p=, m=, 有限体を生成:
 


例えばwikipediaなどにも書いてあるように以下の事実があるらしい:

F_q上の非特異射影代数曲線の合同ゼータ関数Z(t)は、Z(t)=Π(1-ω[i]*t) / (1-t)(1-qt) と書けて、
Z'(t)/Z(t) をテイラー展開した(n+1)次の係数が、曲線のF_(q^n)範囲の点の個数に一致する。
分子は2g(gは曲線の種数)個の積で、ω[i]はq乗フロベニウス写像の固有値で、絶対値が√qである。

X^p-X=Y^kの非特異射影モデルは、アルティン・シュライヤー曲線と呼ばれる。(このノートでは曲線Aと呼ぶ)
 この合同ゼータ関数のω[i]には、ガウス和をマイナスにしたものが現れる。
X^k+Y^k=1の非特異射影モデルは、フェルマー曲線と呼ばれる。(このノートでは曲線Fと呼ぶ)
 この合同ゼータ関数のω[i]には、ヤコビ和をマイナスにしたものが現れる。

https://web.math.princeton.edu/~nmk/old/CrCohDModJacSum.pdf
176ページのセクションII~, 系2.2(2), 系2.4(2) でこの事実を知った。
その後、別の資料https://www.ams.org/journals/proc/1988-102-03/S0002-9939-1988-0928961-7/S0002-9939-1988-0928961-7.pdf
でこの事実の根拠を理解したので、別のページに紹介する。

このページではスクリプトを使って、有限体のガウス和とヤコビ和を計算し、
曲線Aや曲線FのF_q点の個数を計算するスクリプトを利用し、
いくつかの例で合同ゼータ関数を明示し、いくつかの観察を紹介する。

定義:
有限体F_qの原始根rをとっておく。kを(q-1)の約数とする。
F_qの乗法群から、1のk乗根への準同型χを定めることができる:
x=r^n のとき、χ(x)=exp(2πi*n/k)
F_qの加法群から、1のp乗根への準同型ψを定めることができる:
ψ(x)=exp(2πi*Tr(x)/p)

(χ^a,ψ^bに関する)ガウス和は、G(χ^a,ψ^b) = Σχ(x)^a*ψ(x)^b [x∈F_q, x≠0]
(χ^a,χ^bに関する)ヤコビ和は、J(χ^a,χ^b) = Σχ(x)^a*χ(1-x)^b [x∈F_q, x≠0,1]
と計算する。断りが無ければa=b=1 で考えている。(どうせ他は共役だろうという文脈)
ガウス和は、1の原始(pk)乗根の多項式、ヤコビ和は1の原始k乗根の多項式となる。

[いくつかの知見のまとめ]
・aがkの倍数でなく、bがpの倍数でないようなa,bの組に対するG(χ^a,ψ^b)たちが曲線Aの、
 a,b,a+bがkの倍数でないようなa,b(mod k)の組に対するJ(χ^a,χ^b)たちが曲線Fの合同ゼータ関数の分子を構成する。
 その結果、分子の次数はそれぞれ(k-1)(p-1), (k-1)(k-2)/2 となる。

・q=p^nのガウス和をマイナスにしたものは、q=pのガウス和をマイナスにしたもののn乗に一致する。
 ヤコビ和についても同様の関係が成立する。

・ガウス和の素イデアル分解については綺麗な規則がある。
 https://www.bprim.org/sites/default/files/jacn.pdfのセクション3で説明されている。
 pをk次円分体で分解した時の素イデアルの1つをa[1]として、
 1の原始k乗根をζとしてζをζ^(-c)に移す準同型によってa[1]がa[c]に移るとおく。
 そうすると、(G^m) = Πa[c]^(c mod k) と書ける。(c mod kは0≦c mod k<kの範囲でとる)
 ここでmは、Gのノルムが√qになるように調整すれば良い。(pが完全分解する場合は、mはkに一致する。)
 a[c]は単項イデアルとは限らないが、この右辺の積は単項イデアルになる。

・例えばk=47とする。素数pがQ(√-47)で2つの素イデアルa,bに分解するとする。
 適当なガウス和を考えると、a^(平方剰余の和/41)*b^(平方非剰余の和/41) = a^9*b^14 = p^9*b^5 が単項イデアルになると分かる。
 こうして、Q(√-47)の任意のイデアルは5乗すると単項イデアルになることが分かる。
(実際、Q(√-47)の類数は5で、イデアル類群はZ/5Zである)
 k=7の観察の後でこのあたりを観察した。
 資料にあるように、これを踏み込むと、Stickelbergerの定理に至るのだと思う。(追っていない)

*しかしこの視点では、ガウス和の1の冪根倍の違いを記述できずにいる。
 最後のk=20で、この部分が非自明である様子を観察して終わっている。

[追記]
ところが、これを調べる規則を知った。
k=q-1で考える。pの上にある素イデアルPを原始根の選び方に連動して選ぶと(後述)、
G(χ^k)/(ζ_p-1)^k ≡ -1/k! (mod P)
J(χ^a,χ^b) ≡ -(a+b)! / a!b! (mod P)
が成り立つことを知った。詳細と、いくつかの具体的な観察を一番下に追記した。

