10/26 問題9.3を修正した。
2/1 問題9.2に±を修正した。
2/10 8.1(6)・9.1(5)・9.2(2)を訂正。8.3・9.4に追記

練習問題8・9[積分計算と微分方程式]


問題

(1),(3) だいたい置換積分した。係数がより間違えにくいかもしれない。
(2),(4) 部分積分に相当する。部分積分より直感的な考え方かもしれない。
 「微分するとこれらが現れ、かつ、残りの項が積分できそうなものを微分してみる」
(5) 普通に計算するなら分母分子にcosxをかけてsinx=sと置換積分など。
 三角関数の積分結果はしばしば多様に表せる。一見異なる式も実は等しい可能性がある。
(6) 普通に計算するならex=tと置換積分など。

求める原始関数の1つをF(x)と書く。





以下、Aをすべて任意定数とする。しばしば改めて置き換えられる。
sinxの符号によって正負がつくので、"あるいは"のような変形はできない。
が、tan(x/2)と書き換えることは正しい。(絶対値も符号も等しい)

[追記:三角関数の積分計算で途中で分母が0になったりする話。
以下のような事実があるから結果はだいたい安心して良いはず。
 "f,Fが連続であり、区間の有限個の点を除いてF'(x)=f(x)であるなら
 除いた点でもF'(x)=f(x)が成り立つ"(ソースは演習プリントの150ページ)
ただ、これを答案で暗黙に使ってもいいかは微妙かもしれない。
今回の場合はF(x)を実際に微分して確かめて見せる方が無難だろう。]


ψでの定数差はAの定数倍に含められるので気にしなくて良い。
変数分離法でも結局logy=ψ(x)+Aあるいはy=0、つまりy=Aeψ(x)となる。


(4)や(5)では特異解y=0は、A→∞での一般解の極限に相当する。
従って例えばAの代わりにtanAと書いて分母分子にcosAをかければ、全部一般解になる。
(しかしどんな時でもこのように特異解を除去できるとは限らない。その例[外部リンク])

問題(9.3)
y'=y2/3の直線全体で定義された解をすべて求めよ。
[変数分離などで一般解を得て多少変形するとy=(x-A)3/27を得る。
 が、特異解y=0と組み合わせてみると、次のようなものも方程式を満たすと分かる。
  y={(x-p)3/27 (x<p)
         0     (p≦x≦q)
     (x-q)3/27 (q<x)
 形式的に-∞≦p≦q≦∞としたら、思い浮かぶすべての解がこれで表される。
 まだ思い浮かんでいない解はもうない保障を含めた解答を下に書く。]

xの集合全体を3つに分割する:(それぞれは空であっても良い)
y<0となるxの集合J, y=0となるxの集合K, y>0となるxの集合I。
y'≧0 (∵y2/3≧0)に注意すると、これらが区間であると分かる。

Iが空でないとする。つまり、ある点cがあって、y(c)>0だったとする。
I上で、y≠0だから、y'=y2/3は、y-2/3y'=1と同値である。
これをx=cからI上の任意の点x0まで積分するとy(x0)の値が定まる。
従ってI上の任意の点でのyの値は、x=cでのyの値y(c)から一意的に決まるから、
y(c)の値から定まる定数Aによって、y=(x-A)3/27と書けなければならない。
(なぜならI上で方程式を満たすyは一意であり、かつこのyは方程式を満たすから。)
以下、y(c)から定まった定数Aをqと書く。
I⊂(q,∞)だからIは下に有界である。yは連続よりx=inf(I)でy=0、従ってI=(q,∞)。
以上をまとめると、y>0となるxがあったとすると、区間Iは(q,∞)と書けて、
その区間においてy=(x-q)3/27であることが示された。

区間Kでは、方程式は自動的に満たされるので特に説明することはない。

区間Jについては、上と同様の議論ができるだろう。すなわち、
y<0となるxが存在したとすると、Jは(-∞,p)と書くことができて、
その区間においてy=(x-p)3/27であることが示される。

区間と区間の間、すなわちx=pやx=qにおいては、y=0,y'=0を得る。

以上から、IとJがそれぞれ空かどうか場合分けすればすべての解を得る。
y=0
y={    0     (x≦q)
   (x-q)3/27 (q<x)  [qは任意の実数]
y={(x-p)3/27 (x<p)
       0     (p≦x)  [pは任意の実数]
y={(x-p)3/27 (x<p)
       0     (p≦x≦q)
   (x-q)3/27 (q<x)  [p,qはp≦qを満たす実数]


[追記:arcsinh(tanx)を微分するのが自然。 またcosyの符号の見当をつけるにはグラフをイメージが良い]

これには注釈が必要だ。cos y>0を使っている。直感的に以下の通り:
x=0でy=0,y'=1、またyは微分可能で、特に連続であることを注意する。
x≧0とする。0≦y≦π/2を示す。
あるxでy<0とする。その負の値Aを与えるxのうち最も小さいものをpとする。
 (-π/2<A<0とする。そうでなければ0との適当な中間値でAを取り直す)
y'(p)>0であるから、pより少し小さいxでy(x)<y(p)となるxがある。
[具体的に例えば3y'(p)/2 > y(p)-y(x)/(p-x) >y'(p)/2>0 となるx<pが存在する]
 (なぜなら微分可能性によりx→p-0でy(p)-y(x)/(p-x)→y'(p)が成り立つから)
すると、それとx=0の間に別の、y=Aを与えるxが存在することになるので矛盾。
あるxでy>π/2と仮定しても同様だろう。
x≦0についても同様だろう。
あと、最後にはf(0)=0が使われている。


yは元の微分方程式以外では使わないようにすると分かりやすいと思った。
以下yは元の方程式を満たすとする。z=y'+λy, w=y'-λyとおく。

(1)方程式から(y'+λy)'=λ(y'+λy)、すなわちz'=λz が成り立つ。
(2)方程式から(y'-λy)'=-λ(y'-λy)、すなわちw'=-λw が成り立つ。
 そこで、y-az=bwとなる定数a,bを定める。これは可能である。
  [実際にz,wをyの式に直してyとy'の係数を比べて連立方程式を解けば、
  p=1/2λ,q=-1/2λとすることでy-pz=qwが満たされることが分かる。]
 (1)よりzは、(従ってazも)ある定数Cによって-Ceλxと書ける。
 従ってある定数Cがあってy-Ceλx=bwであるから、(bw)'=-λ(bw)より結論を得る。
(3)(2)よりある定数Cがあって、y-Ceλxがw'=λwの解である。
 よってある定数Dがあって、y-Ceλx=De-λxと書ける。
 すなわち、y=Ceλx+De-λxが求める解y、しかもすべてである。
[f(x)などを書くと括弧が多くなってみにくいと思った。]

2009/10

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