W,XW]) = [1,X,-Y,-XY,Z,XZ,-W,-XW] st([1,X,Y,XY,Z,XZ,W,XW]) = [1,-X,Y,-XY,W,-XW,Z,-XZ] ss([1,X,Y,XY,Z,XZ,W,XW]) = [1,X,Y,XY,-Z,-XZ,-W,-XW] ssst([1,X,Y,XY,Z,XZ,W,XW]) = [1,-X,Y,-XY,-W,XW,-Z,ZW] sst([1,X,Y,XY,Z,XZ,W,XW]) = [1,X,-Y,-XY,-Z,-XZ,W,XW] {e,s,ss,sss} で不変:[1,XY] すなわち Q(√145) {e,ss,t,sst} で不変:[1,X] すなわち Q(√5) {e,st,ss,ssst} で不変:[1,Y] すなわち Q(√29) {e,ss} で不変:[1,X,Y,XY] すなわち Q(√5,√29) {e,t} で不変:[1,X,Z,XZ] これは Q(a)と一致する(※) {e,sst}で不変:[1,X,W,XW] これは Q(b)と一致する。 {e,st}で不変:[1,Y,Z+W,XW-XZ] で Q(Z+W)と書ける。(※2) {e,ssst}で不変:[1,Y,Z-W,XZ+XW] で Q(Z-W)と書ける。 (※) a=X+Z, a^2=27+2X + 2XZ, a^3=30+71X+37Z+2XZ より aの多項式は{1,X,Z,XZ}の線形結合で表すことができている。 逆に {X,Z,XZ} を変数とする連立方程式と見なして解けば X,Z,XZ を aの多項式で表せる。 なおこのことから c=X-Z をaの多項式で表せることも分かる。 (※2) (Z+W)^2 = 44+8Y, (Z+W)^3 = 44(Z+W)+8Y(Z+W) = 88(Z+W)+4(XW-XZ) ∵4YZ=ZWZ=(22+2√5)W=22W+2XW, 同様に 4YW=22Z-2XZ これよりすぐ上の議論でaの役割を(Z+W)にさせて同様の議論。 これらをまとめて、ガロア群の部分群とL/Qの中間体の対応図が完成する。 ・bがaのQ(√29)係数多項式で書けること {1,X,Z,XZ} の線形結合はAの多項式で書けることが分かっている。 4YZ = 22W+2XW, 4YXZ = 22XW+10W を逆に解けば Wを 4YZ, 4YXZ の線形結合で書ける。 ・同様にbがaのQ(√145)係数多項式で書けることも分かる。
・4次方程式の4つの解をa,b,c,dとする。ガロア群がS4になる場合は [Q(a,b,c,d):Q]=24, [Q(a,b):Q] = 12, [Q(a):Q] = 4 の関係である この視点で次のような考察ができた: http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14156018199 ガロア群がA4になる場合は [Q(a,b,c,d):Q]=12, [Q(a):Q] = 4 である。Q(a,b,c,d)=Q(a,b)である。 このことからc,dをa,bの有理式で書けるはずである。 例えば F(x) = x^4-2x^3+2x^2+2 = 0 の解a,b,c,dについて考えた。 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10156016795 ウィキペディアに紹介されている「オイラーの方法」から a-1/2=-x-y-z, b-1/2=-x+y+z, c-1/2=x-y+z, d-1/2=x+y-z, A=4x^2, B=4y^2, C=4z^2, A,B,C は f(u)=u^3+u^2-9*u-1=0 の解 とおける A,B,Cの間に多項式関係がある B=(A^2-7)/2, C=(B^2-7)/2 この関係の機械的な求め方は http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/solution/solution3.htm で紹介されている。 これらの関係から A = (a+b-1)^2 B = ((a+b-1)^4-7)/2 C = ((((a+b-1)^4-7)/2)^2-7)/2 B-C = 4y^2-4z^2 = (a-b)(c-d) より c-d = (B-C)/(a-b) 一方 c+d-1 = 2x = -(a+b-1) c = (-a-b+2+(B-C)/(a-b))/2, d = (-a-b+2-(B-C)/(a-b))/2 によって c,dをa,bの有理式で表すことに成功する。 Q(a,b)の元はaの3次以下, bの2次以下の多項式で一意的に表せる。その形にすると: c = -((a^3-3*a^2-2*a+2)*b^2+(-4*a^3+12*a^2-6*a+6)*b+2*a^3-6*a^2+10*a-10)/14 d = ((a^3-3*a^2-2*a+2)*b^2+(-4*a^3+12*a^2-6*a-8)*b+2*a^3-6*a^2-4*a+18)/14 を得ることに成功する。 (余談:ちなみにこの分解方程式f(u)はガロア群がZ/3Zでありアーベル群である そのようなときf(u)の元は1の原始n乗根で表せるのがクロネッカーウェーバーの定理であった。 A,B,C = (sint)^3/{(sin(2t)sin(3t)sin(3t)}, t=2π/7 がその実現である。 この実現を使って解の間の多項式関係を調べることもできるだろう。)