[スクリプトについて]
*スクリプトはその場しのぎのもので、計算効率などは全然良くない。
*ガウス和とヤコビ和は1の冪根の多項式の形で出力する。
 ある程度は自動で簡略化を試みたが、簡略化しきれていないこともしばしばある。
*私の環境では有限体の位数が4桁以上ぐらいになるとjavascriptでは厳しかった。
https://stackoverflow.com/questions/35141011/in-pari-gp-how-to-find-a-primitive-element-of-finite-field
を参考にしてPARI/GPで例えばx^3-x=y^4のF_6561点の個数を次のように数えた。(計算効率は全く最適化していない。)

q=3
n=8
var = 'x; \\ sets a variable in the polynomial representation of finite field
f = ffgen(ffinit(q, n)); \\ GF(q^n) ~ GF(q)[x]/. Note `f` is just an irreducible
a = ffprimroot(f); \\ gets a root `a` of `f`
poly = minpoly(a, var); \\ finds a minimal polynomial for `a`
r = ffgen(poly, var); \\ finds a root of the minimal polynomial
ret=0
{
  for (i = 1, q^n-1 ,[print([i,ret]),
    for (j = 1, q^n-1,
      if((r^i)^3-r^i==(r^j)^4, ret++)   
  )]) 
}

[[k=2]] 2次のガウス和はよく知られていて、pが4N+1素数のとき±√p, pが4N+3素数のとき±√-pである。 ・p=q=5 の場合 ガウス和はG=±√5 Aの合同ゼータ関数は、Z(t) = (1-5t^2)^2 / (1-t)(1-5t), Z'(t)/Z(t) = 6+6t+126t^2+526t^3+3126t^4+... X^5-X=Y^2 のF_q範囲の点は q=5のとき5個, q=25のとき5個, q=125のとき125個, q=625のとき525個 (無限遠点1個を考慮すると上記の係数と一致する) Fの合同ゼータ関数は、Z(t) = 1 / (1-t)(1-5t), Z'(t)/Z(t) = 6+26t+126t^2+626t^3+3126t^4+... X^2+Y^2=1 のF_q範囲の点は q=5のとき4個, q=25のとき24個, q=125のとき124個, q=625のとき524個 (無限遠点2個を考慮すると上記の係数と一致する) *a,b,a+bがkの倍数でないようなa,b(mod k)の組は存在しないのでFの合同ゼータ関数に貢献するヤコビ和は存在しない ・p=q=7, X^7-X=Y^2 の場合 G=±√-7, Z(t) = (1+7t^2)^3 / (1-t)(1-7t), Z'(t)/Z(t) = 8+92t+344t^2+2108t^3+... X^7-X=Y^2 のF_q範囲の点は q=7のとき7個, q=49のとき91個 q=343のとき343個で、係数と合致する。 ・p=5, q=25の場合 G=-5, Z(t) = (1-10t+25t^2)^2 / (1-t)(1-25t), Z'(t)/Z(t) = 6+526t+15126t^2+... [観察] これはp=q=5の場合のtの奇数時の部分を取り出した結果であり、p=q=5のZ(t)とZ(-t)を掛けてt^2をtと置き直したものに相当する。 この辻褄と合致して、q=p^nのガウス和をマイナスにしたものは、q=pのガウス和をマイナスにしたもののn乗に一致する。 ヤコビ和についても同様の関係が成立する。 W(t) = Z(√t)Z(-√t) とおくと W'(t)/W(t) = Z'(t)Z(-t)-Z(t)Z'(-t) / 2√t*Z(t)Z(-t) = [Z'(√t)/Z(√t) - Z'(-√t)/Z(-√t)] / 2√t これはZ'(t)/Z(t)の奇数時の部分を取り出して次数を改めたものに相当する。 [観察] q=p^2のA上のF_q範囲の点の個数について具体的にも説明できる。 X^p-Xが取る値は「準虚数」であり pが4N+1型のとき「準虚数」はすべて平方非剰余 pが4N+3型のとき「準虚数」は平方剰余と平方非剰余が半分(p-1)ずつ 平方剰余な準虚数1つあたり、Xがp個、Yが2個あるから、2p(p-1)個のF_q点が発生する。 p=7のとき、84で、上記のq=7のときとq=49のときの差と確かに一致する。
[[k=3]] ・p=7 ガウス和は、(7±21√-3)/2 の3乗根 Aの合同ゼータ関数は、Z(t) = (1+7*t^3+343*t^6)^2 / (1-t)(1-7t), Z'(t)/Z(t) = 8+50t+386t^2+2402t^3+... X^7-X=Y^3 のF_q範囲の点は q=7のとき7個, q=49のとき49個, q=343のとき385個 ヤコビ和は、(1±3√-3)/2 Fの合同ゼータ関数は、Z(t) = (1+t+7*t^2) / (1-t)(1-7t), Z'(t)/Z(t) = 9+63t+324t^2+2331t^3+... X^3+Y^3=1 のF_q範囲の点は q=7のとき6個, q=49のとき60個, q=343のとき321個 [観察] q=p^2のA上のF_q範囲の点の個数について具体的な描写: 準虚数のうち1/3個=(p-1)/3個が立法剰余であり、1個あたり3p個のF_q点が発生するから、p(p-1)個のF_q点が発生する。 