・a[n+1]=f(a[n])のタイプの数列の収束性について(2012/10/18)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1395818333
「4+(1/(4+1/(4+1/(4+1/・・・・・)の収束値を求めることってできますか?」

この問題は数列a[1]=4, a[n+1]=4+1/a[n] の極限として考えられますが
収束するとすればその値は容易に解答できるが
収束することを証明するのがしばしば問題となります。
グラフによる視覚的な説明は証明にはならないと言われることが多いやつです。

そこで・・・定理:
a[1]=a, a[n+1]=f(a[n]) で定義される数列が
次の条件を満たす時、lim[n→∞] a[n]=αである。

条件:次の@ABを満たすような区間I,実数r,αが存在する;
@ a[n]はすべて区間Iに存在する
A α=f(α) となるようなαが区間Iに存在する
B 区間Iにおいてf(x)は微分可能であり、|f '(x)|≦r かつ r<1

(補足:実際は導関数 f '(x) が連続なら単に |f '(x)|<1という条件で良いです。
∵区間Iは閉区間を選べば良い(開区間だったらちょっと狭くすればいい)
 閉区間に置いて連続関数 f '(x) は最大値を持つのでそれをrとすればよい。)

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[上記定理は高校範囲で厳密に示せます]

b[n]=a[n]-αによって得られる数列b[n]を考えて
数学的帰納法により |b[n]|≦|b[1]|*r^(n-1) を示します。
これが示せれば a[n]→α がすぐに従うのは説明不要でしょう。

n=1のときは自明なので、常套手段に則って:
n=kで成立を仮定してn=k+1で成立することを示す

平均値の定理を使います。
f(a[k])-f(α)=f '(c[k])*(a[k]-α)
となるc[k]がαとa[k]の間に存在します。
この式は数列b[n]を使うと b[k+1]=f '(c[k])*b[k] と書けます

条件より α∈I, a[k]≦I なのでc[k]∈I よって |f '(c[k])|≦r
また、n=kの仮定より |b[k]|≦|b[1]|*r^(k-1)

これらを合わせればn=k+1における結論 |b[k+1]|≦|b[1]|*r^k を得ます

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f(x)=4+1/x については、次のように上記@ABを確かめられるので
数列a[1]=4, a[n+1]=4+1/a[n] が 2+√5に収束することが厳密に言えました

@ a[n]が入る区間Iを大雑把に絞ります。
4≦x≦5ならば 4≦f(x)≦5
(∵この区間でf(x)は単調減少であり、
端での値f(4), f(5)は共に4と5の間にある)
よって数学的帰納的に 4≦a[n]≦5

Aその範囲で f '(x) の範囲を絞ります。
f'(x)=-1/x^2 なので
4≦x≦5 のとき |f '(x)|≦1/25

B α=2+√5 が適する

答案では、上記の定理の証明の議論を、関数、数字などを
具体的なものに置き換えて記述すれば良いと思います。

[追記] 条件の微妙な所について https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14173946104

