m乗和の公式(2012/7/18)
Σ[k=1~n] k^m = f[m](n) とおく。
このノートの内容:
・m乗和の公式から(m-1)乗和の公式を得るには微分して定数項を取り去れば良い
・(m-1)乗和の公式からm乗和の公式を得るには積分して1次の項を調整すれば良い(n=1等で)
ついでに
・m乗和の公式はmが奇数の時 n(n+1) の整式で書ける。
・mが偶数の時は n(n+1) の整式と(2n+1)の積で書ける。
の説明を紹介した。


<m乗和の公式から(m-1)乗和の公式を得る方法> {f[m]'(n)-f[m]'(0)}=m*f[m-1](n) が成り立つ。 言い換えるとf[m]'(n) の定数項を取り去った部分がm*f[m-1](n)に等しい。 <証明> f[m](n)は次の帰納的定義で定義するのと同等である: f[m](1)=1, f[m](n)-f[m](n-1)=n^m あるいは f[m](0)=0, f[m](n)-f[m](n-1)=n^m としてもよい。この2式を満たすf[m](n)は一意的である。 (追記:f[m](n)を多項式とするなら、という前提で。) {f[m]'(n) - f[m]'(0)} を g(n) とおくと g(n)はg(0)=0 かつ g(n)-g(n-1)=m*n^(m-1) を満たす。 すなわち、g(n)はf[m-1](n)の定義を満たす。 (さらっと書いてるけどぜひ確かめてくださいね。) f[m-1](n) の定義を満たすf[m-1](n)も一意的であるから、 g(n)=m*f[m-1](n) であることがわかる。 <例:m=2> f[2](n)=(2n^3+3n^2+n)/6 f'[2](n)-f'[2](0)=(6n^2+6n+1)/6 - 1/6=n^2+n 確かにこれはf[1](n)の2倍である。 ============================ <じゃあ逆にf[m-1]からf[m]を求めるには> 先の結果より、f[m](n) は以下を満たすことが分かった。 {f[m]'(n)-f[m]'(0)}=m*f[m-1](n) f[m](n)は上の微分方程式を満たすことからよく考えれば、 f[m](n)のnの2次以上の部分はm*f[m-1](n)の不定積分で得る。 f[m](n)の1次以下の部分は、この微分方程式を満たすには任意である。 ところがf[m](1)=1、また最初の主張によって、f[m](0)=0 のはずであり、 この2式をを満たすようなnの1次以下の部分は一意的に決まる。 つまりn=1のときに1となるように1次の項を付け加えれば良い。 (注:良く考えればこの代わりに n=-1のときに0となるように、としても良いです) 式で書くと、∫m*f[m-1](n)dn [0からnまでの積分] をF(n)としたときに、 F(n)+{F(-1)}n=f[m](n) という風にしてf[m](n) を求めることができる。 (ここではn=-1のときに0になることを利用して式を書いてみました。  n=1のときの条件を使うと、f[[m](n)=F(n)+{1-F(1)}n ということになります。) <例:m=2> f[1](n)=(n^2+n)/2 m=2を掛けて積分すると、F(n)=(2n^3+3n^2)/6 となる。 n=1のときに1となるようにnの1次の項を付け加えれば f[2](n)=(2n^3+3n^2+n)/6 を得た。
<1つの性質> m乗和の公式はmが奇数の時 n(n+1) の整式で書ける。 mが偶数の時は n(n+1) の整式と(2n+1)の積で書ける。 <証明> まずmが奇数の時について示す。m乗和の式をmを省略してf(n)と書く。 f(1)=1, f(n)-f(n-1)=n^m が成り立つのであった。 この漸化式は由来としてはnは自然数に限られるものであったが fが多項式という前提なら、無限個の整数で成り立つ関係式は実数全体で成り立つ。 (自明でないk次方程式は高々k個の解しか持たないから) 上記の漸化式を使うと f(0)=0, f(-1)=0, f(-2)=1 などを得られる。 f(-1-n) = f(n) が成り立つことを数学的帰納法で示せるだろう。  f(-1-n-1) = f(-1-n) - n^m  f(n+1) = f(n) + n^m  f(-1-n) = f(n)を仮定して mが奇数ならば両者は等しいことが言える。 そうすると f(n) が n(n+1) の整式で書けることは、例えば、 ・f(n)をn(n+1)で割った余りR(n)は高々1次式となることと、 高々1次式で r(n)=r(-1-n) を満たすような多項式は定数しかないことから f(n) = n(n+1)Q(n)+(定数) とおけて、 Q(n)に対して同様の議論をすることを、(f(n)の次数)/2 回 繰り返せば良い。 mが奇数のときの性質が示せれば 、既に示した事実: 「f[m]'(n) の定数項を取り去った部分がm*f[m-1](n)に等しい。」 によって mが偶数の時の主張を確認することができる。
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