q=pのときとq=p^2のときの差と確かに一致する。 [観察] q=p^3でも、X^p-Xの取る値は共役の差であり、 例えばF_343をF_7(2^(1/3))とおくと、X^p-Xの取る値は、a+b*2^(1/3)+c*4^(1/3)のうち、a=0な49個であることが分かる。 そのうち立法剰余の個数をNとおくと、3pN = 6*Tr(G) の関係が分かるから、N=2*Tr(G)/pと分かる。 [観察] ガウス和とヤコビ和の素イデアル分解状況 ガウス和とヤコビ和の間には、J(χ,χ') = G(χ,ψ)G(χ',ψ)/G(χχ',ψ)の関係がある a=(1-3√-3)/2 の3乗根の1つをαとおき、βをその複素共役とおくと、 G(χ,χ)=ααβ, G(χ^2,χ)=αββ, J(χ,χ)=a という状況で、上記の関係を満たしている。 [観察] pを3N+1素数とする。Qに1の原始3p乗根を添加した体は、Q(√-3)上の3次拡大を含み、ガウス和による拡大がそれである。  http://searial.web.fc2.com/aerile_re/kummer.html の最後にこのあたりのことを観察した。  この拡大がノルムが1な元の3乗根の添加でも実現できることは、G(χ,χ)=ααβ=a*(β/α) から分かる。 [観察] これらの辻褄から、一般な3N+1素数pとk=3に対するガウス和を次のように描写できる:  ノルムがpであるQ(√-3)の代数的整数のうち、√-3の「係数」が3の倍数であるものをaとすると、ガウス和は(ap)の3乗根である。 (2番目の条件は、3乗根を添加するときに3の上の素点で分岐しない条件に相当する。) (符号の選択は特定できていない) ・p=5の場合 kが(p-1)の約数でないので、q=25で計算することになる。 ノルム5の元はQ(√-3)には±5しか存在しないので、ガウス和やヤコビ和は±5になるしかない。 実際、G=5, J=5となる。 曲線のF_25^n点の個数はそれぞれ 65,425,16625,... 33,573,,... となっていて Z(t) = (1+5*t)^8 / (1-t)/(1-25*t), Z'(t)/Z(t)=66+426t+16626t^2+.. Z(t) = (1+5*t)^2 / (1-t)/(1-25*t), Z'(t)/Z(t)=36t+126t^2+576t^3+3126t^4+.. の係数と合致する。 [観察] 曲線のF_5^n点の個数はそれぞれ 5,65,125,425,3125,16625,... 5,33,125,573,3125,... となっていて W(t) = (1+5*t^2)^4 / (1-t)/(1-5*t), W'(t)/W(t)=6+66t+126t^2+426t^3+3126t^4+16626t^5+.. W(t) = (1+5*t^2) / (1-t)/(1-5*t), W'(t)/W(t)=6+36t+126t^2+576t^3+3126t^4+.. の係数と合致する。 これは、k=2,q=25で観察した操作の逆を考えて、W(t)W(-t)=Z(t^2)の関係にあるものを試したものである。 q=5ではガウス和やヤコビ和はうまく定義されないが、このような場合も、 q=25の結果を使うと、q=5の場合の合同ゼータ関数(フロベニウス写像の固有値)を得ることができる。 (これで決定できている保証はない)
[[k=4]] ・p=q=5 G = sqrt[sqrt(5)*(-1±2i)] // y^8+30y^4+625=0 の解 J = -1+2i AとFの合同ゼータ関数はそれぞれ Z(t)=(1+30*t^4+625*t^8)(1-t^2)^2 / (1-t)(1-5t), Z'(t)/Z(t) = 6+6*t+126*t^2+646*t^3+3126*t^4+... Z(t)=(1-2*t+5*t^2)*(1+2*t+5*t^2)^2 / (1-t)(1-5t), Z'(t)/Z(t) = 8+44*t+104*t^2+668*t^3+3208*t^4+... AとFのF_5^n点の個数はそれぞれ 5,5,125,645,... 8,40,104,664,...(nが偶数のときに無限遠点4個)で合致する [観察] αを-1+2iの4乗根、βをその複素共役とおくと、G1=α^3β, G2=√5, J=αという状況である。 k=4のガウス和とヤコビ和は過去ノートで考察した。 J(χ,χ)はノルムがpであるQ(i)の代数的整数のうち、実部≡3 (mod 4) で特定されるのであった。 [観察] 因子(1+30*t^4+625*t^8)はG(χ),G(χ^3)に由来し、(1-t^2)^2はG(χ^2)に由来する。 因子(1-2*t+5*t^2)はJ11,J33に由来し、(1+2*t+5*t^2)^2はJ12,J21,J23,J32に由来する。[J(χ^a,χ^b)をJabと略記している] (今回の場合、J21=1-2i, J23=1+2iであることが上記の過去ノートの結果からも分かる) [観察] より対称的なX^4+Y^4+Z^4=0ならJabの分子は上記のように1次と2次に分解することなく、 Z(t)=(1-2*t+5*t^2)^3/(1-t)(1-5t) = 44*t+192*t^2+668*t^3+2880*t^4+... となって 確かに F_5^n点の個数 0,40,192,664,... と合致する。 (pが8N+1素数のときは-1が4次剰余なのでX^4+Y^4+Z^4=0はX^4+Y^4=Z^4と同型となる。) [指摘] このフェルマー曲線のヤコビ多様体が、3つの楕円曲線の積と同種という視点も 別の過去ノートで考察した。 ・p=3の場合は、ガウス和やヤコビ和の定義にはq=9をとる必要がある。 ガウス和は G(χ)=G(χ^3)=-3 で、G(χ^2)=3 ヤコビ和はすべて3 F_9^n点の個数は 3,27,675,6075,... 24,24,888,6072,... Z(t)=(1-3*t)^4*(1+3*t)^2/(1-t)/(1-9*t), Z'(t)/Z(t)=4+28t+676t^2+6076t^3+... Z(t)=(1+3*t)^6/(1-t)/(1-9*t), Z'(t)/Z(t)=28+28t+892t^2+6076t^3+... [観察] k=3,p=5の場合と同様の考察に、q=3の場合の合同ゼータを補完することができた: F_3^n点の個数は 3,3,27,27,243,675,2187,6075,... 4,24,28,24,244,888,2188,6072,...(nが偶数のときに無限遠点4個) W(t)=(1-3*t^2)^2*(1+3*t^2)/(1-t)/(1-3*t), Z'(t)/Z(t)=4+4t+28t^2+28t^3+244t^4+676t^5+2188t^6+6076t^7+... W(t)=(1+3*t^2)^3/(1-t)/(1-3*t), Z'(t)/Z(t)=4+28t+28t^2+28t^3+244t^4+892t^5+2188t^6+6076t^7+... [観察] G(χ^2)は、k=2,q=9のガウス和に一致するから、 k=2,q=3のガウス和をマイナスにして2乗してマイナスにする操作で、-(√-3)^2 = +3 と得られる。
[[k=5]] ・p=q=11 G^5 = -979/4 + 275√5/4 ± 55(3+2√5)√((-5-√5)/2) ... これはQ(ζ_5)の元 J = 2+4z+z^3+2z^4 合同ゼータ関数 Z(t) = (1+979*t^5+467181*t^10+157668929*t^15+11^10*t^20)^2 / (1-t)(1-11t) Z(t) = (1+t-9*t^2+11*t^3+121*t^4)^3 / (1-t)(1-11t) 対数微分はそれぞれ Z'(t)/Z(t) = 12+122t+1332t^2+14642t^3+151262t^4+1771562t^5+... Z'(t)/Z(t) = 15+65t+1515t^2+15365t^3+162240t^4+1781765t^5+... F_11^n点の個数はそれぞれ 11, 121, 1331, .. 10, 60, 15105, .. [観察] Jは、4+√5でも4-√5でも割り切れない。 11の上にあるQ(ζ)の素イデアルを(適切に)a,b,c,dとおくと、(G(χ))^5=a*b^2*c^4*d^3 と書ける。 (1の原始5乗根をζとおき、ζをζ^2に送る準同型によってa→d→c→b→aと移るとおいた。) そうすると、(G2)^5=d*a^2*b^4*a^3で、ガウス和とヤコビ和の関係より (J)=(G1^2/G2) = cd で辻褄が合う。 (acとbdの組が4±√5を与える状況である) [観察] いくつかのガウス和を掛けたり割ったりして、4+√5を得られないかなと思ったが、無理だった。 (G1)^5=a*b^3*c^4*d^2 (G2)^5=a^2*b*c^3*d^4 (G3)^5=a^4*b^2*c*d^3 (G4)^5=a^3*b^4*c^2*d を掛けたり割ったりして a^5*c^5やb^5*d^5を得るのは不可能という意味である (単数倍の違いを標準的に選ぶ根拠がないから、そんな気はする) [観察] これはQ(ζ_5) ⊂ M ⊂ Q(ζ_55) の中間5次拡大 M/Q(ζ_5) を、Q(ζ_5)の元の5乗根の添加で得る課題の答えを与えている。 (基礎体が1の原始5乗根を持つのでクンマー理論により5次巡回拡大は冪根拡大である。) 昔のノートの「1の原始11乗根を冪根拡大で表す」課題と関係する。 ・p=q=19の場合 G=J=19 となる [観察] 完全分解でも惰性でもない例として無理数を期待したが、そうならなかった。 (ここでも確かに、単数倍の違いを標準的に選ぶ根拠がないから、そんな気はする) ガウス和の素イデアル分解を理解してから考え直すと、(G^5)=a*b^2*a^4*b^2=a^5*b^5=(p^5) で納得した。
[[k=6] ・p=q=7 G(χ,ψ) = [ 7*(-71-39√-3)/2 ]^(1/6), y^12+497*y^6+117649 J = (5-√-3)/2 G(χ^2,χ^4)はk=3,G(χ^3)はk=2の場合に帰着する。 k=3で使ったa=(1-3√-3)/2, b=(1+3√-3)/2を使うと G(χ)^6 = -a^5*b G(χ^2)^6 = a^4*b^2 G(χ^3)^6 = -a^3*b^3 G(χ^4)^6 = a^2*b^4 G(χ^5)^6 = -a*b^5 -b/aの6乗根をγとおき、詳しく調べると、1の6乗根ζ=(1-√-3)/2を使って G(χ,ψ) = aγ G(χ^2,ψ) = ζ*a*γ^2 G(χ^3,ψ) = ζ^3*a*γ^3 G(χ^4,ψ) = ζ^2*a*γ^4 G(χ^5,ψ) = aγ^5 G(χ,ψ^2) = ζ^4*a*γ G(χ,ψ^3) = ζ^5*a*γ G(χ,ψ^4) = ζ^2*a*γ G(χ,ψ^5) = ζ^1*a*γ G(χ,ψ^6) = ζ^3*a*γ のような関係があることが分かった。 