・4次方程式のガロア群は、3次の分解方程式のガロア群と関係が深い 一般の4次方程式のガロア群と中間体の対応図を書いてみた。 (補足:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12169484987) a,b,c,dが4次方程式の解、x^2,y^2,z^2が分解方程式の解で Dは分解方程式の判別式である。VはS4の正規部分群。

・5次方程式の話題 ・5次方程式はBJ(Bring?Jerrard)標準形 x^5+Ax+B=0 に変換できる http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11152739461 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11150462346 http://homepage3.nifty.com/text/diary/static/Daisuugaku8.pdf http://repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/1612/1/ZD30301003.pdf ・有理数係数のBJ標準形が可解な必要十分条件は A=0 または 次の関係を満たすような有理数u,vが存在することらしい A=5u^4(4v+3)/(v^2+1), B=4u^5(2v+1)(4v+3)/(v^2+1) https://en.m.wikipedia.org/wiki/Quintic_equation#Quintics_in_Bring.E2.80.93Jerrard_form しかしよく読むとそこに書いてあるのは「x^5+ax+b = 0 が既約で a,b が有理数の時にそれが可解な必要十分条件」である ところが一般の5次方程式を x^5+Ax+B = 0 に変換した時、元が有理数係数でも A,Bは一般には有理数にできない。 なのでwikipediaに書いてあるのは、有理数係数5次方程式のうち 一部 に関する条件でしかない、ということに気がついた(2015/11/24) [2016/2/19追記] 解の間の関係 5次方程式のガロア群は5通りある:http://www.lmfdb.org/GaloisGroup/?n=5 C5,D5,F5,A5,S5 で位数はそれぞれ 5,10,20,60,120である。 解をa,b,c,d,eとおく。L=Q(a,b,c,d,e)とおく。 ・C5の場合 Q(a)=Lであり、b,c,d,eはaの多項式で表せる。 典型的な例が 2cos(2πk/11) を解に持つような場合で 方程式としては y^5+y^4-4*y^3-3*y^2+3*y+1=0 b=a^2-2, c=b^2-2, d=c^2-2, e=d^2-2 と関係づけられる。 ・D5の場合 上記データベースで例を探すと例えば F(x)=x^5-5*x^2-3 f(a,b)=f(a,c)=0, g(a,d)=g(a,e)=0 となるような yについて2次の多項式f(a,y),g(a,y)が存在する。 f(a,y)=3*y^2+(-a^4+a^3-a^2+6*a-3)*y+2*a^4+a^3-a^2-9*a-6 g(a,y)=3*y^2+(a^4-a^3+a^2-3*a+3)*y+3*a+3 c,d,e は a,bの多項式で表せる。(具体的な考察が後に有る。) ・F5の場合 f(a,b)=f(a,c)=f(a,d)=f(a,e)=0 となるような yについて4次の多項式f(a,y)が存在し、Q(a)係数で既約である。 これは(F(a)-F(y))/(a-y) で得ることができる。 c,d,e は a,bの多項式で表せる。 ・A5の場合 f(a,b,c)=f(a,b,d)=f(a,b,e)=0 となるような3次の多項式が存在しQ(a,b)係数で既約である ((F(a)-F(y))/(a-y)-(F(b)-F(y))/(b-y))/(a-b) で得られる。 d,eはa,b,cの多項式で表せる。 ・D5の場合 F(x)=x^5-5x^2-3 の解の関係 の詳細な考察(2017/2/4) 今回の考察には、代数体の計算に sage online を使った。 aを1つの零点とする。 Q(a)係数の範囲でF(x)を因数分解させると(x-a)f_a(x)g_a(x)と3つの因子に分解する。 3f_a(y)=3*y^2+(-a^4+a^3-a^2+6*a-3)*y+2*a^4+a^3-a^2-9*a-6 3g_a(y)=3*y^2+(a^4-a^3+a^2-3*a+3)*y+3*a+3 そこでf_a(y)の零点をb,c, g_a(y)の零点をd,e と名付ける。 