ベクトルも細字で御免 -------- 対角化 n次正方行列Aの対角化の手順は次のようになる。 1、Aの固有値を求める、つまり|zE-A|=0を展開して解く。 2、対応する固有ベクトルを求める、つまり各zに対して、   Au=zuあるいは(zE-A)uとなるuを求める。   全部でn個の線形独立な固有ベクトルuを得られれば対角化できる。 3、固有ベクトルを並べた行列をPと書くとP(-1)APは対角行列である。 線形独立な固有ベクトルをu1,u2,...unと書いて、対応する固有値をz1,z2,...,znとする。 u1,u2,...,unを並べた行列をPと書く。 また式中のXは対角成分にz1,z2,...,znを並べた対角行列である。 AP=A(u1 u2 ... un)=(Au1 Au2 ... Aun) =(z1u1 z2u2 ... znun)=X(u1 u2 ... un)=XP 従ってP(-1)AP=X [そういうわけで対角化した後の対角行列には固有値が並ぶ] 手順の1において、解zがk重の重解だったとすると、 手順の2において、そのzに対応するuを線形独立にk個見つける必要がある。  もしそれができないならその行列は対角化することができない。 -------- 基底の取り替え行列、線形写像の表現行列 線形空間Vnに基底E:{e1,e2,...,en}があったとして、  Vnの任意のベクトルはこれらの線形結合で一意的に表される: r=x1e1+x2e2+...+xnen  あるいは、縦ベクトルで、 x1 r=(x2) のように。 x3 そこで、Vnの別の基底F:{f1,f2,...,fn}への基底の取り替え行列Pは、  f1,f2,...,fnを上のように縦ベクトルで表記したものを並べたものである。  従って線形結合で書いた場合、係数を取り出して転置することになる。 線形写像T:Vn→Vnの表現行列Aもだいたい同様に把握できて、  T(e1),T(e2),...,T(en)を基底Eによって縦ベクトル表記してを並べるか、  あるいは線形結合で書いて、係数を取り出して転置させて得られる。 EからFへの基底の取り替え行列Pは、(f1 f2 ... fn)=(e1 e2 ... en)Pを満たす気がする。  Vnの元を基底Eで表してr=x1e1+x2e2+...+xnen  同じ元を基底Fで表してr=y1f1+y2f2+...+ynfn とすると、  形式的にr=(e1 e2 ... en)x=(f1 f2 ... fn)yだからx=Py [x,yは縦ベクトル] 任意の線形写像Tはある行列Aによって写像x|→Axと表記されることを最初の方に習った。  そのAが"線形写像Tの表現行列"に他ならない。つまり任意のxに対してT(x)=Axである。 -------- シュミットの直交化法 Vnの正規直交基底ではない基底{a1,a2,...,an}から、 正規直交基底{e1,e2,...,en}を作る方法である:  [各eiは大きさが1でかつ、i≠jのとき(ei,ej)=0となるように] e1はa1をその大きさで割って得る。 e2を得るために、ベクトルa2から"e1に平行な成分"を取り除く。 a2'=a2-(a2,e1)e1 とすれば良い。これをその大きさで割ってe2を得る。  [ベクトルbの"aに平行な成分"の大きさは、aの大きさが1なら内積(b,a)で書ける] 一般に、e1からe[i-1]まで得たとして、 ai'=ai-(ai,e1)e1-(ai,e2)e2-...-(ai,e[i-1])e[i-1] をその大きさで割ってeiを得ることができる。 内積をとってみればそれがej(j