J(χ^a,χ^b)=G(χ^a,ψ)G(χ^b,ψ)/G(χ^ab,ψ) の関係からこれをJabと略記すると J11 = aζ^5 = (5-√-3)/2 J12=J21=J23=J32 = aζ^4 = 2+√-3 J13=J31 = aζ = -2-√-3 J14=J41 = aζ^2 = (-5+√-3)/2 J22 = a = (1-3√3)/2 (残りは、J(χ^(-a),χ^(-b))がJ(χ^a,χ^b)の複素共役であることで省略した。 これらにより、合同ゼータ関数は次のようになると分かる: Z(t) = (1-497t^6+117649t^12)*(1+7*t^3+343*t^6)^2*(1+7t^2)^3 / (1-t)(1-7t) Z(t) = (1+t+7t^2)(1+5t+7t^2)(1+4t+7t^2)^4(1-4t+7t^2)^2(1-5t+7t^2)^2 / (1-t)(1-7t) Z'(t)/Z(t)=8+92*t+386*t^2+2108*t^3+16808*t^4+... Z'(t)/Z(t)=12+18*t+264*t^2+2826*t^3+16572*t^4+... 対応するF_7^n点の個数は 7,91,385,.. 12,12,264,..(nが偶数のときには-1の6乗根が存在し、6個の無限遠点が存在する) で合致する。 [観察] k=4の類推で、このフェルマー曲線のヤコビ多様体は10個の楕円曲線の積と同種なのだろうか? 単数倍の分布は、かなり非自明で、調べるのが少し大変だった。 k=4の類推で、12N+1型素数ではより対称的な挙動になることが予想された ・p=q=13 J11=J14=J41 = (7-√-3)/2 J12=J21=J13=J31=J23=J32 = -1+2√-3 J22 = (-5-3√-3)/2
[[k=7]] 7N+1,2,4型素数pに対してq=p^3を考えると、p=a^2+7b^2となるa,bを得られることを期待し、その通りだった。 ・p=2, q=8 G(χ)=G(χ^2)=G(χ^4) = -1+√-7 G(χ^3)=G(χ^5)=G(χ^6) = -1-√-7 ・p=11,q=1331 G(χ)=G(χ^2)=G(χ^4) = 11*(-2+√-7) G(χ^3)=G(χ^5)=G(χ^6) = 11*(-2-√-7) [考察] kを4N+3型素数とする。Q(√-k)が単項イデアル整域とは限らない。 最初の例は、k=23 で、イデアル類群は位数3の巡回群である。 p=23N+1型のとき、pは22個の素イデアルに分解する。 それらの素イデアルをa,b,c,..,vとおいて、 ζをζ^5に送る写像によってアルファベット順に置換されるとおくと (G(χ)) = (a*b^5*c^2*d^10*e^4*f^20*.... )の23乗根 という形になる。 (G(χ)G(χ^2)G(χ^4)...) という11個の積の単項イデアルを考えると、 a,c,e,..の係数は (1+2+4+8+16+9+18+13+3+6+12)/23、b,d,f,..の係数は (5+10+20+17+11+22+21+19+15+7+14)/23 となる。 整理すると、(G(χ)G(χ^2)G(χ^4)...) = (ace..)^4*(bdf..)^7 となる。 ここでガロア作用を考えると、(ace..)と(bdf..)が、pのQ(√-23)における分解先の2つの素イデアルを与える。 pが23N+1型でない、23を法とする平方剰余とする。pはQ(√-k)でもk次円分体でも、2つの非単項イデアルa,bに分解する。 q=p^11 のガウス和の生成する単項イデアルは、形式的にa=c=e=..., b=d=f=... とおいたもので、 G^23 = [a^(1+2+4+8+16+9+18+13+3+6+12)*b^(5+10+20+17+11+22+21+19+15+7+14)] = a^4*b^7 となる。 どちらの場合も、pがQ(√-23)でa,bに分解するとき、a^4*b^7=p^4*b^3が単項イデアルになることが言えた。 ここから、Q(√-23)の任意のイデアルは3乗すると単項イデアルになることが要求され、これは事実と合致する。 一般化を考える: kを4N+3型素数とする。平方剰余の和をxk、平方非剰余の和をykとおく。x+y=(k-1)/2となる。 pをk次円分体で2つの素イデアルa,bに分解する素イデアルとする。(pはkを法とする平方剰余となる。) そうすると上記の議論のようなガウス和を考えると、a^x*b^yが単項イデアルになることが要求される。 従って、Q(√-k)の任意のイデアルは|x-y|乗すると単項イデアルになる。 [観察] 例:k=47のとき、INTEGERSの一覧によるとQ(√-k)の類数は5である。 平方剰余の和は 1+2+4+8+16+32+17+34+21+42+37+27+7+14+28+9+18+36+25+3+6+12+24 = 9*47 であり 従って平方非剰余の和は、14*47 である。上記の記述でx=9,y=14に相当し、要求を満たしている!