次に、Q(a,b)係数でF(x)を分解させると1次式に完全分解し以下の表示を得る: c=(a^4-a^3+a^2)/3-2a+1-b d=ab-1 e=(-a^4+a^3-a^2)/3+a-ab [参考] sage online でのコマンド入力例: K.<a> = NumberField(x^5-5*x^2-3); R.<y> = PolynomialRing(K); factor(y^5-5*y^2-3); f = 3*y^2+(-a^4+a^3-a^2+6*a-3)*y+2*a^4+a^3-a^2-9*a-6; L.<b> = K.extension(f); S.<z> = PolynomialRing(L); factor(z^5-5*z^2-3); sage onlineの使い方については例えば: ・tsujimotterさんによる紹介 https://www.youtube.com/watch?v=zzvom5HfGY0 ・ネットで適当に見つけたコマンド集 http://fe.math.kobe-u.ac.jp/MathLibre-doc/sage-refcard/quickref/ja/quickref.pdf ------------ ガロア群Gal(L/Q)を考察したい。以下では次の2つの補題を紹介する。 [補題1] Kの拡大体Lにおいてα,βがK上共役ならばσ(α)=βとなるK-同型写像 L→L が存在する [補題2] K⊂M⊂L においてK-同型写像 M→M は K-同型写像L→Lに延長できる L=Q(a,b,c,d,e), M=Q(a)で補題2を適用すれば、 aを固定するGal(L/Q)の元は、Gal(L/M)の元を求めれば良い Q(a)上ではbとcが共役、dとeが共役である。 補題1よりbとcを入れ替えるGal(L/M)の元があるが、 「同型写像」の要請で、bとcを入れ替えると、dとeも必然的に入れ替わる (実際d=ab-1に対してe=ae-1の関係がある) 従って、aを固定するGal(L/Q)の元は、次の2つである: ・恒等写像 ・b,cを入れ替え、d,eも入れ替える。 次に、例えば、aをbに移すQ-自己同型写像を考えたい。(補題1より存在する) そこで、残りの解をどう移すのかを考察するためには、 f_a(y)のaをbに変えた2次式f_b(y)の零点が、解のうちどの2つかを知る必要がある。 これは手計算では難しいがsageにf_b(y)を因数分解させれば一発である。 f_b(y)の零点はa,eであることが判明する。 同型写像の要請で、f_a(x)の零点である{b,c}は、f_b(x)の零点である{a,e}に移る。 さらに同型写像の要請で、b,cの行き先を決めるとd,eの行き先が決まる。 a->b, b->a、c->eの場合、d=ab-1は固定、e=ac-1はbe-1=cに移る。 a->b, b->e、c->aの場合は、d->c, e->d となる。 aをc,d,eに移す場合もそれぞれ同様にして2つずつだけ定まる。 の結果を調べて集計すると、有り得る置換は次の10個であることが分かる: (abcde)(acbed)(baedc)(beacd)(cadeb)(cdabe)(dceba)(decab)(ebdca)(edbac) これらは図のように頂点を名付けた正五角形を合同に保つ変換として、 二面体群D5に同型であることが確認できる。 そういうわけで、Gal(L/Q)は二面体群D5に同型だったのだ。 (データベースサイト http://www.lmfdb.org/NumberField/ で確認できる。) この図をもとに、改めて解の関係を考察する。(以下の計算ではsageを必要としない) ガロア群の元が同型写像を与えることから、 「同じ位置関係にあれば同じ関係式が成り立つ」と言える。強力な関係である。 従って、2つの解x,yが与えられた時、 x,yが隣り合う時fx(y)=0、隣り合わない時gx(y)=0 である。 ※f_a(y),g_a(y)を定数倍して実際に対称的な関係であることを確認できる: 3(a^2+a)f_a(y) = ay(ay+a+y-2)+3 3(a+1)g_a(y) = ay(a+y)+a^2+y^2+2a+2y+1 3g_a(y)=3*y^2+(a^4-a^3+a^2-3*a+3)*y+3*a+3 の定数項に注目して g_a(y)=0の解はd,eなので、解と係数の関係より d=ab-1を得る。 変形して、b=(d+1)/a、同様の位置関係で e=(a+1)/dを得る 同様の位置関係で c=(b+1)/d であり、 先の結果と合わせて c=(b+1)/(ab-1)=(a+d+1)/ad を得る 同様の位置関係で e=(a+1)/(ab-1) を得る。 まとめて以下の結果を得る: ・隣り合う2つの解a,bを選んだとき残りの解は c=(b+1)/(ab-1), d=ab-1, e=(a+1)/(ab-1)  と表される ・隣り合わない2つの解a,dを選んだとき残りの解は b=(d+1)/a, c=(a+d+1)/ad, e=(a+1)/d  と表される (もちろん有理式表示は一意的ではないので他の表示も有り得る)

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