微分方程式を少し
概要
問題Dでは1階の線形、非同次の微分方程式を解く。 問題Eでは変数分離型の微分方程式を解く。 問題Fでは与えられた関数が解となる2階の微分方程式を作る。
原理
[問題Dに関して] 微分方程式A y'+p(x)y=q(x) がある。 微分方程式B y'+p(x)y=0 を考える。、 p(x)の原始関数を1つとってP(x)とおく。すると、 微分方程式Bの解は、y=ce-P(x)である。 そこで、y1,y2が微分方程式Aを満たしている時、差y1-y2は方程式Bを満たす。 そういう考察で微分方程式Aの解は "(1つの解)+ce-P(x)" と書ける。 (以上は2階以上の微分方程式においても使える。) 微分方程式Aの1つの解を見つけるのに、次の方法がある: 上のP(x)を使う。eP(x)q(x)の原始関数を1つとってQ(x)とおく。 e-P(x)Q(x)は方程式を満たす。 別の方法または偶然によって1つの解がみつかれば、この計算をする必要はない。 より直感的に、eP(x)y=zとおいてz'を計算してみるのが良いかもしれない。 まもなくしてz'=eP(x)q(x)を得るはずである。ここ結構大切な所。 公式を書いてしまうとy=e-P(x)Q(x)+ce-P(x) [問題Eに関して] 微分方程式 y'=f(x)g(y) を扱う。 g(y)≠0が明らかな時は気楽であるがそうでない時は、時に注意がいる。 (例えば講義の方の練習問題9.3の時のように) g(y)≠0と仮定すれば1/g(y)及びf(x)を積分してG(y)とF(x)を得て、G(y)=F(x)+c yが一定となる(y'もg(y)も常に0となる)特異解はしばしばc→±∞の極限で表される。 [問題Fに関して] 解となる関数は定数a,bを持つ。 y,y',y"を比較してうまく組み合わせてa,bをうまく消去した式を作れば良い。 (1)は試行でうまくいくかもしれない。(2)は難しいだろう。そういう場合、 定数について解く(a=...あるいはb=...の形にする)→そして両辺を微分する という手順により定数を消去することができる。計算は大変。 与えられた関数が解となれば十分で、他の関数が解になっていても構わないよ。
計算例
[問題D] いろいろ書いてみる。記号は上の通り。定義域は自然に。 普通に解いて(4)で符号が難しければ、nの偶奇で別々に解いて後でまとめるのも良い。 [問題E] (2)は線形微分方程式でもある。(1),(3)はg(y)が常に正なので気楽。 (3)や(4)の記述は厳密なものではない。Arctan y (主値)の場合その値は-π/2とπ/2の間にある。 それを避けたarctan y は多価関数。arctanは主値でなくても導関数は同じになる。 Arcsinの場合、主値に統一しないと導関数は符号が定まらない。くわしくは下で。 (4)はy=±3が定数関数である解。また、一般解はy=0を通らない。 上ではc→±∞の時に残りの特異解が現れる。 1/cやtan cで置き直して整理すると様子が変わる。 [問題F] (1)y=sin(ax+b) (ax+)bについて解く。arcsin y = ax+b 両辺をxで微分するとbを消去することができる。 ±y'/√1-y2 = a 上の式を再び両辺をxで微分するとaが消えて求める微分方程式を得る。 (2)y=ex(a+ax+bx2) (1)の最初の方の式の±の意味については少しややこしい。すぐに消えるのだが。 z=arcsin yのグラフを思い浮かべる。sinxを横から見た、つまり縦の波。 1つのyに対してzが多く対応する。だけでなく、傾きdz/dyも正負2つ取り得る。 (一方z=arctan yのグラフではdz/dyは1つに定まるのが問題Eの(3)と関連する。) それらのグラフを示しておく。例えばy=0でのグラフの傾きを見ると良い。
2009/12/3
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