それでは、p=a^2+5b^2となるa,bを得ることはできるのだろうか? ζを1の原始20乗根とすると、√-5は、ζ+ζ^3+ζ^7+ζ^9で生成される。 [[k=20]] ・p=41 [観察] pは8個の素イデアルに分解される。1つをa[1]として、ζ^cをζに送る準同型でa[1]がa[c]に移るとする。 G(χ)^20 = a[1]*a[3]^3*a[7]^7*a[9]^9*a[11]^11*a[13]^13*a[17]^17*a[19]^19 G(χ^2)^20 = a[1]^2*a[3]^4*a[7]^14*a[9]^18*a[11]^2*a[13]^4*a[17]^14*a[19]^18 G(χ^3)^20 = a[1]^3*a[3]^9*a[7]^1*a[9]^7*a[11]^13*a[13]^19*a[17]^11*a[19]^17 G(χ^4)^20 = a[1]^4*a[3]^12*a[7]^8*a[9]^16*a[11]^4*a[13]^12*a[17]^8*a[19]^16 G(χ^7)^20 = a[1]^7*a[3]^1*a[7]^9*a[9]^3*a[11]^17*a[13]^11*a[17]^19*a[19]^13 G(χ^9)^20 = a[1]^9*a[3]^7*a[7]^3*a[9]^1*a[11]^19*a[13]^17*a[17]^13*a[19]^11 G(χ^10)^20 = a[1]^10*a[3]^10*a[7]^10*a[9]^10*a[11]^10*a[13]^10*a[17]^10*a[19]^10 等という状況である。 a[1]a[3]a[7]a[9], a[11]a[13]a[17]a[19]が、単項イデアル(6±√-5)に相当する。 J(χ,χ)^20 = {a[11]*a[13]*a[17]*a[19]}^20 J(χ,χ^3)^20 = {a[11]*a[13]*a[17]*a[19]}^20 J(χ^3,χ^7)^20 = {a[11]*a[13]*a[17]*a[19]}^20 J(χ,χ^9)^20 = {a[11]*a[13]*a[17]*a[19]}^20 などが成り立つが、1の20乗根分の自由度が自明でない。 [観察] 詳しく調べると [G(χ)G(χ^9)]^2 = [G(χ^3)G(χ^7)]^2 = -41(6-√-5)^2 G(χ)G(χ^3)G(χ^7)G(χ^9) = 41(6-√-5)^2 J(χ,χ) = ζ^3*(6-√-5) J(χ^3,χ^3) = ζ^9*(6-√-5) J(χ^7,χ^7) = ζ*(6-√-5) J(χ^9,χ^9) = ζ^7*(6-√-5) J(χ,χ^3) = ζ^18*(6-√-5) J(χ^7,χ^9) = ζ^2*(6-√-5) J(χ,χ^7) = ζ^6*(6-√-5) J(χ^3,χ^9) = ζ^14*(6-√-5) J(χ,χ^9) = ζ^15*(6-√-5) J(χ^3,χ^7) = ζ^5*(6-√-5) 他の20N+1素数でも、ζの肩が同様の挙動をするのかどうかは分からない・・ もう1つだけ観察してみる。 ・p=61, 目的は 4±3√-5 J(χ,χ) = ζ^3*(6-√-5) J(χ^3,χ^3) = ζ^9*(6-√-5) J(χ^7,χ^7) = ζ*(6-√-5) J(χ^9,χ^9) = ζ^7*(6-√-5) J(χ,χ^3) = ζ^18*(6-√-5) J(χ^7,χ^9) = ζ^2*(6-√-5) J(χ,χ^7) = ζ^6*(6-√-5) J(χ^3,χ^9) = ζ^14*(6-√-5) J(χ,χ^9) = ζ^15*(6-√-5) J(χ^3,χ^7) = ζ^5*(6-√-5) ζの指数は同じ結果だった!これが一般化されるなら、例えば 「pが20N+1型素数のとき、J(χ,χ)/ζ^3 を計算すれば、p=a^2+5b^2となるa,bを得られる」? [追記] このζの指数はヤコビ和を計算するときの原始根の取り方に依存して、(√-5を固定する範囲で)特定できない 共役の考察から、「pが20N+1型素数のとき、J(χ,χ^9)/i または J(χ,χ^9) が、目的のa+b√-5を与える」 aが ・q=29^2 G=±sqrt[29]sqrt[11±12√-5] J=-11±12√-5 // (3+2√-5)^2 = -11+12√-5 「pが20N+9型素数のとき、q=p^2に対する sqrt[-J(χ,χ)] を計算すれば、p=a^2+5b^2となるa,bを得られる」? ・q=3^4 J11 = 1±4√-5 J12 = -9 J13 = -1±4√-5 J14 = -6±3√-5, J15 = 6±3√-5 J18 = J[1,11] = 9 J19 = J[1,10] = 1±4√-5 // (2+√-5)^2 = -1+4√-5 ・q=7^4 J=41±12√-5 // (2+3√-5)^2 = -41+12√-5 「pが20N+3,7型素数のとき、q=p^4に対する sqrt[-J(χ,χ)] を計算すれば、p^2=a^2+5b^2となる非自明なa,bを得られる」? [雑談] 一般的に解が存在するが具体的に構成できない問題の例を考えようと思った。 (ただし「具体的に」の定義は曖昧である) ・4N+1型素数pに対してp=a^2+b^2を得る課題を思いついたが、これはヤコビ和で具体的に得られることを思い出した。 (k=4でのヤコビ和を計算すれば、a+biを得られる) ・それなら、p=a^2+5b^2を得る課題はどうだろうかと思いついて、これは分からなかった。  これも高次のヤコビ和を使えば得られるのかなと思って調べてみたかったのがこのスクリプトを作成したきっかけであった。  上記のように、これを具体的に得られるようであったが、証明はできていない。 ・実際ヤコビ和を計算するのに関連して、原始根を求めよという課題も明らかでないと思った。  しかし、1の原始(p-1)乗根を求めるという意味で、冪根拡大で解けると考えると、 (例えばp=7なら、1の原始6乗根は形式的に(1+√-3)/2なので√-3を求めれば良い) (個別には)冪根拡大で解けるなら具体的に解けると言って良いのかなと思った。 (結局「具体的に」の定義が曖昧である) 2021/10/24