・漸化式 A[n+1] = A[n] + 1/A[n] で定まる数列について(2013/6/29) http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13109535908 より 初項はあんまり本質的ではないけどここでもA[1] = 1 とすることにします。 一般項は求まんないかもしれない・・・ 私には求める方法が思い浮かばなかったです。 数値的には小数第1位まで書くと 1, 2, 2.5, 2.9, 3.2, 3.5, 3.8, 4.0, 4.3, 4.5,.... という調子であります。 n→∞ のときこの数列は発散しますが、 そのペースは√(2n) であることが判明しています。 すなわち lim (A[n] - √(2n))= 0 が成り立つようです。(※下で証明) 一方で lim (A[n]^2 - 2n) は 0にはならなさそうです。 すなわちより正確な評価の余地が残されています。 計算機によると 1/(A[n] - √(2n)) も√(2n) のペースで発散してそうです。 すなわち lim { 1/(A[n] - √(2n)) - √(2n) } = 0 が成り立ちそうです。(帰納) これを証明するのはさらに難しそうですが そういうわけで A[n] ≒ √(2n) +1/√(2n) という式を回答に書いたわけです -------------------------------------------- (※)以下の主張によります: n≧2 のとき √(2n) ≦ A[n] ≦ √(2n) + 1/√√(2n) が成り立つ 証明: P[n] =√(2n) , Q[n] = √(2n) + 1/√(√(2n)) とおく。 n=2,3,4 では P[n] ≦ A[n] ≦ Q[n] の成立は個別計算により確認できる。 n≧4 のとき 下記のようにして、 P[n] ≦ A[n] ≦ Q[n] ならば P[n+1] ≦ A[n+1] ≦ Q[n+1] が成り立つことを示せる。 f(x) = x+1/x とおくと A[n+1] = f(A[n]) であり 区間 [f(P[n]),f(Q[n])] が 区間 [P[n+1], Q[n+1]] に含まれる ということを示せば良いだろう。(考察してる範囲でfは単調増加だから) P[n+1]≦f(P[n]) は易しいので省略する。 f(Q[n])≦Q[n+1] を確認する。√の代わりにrを使う。r(x)=√(x) Q[n+1] - f(Q[n]) = r(2n+2) +1/rr(2n+2)) - {r(2n)+1/rr(2n))} - 1/{r(2n)+1/rr(2n)} ここで r(2n+2)-r(2n) = 2/{r(2n)+r(2n+2)}, - 1/{r(2n)+1/rr(2n)} = - 1/r(2n) + 1/{2nrr(2n)+r(2n)} [∵-1/(a+1/b)=-(1+1/ab)/(a+1/b)+(1/ab)/(a+1/b)=-1/a+1/(a^2b+a)] これらを適用すると Q[n+1] - f(Q[n]) = 2/{r(2n)+r(2n+2)} - 1/r(2n) + 1/{2nrr(2n)+r(2n)} + 1/rr(2n+2)-1/rr(2n) ここで 2/{r(2n)+r(2n+2)}-1/r(2n) = {r(2n)-r(2n+2)}/{r(2n){r(2n)+r(2n+2)}} =-2/{r(2n){r(2n)+r(2n+2)}^2} を適用すると示すべき不等式は次となる。 1/{2nrr(2n)+r(2n)} - {1/rr(2n)-1/rr(2n+2)} ≧ 2/{r(2n){r(2n)+r(2n+2)}^2} ここで {1/rr(2n)-1/rr(2n+2)} ={rr(2n+2)-rr(2n)}/{rr(2n)rr(2n+2)} ={r(2n+2)-r(2n)}/ {rr(2n)rr(2n+2){rr(2n)+rr(2n+2)}} =2/{rr(2n)rr(2n+2){rr(2n)+rr(2n+2)}{r(2n)+r(2n+2)}} を左辺に適用すると 1/{2nrr(2n)+r(2n)} - 2/{rr(2n)rr(2n+2){rr(2n)+rr(2n+2)}{r(2n)+r(2n+2)}} 1/{2nrr(2n)+r(2n)} - 1/{r(2n)rr(2n){r(2n)+r(2n+2)}} ={r(2n)rr(2n){r(2n)+r(2n+2)}} - {(2n)rr(2n)+r(2n)} / 分母 =r(2n)rr(2n)r(2n+2) - r(2n) / 分母 ≧{rr(2n)r(2n)-1}r(2n) / {{2nrr(2n)+r(2n)}r(2n)rr(2n){r(2n)+r(2n+2)}} ={rr(2n)r(2n)-1} / {{2n+rr(2n)}r(2n){r(2n)+r(2n+2)}} ≧2{rr(2n)r(2n)-1} / {{2n+rr(2n)}{r(2n)+r(2n+2)}^2} これから先の右辺を引いて2で割ると {rr(2n)r(2n)-1} / {{2n+rr(2n)}{r(2n)+r(2n+2)}^2} - 1/{r(2n){r(2n)+r(2n+2)}^2} ={r(2n){rr(2n)r(2n)-1} - {2n+rr(2n)}} / 分母 ={(2n)rr(2n) -r(2n)- 2n - rr(2n)} / 分母 rr(2n)=y とおくと分子は y^5 - y^2 - y^4 - y であり、nが大きければ正である。 数値計算によると n≧4 であれば正である。証明完了・・・ だと思います・・・ (正直煩雑すぎて合ってるかどうか自信ない)

[追記] 2019/3 上記のような超煩雑な計算をしなくても良い、より一般的な視点ができました。 最初はこのページに追記していましたが比較的結構意義が大きいと思ったので、 独立させて新しいページに書きました。
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