Speck上の高次Chow群の余次元1の場合CH^1(Speck,q)の、平易な視点での描写と観察

・q=2
xyz空間の4つの平面H1:x=0,H2:y=0,H3:z=0,H4:x+y+z-1=0上の代数曲線(のZ-線形結合)D1,D2,D3,D4を、
共有する直線との交わりが合致するように定めてあれば
(例えばD1とz軸の交わりと、D2とz軸の交わりが一致するような要求)
曲面(のZ-線形結合)Sがあって、SとHiの交わりがDiに一致するようにできる。

*D1,D2,D3が0で、D4が、3直線 H1∩H4,H2∩H4,H3∩H4 と交わらない場合が本質的で、これに帰着できるらしい。
(踏み込むと、ドールド・カン対応と呼ばれるものに関係するらしい)

 零点がそのようなD4を定める関数f∈k[x,y,z]/(x+y+z-1)を考える。
 直線上の零点も極も持たない関数は定数関数しか存在しないので、fの直線Hiへの制限は定数関数である。
 さらに3直線は互いに交わるから、fの3直線への制限は共通の定数関数である
 従って (H4上の関数として) f≡u (mod xyz) 

*よって (x+y+z-1)を法とする剰余類としての代表元をうまく選べば、
 xyz空間の関数として F を (x+y+z-1) で割った剰余がfに一致するもので、
 F≡hxyz-u  (mod x+y+z-1), (h∈k[x,y,z],u∈k*) と書けるものがある。
 この代表元によって持ち上げた方程式 hxyz-u=0 が定める曲面が、目的の曲面となる。

*q≧3でも同様である

---

・q=1

xy平面の3つの直線L1:x=0,L2:y=0,L3:x+y-1=0上の(重複度つき)点集合D1,D2,D3を、
交点における重複度(例えばD1のy=0と、D2とx=0の重複度)が一致するように定めてあれば、
曲線Cがあって、CとLiの交わりがDiに一致するようにできるかどうかを考える。

実は、できるような集合(部分群をなす)で割った商が、k*と同型であると記述できる。

*同様に、D3だけ非零で、(x,y)=(1,0),(0,1)を避けた因子である場合を考えれば良い。
*q=2の場合との違いとして、「3直線は互いに交わる」に相当する部分が成り立たない。

D3を定める関数f∈k[x,y]/(x+y-1)をとる。
f(1,0)/f(0,1)∈k* が、代表元の取り方に依存せず決まり、
これが1であることが、目的の曲線が存在する条件である。
(そういうわけで、条件を満たす部分群で割った商が、k*と同型になると記述される)

*目的の曲線の方程式をF=0とおくと、Fのx=0への制限が定数で、y=0への制限も定数で、
 x=0とy=0は互いに交わるから、共通の定数であり、従ってF(1,0)=F(0,1)が要求される。
*逆に、fが上記の条件を満たすときに目的の曲線が存在することを以下に構成する。

*y=1-xによって、f=Π(x-x座標) とおいてxの関数とみなすとf(0)=f(1)なので、fを(x^2-1)で割った余りが定数である。
 すなわち f≡h(x^2-1)-u≡hxy-u とおけて、この代表元によって持ち上げた方程式hxy-u=0が目的の曲線を定める。
(p.226のX=Spec k, r=1, q=1の「ケース1と同様の計算から従う」の内容に相当)

*例
D = (2,-1) + (3,-2) + (a,b) の場合、6x=-2y が要求され、(a,b)=(-1/2,3/2) となる。
f = (x-2)(x-3)(2x+1) = (2x-7)(x^2-x) + 6 ≡ (2x-7)(-xy) + 6 である。
この代表元 (2x-7)(-xy) + 6 = 0 が目的の曲線となる。

・図形的な考察から、k⊂Rな場合、(x,y)=(1,0),(0,1)の間の零点の個数は偶数である必要がある。
(曲線が、(0,0),(1,0),(0,1)で囲まれる三角形に入る回数と出る回数を考える。)
 これは、条件が、Π(x座標)/(-y座標) = 1 と変形できることから実際に要求される。

---

・q=0

x軸の2点 P1:x=0, P2:x=1 を考えると、P1,P2は次元0だから、余次元1の因子は存在しない。

---
2021/10/30

ノート一覧 inserted by FC2 system