[追記] 単項イデアルの生成元として、ガウス和とヤコビ和を特定できたが、単数倍の違いを特定できなかった。これを特定するための合同式を知った。 ・[1] https://math.ucsd.edu/_files/undergraduate/honors-program/honors-theses/2009-2010/Konstantin_Dragomiretskiy_Honors_Thesis.pdf の定理6.3の系あたりで、ガウス和の単数倍に関するより詳しい情報を得られるように見える。  G(k,ζ^p)/(ζ_p - 1)^k ≡ -1/k! (mod P) Pはpの上にある素イデアル ・[2] https://kconrad.math.uconn.edu/articles/jacobistick.pdf  ヤコビ和についても、J(-k1,-k2) ≡ (k1+k2)!/k1!k2! (mod P), 0≦k1,k2<q-1 のような合同式があるらしい。 (*この文献では私のノートと違う符号でヤコビ和を定義している。このノートの定義では右辺にマイナスがつく。) ・もっと高度な道具には、p進ガンマ関数を使うGross Koblitzの公式というのがあるらしい。  https://en.wikipedia.org/wiki/Gross%E2%80%93Koblitz_formula (踏み込まない) 以下では、exp(2πi/k)=ξ, exp(2πi/p)=ζ, exp(2πi/kp)=zとおくことにする。 ・k=p-1の場合を記述できればが普遍的である。 (例えばk=2,p=5に対するガウス和G(χ)は、k=4,p=5に対するガウス和G(χ^2)として認識できる。)
[[k=4, p=5]] (zは1の20乗根, ξ=z^5,ζ=z^4) G1 = -1+1*z^6+1*z^7-1*z^8-1*z^12+1*z^13-1*z^16 G2 = -1-1*z^6-1*z^8-1*z^10-1*z^12-1*z^14 G3 = -1+1*z^6-1*z^7-1*z^8-1*z^11-1*z^12-1*z^15-1*z^16+1*z^17-1*z^19 pは、Q(ξ)で(p1=1+2ξ)と(p2=1-2ξ)に分解する pは、Q(ζ)で(ζ-1)^4に素イデアル分解する pは、Q(z)では、a1^4*a2^4 = (p1,ζ-1)^4*(p2,ζ-1)^4 と素イデアル分解する ここで、a1とa2のどちらを主張のPとして採用するかは、ガウス和の計算においてどれを原始根として採用したかと連動する。 今回は、2をmod 5の原始根として計算したのに連動して、2≡1/ξとなるほう、すなわちp2=(1-2ξ)の上にあるほうa2をPとして採用する。 (ξではなく1/ξとしたのは、資料[1]のp.19のRemarkに書いてある事情に対応するのかな。  よく分からないけど、とにかく観察上、辻褄が合うためにはこうする必要があった。) 素イデアル分解の状況は、 G1 = a1^3*a2^1 G2 = a1^2*a2^2 G3 = a1^1*a2^3 である。(ζ-1)は単項イデアルとしては、a1*a2に分解する。 G1/(ζ-1)^1≡-1/1! (mod a2) G2/(ζ-1)^2≡-1/2! (mod a2) G3/(ζ-1)^3≡-1/3! (mod a2) が成り立つことが主張されていることを観察する: 観察: a2 = (1-2ξ,ζ-1)であるから、ξ=z^5≡-2, ζ=z^4≡1 (mod a2), 従ってz≡-2 (mod a2)である。 (ζ-1)の逆元をyとおく:y=-(ζ^3+2ζ^2+3ζ+4)/5 G1/(ζ-1)^1 = G1*y = -z^6+z^3+1 ≡ -71 ≡ -1 G2/(ζ-1)^2 = G2*y^2 = z^6+z^2-1 ≡ 67 ≡ 2 G3/(ζ-1)^3 = G3*y^3 = -(3*z^7-3*z^6-2*z^5-z^4+2*z^3-3*z^2-3*z)/5 ・・・ここで形式的にz=2と代入するのは正しくない。 ここではPARI/GPで逆元を求めた。 1/(G3*y^3) = z^7-z^5-z^2+z+1 ≡ -806791 ≡ -1 従って、G3/(ζ-1)^3 ≡ 1/-1 ≡ -1 で上記の規則に合致する ・ヤコビ和 J11 = [G1/(ζ-1)^1] [G1/(ζ-1)^1] / [G2/(ζ-1)^2] ≡ -2!/1!1! ≡3 (mod a2) J12 = [G1/(ζ-1)^1] [G2/(ζ-1)^2] / [G3/(ζ-1)^3] ≡ -3!/1!2! ≡2 (mod a2) という具合で、 Jab ≡ - (a+b)!/a!b! という計算になる。 実際に値も確かに J11 = -1-2i ≡ 3 (mod 1-2i) J12 = 1+2i ≡ 2 (mod 1-2i)
[[k=6,p=7]] (zは1の原始42乗根, ξ=z^7, ζ=z^6) g1: -1+1*z^10-1*z^12+1*z^15-1*z^18+1*z^23-1*z^24+1*z^25+1*z^26-1*z^30-1*z^36 g2: -1-1*z^12+1*z^16-1*z^18-1*z^24-1*z^30+1*z^32+1*z^38+1*z^40 g3: -1+1*z^9+1*z^15-1*z^18-1*z^30-1*z^36+1*z^39 g4: -1-1*z^8-1*z^12-1*z^14-1*z^16-1*z^18-1*z^20-1*z^22-1*z^24-1*z^28-1*z^30-1*z^32-1*z^34-1*z^38-1*z^40 g5: -1+1*z^11-1*z^12+1*z^15-1*z^18-1*z^24-1*z^30-1*z^36+1*z^37+1*z^38+1*z^40 p=7は、Q(ξ)で、(p1=(-1+3√3)/2) と (p2=(-1-3√3)/2) に分解し、 Q(z)では、a1^6*a2^6 = (p1,ζ-1)^6*(p2,ζ-1)^6 と素イデアル分解する 原始根として3を使っていて、3≡1/ξ=(1-√-3)/2 (mod P)となるほう;√-3≡2 (mod P)となるほう、P=p1を採用する? ξ≡1/3≡5, ζ≡1, 従ってz≡5 素イデアル分解の状況は、 g1 = a1^5*a2^1 g2 = a1^4*a2^2 g3 = a1^3*a2^3 g4 = a1^2*a2^4 g5 = a1^1*a2^5 である。(ζ-1)は単項イデアルとして、a1*a2に分解する。 計算: (ζ-1)の逆元をy:-(ζ^5+2ζ^4+3ζ^3+4*ζ^2+5*ζ+6)/7 とおく。 g1*y = z^11+z^10-z^8+z^5+z^4-z^3+z+1 ≡ -1 (z=5とおいて7で割る) g2*y^2 = z^11+z^9+z^8+z^5-z-1 ≡3 g3*y^3 = 2*z^9+2*z^8+z^3-2*z-1 ≡ 1 1/(g4*y^4) = 3*z^11+2*z^10-2*z^9-2*z^8-2*z^7+3*z^6+z^5-3*z^4-2*z^3+2*z+2 ≡ 4 1/(g5*y^5) = z^11-2*z^9+2*z^8-3*z^6+z^5+3*z^3-4*z+2 ≡-1 g1/(ζ-1)^1≡-1/1! g2/(ζ-1)^2≡-1/2! g3/(ζ-1)^3≡-1/3! g4/(ζ-1)^4≡-1/4! g5/(ζ-1)^5≡-1/5! が確認できた。
k=40,p=41 (zは1の原始1640乗根, ξ=z^41, ζ=z^40) 原始根として6を採用した。6=1/ξ, ξ≡7 √-5 = ξ^2+ξ^6+ξ^14+ξ18 ≡ -6 1の原始1640乗根を扱う計算は厳しかったので、前回得たヤコビ和の表示が規則を満たすことの確認だけした: J(χ^2,χ^2) = ξ^6 * (6-√-5) ≡ -6 = -4!/2!2! J(χ^2,χ^6) = ξ^36*(6-√-5) ≡ 13 ≡ -8!/2!6! J(χ^14,χ^18) = ξ^4*(6-√-5) ≡ 30 ≡ -32!/14!18! J(χ^2,χ^14) = ξ^12*(6-√-5) ≡ 3 ≡ -16!/2!14! J(χ^2,χ^18) = ζ^30*(6-√-5) ≡ 15 ≡ -20!/2!18! J(χ^6,χ^14) = ζ^10*(6-√-5) ≡ 26 ≡ -20!/6!14!
・応用 k=4, p=4N+1に対するヤコビ和J(χ,χ)は、X^2+Y^2=pを満たすX,Yによる X+Yiであり、 XはX≡-3 (mod 4)で特定できることを過去のノートで調べた。 これは、k=p-1の場合におけるJ(χ^N,χ^N)に相当するから、今回知ったヤコビ和の規則により、 X+Yi≡-(2N)! / N!N! (mod X-Yi) ということになる。 X+Yi≡2X (mod X-Yi) だから、整理すると、2X≡-(2N)! / N!N! (mod p) という関係を得る。 https://twitter.com/icqk3/status/1452957049176805382 |X|≦√p を満たすような剰余類は一意的だから、 ヤコビ和を定義に沿って計算しなくても、Xを特定することができる。 また、(2N)!が-1の平方根であるから、形式的に±i≡(2N)! で、 従って、Yの符号をうまく選べば、2Y≡-2X/i≡1/N!N! (mod p) である。 計算の都合上は、1/N!N!≡-(2N)!(2N)!/N!N! (mod p)を使うと、整数範囲になって都合が良いかもしれない。 *例えばp=2017, N=504に対して、次のようにp=9^2+44^2であることを得ることができる。 計算機によると 1008!/504!504! ≡ 18 (mod 2017) なので a=9 と特定できて、 同様に、1008!1008!/504!504! ≡ 88 (mod 2017) なので b=44 と特定できる。 ・同様に、p=3N+1に対して p=X^2+3Y^2 を満たす整数または半整数X,Yをうまく選ぶと、 (おそらくX≡1,Y≡3 (mod 3)となる組を選ぶと良い) 2X ≡ (2N)! / N!N! (mod p) の関係が成り立つ。 *p=7の場合、右辺≡-1 (mod 7) で、(X,Y)=(-1/2,3/2) *p=2017の場合,右辺≡-34 (mod 2017) で、(X,Y)=(-17,24), すなわち 2017 = 17^2 + 3*24^2 がある。 ・p=X^2+7Y^2 については、類似の考察をすると p=7N+1 のときは、±2X ≡ C(3N,N) (mod p) p=7N+2,4のとき、p^3=7M+1 とおくと、±2X ≡ C(2M,M)/p (mod p) が成り立つと思う。 *p^3をとるので数値が大きくなるが、  例えば190! の「11進展開の先頭」を計算するには、10!≡-1 (mod 11) を利用して暗算でも計算できた。 ・k=20, p=20N+1に対して、p = X±Y√-5 とすると、 ±2X = C(10N,N) あるいは ±2X√-1 = C(10N,N) のどちらかが成り立つ。 ここで√-1は(10N)!と置き換えられる。 例 p=41, C(10N,N)≡26, √-1=±9, a=±6 (2*6*9≡26) p=61, C(10N,N)≡34, √-1=±11, a=±4 (2*4*11≡-34) p=101, C(10N,N)≡-18, a=-9 p=181, C(10N,N)≡-2, a=-1 p=241, C(10N,N)≡136, √-1=±64, a=±14 (2*14*64≡-136) aが偶数の時に√-1がつくのかな・・? *p=20N+9などの場合は良い記述を見つけられなかった。 2021/10/27 追記

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