音と調


例の本体の上画面に並んでいる音について見てみましょう。
本体の並びでは5行ありますが、黒の太線にはさまれた2行に注目してほしいです。
2行というよりも、ジグザグの1つの並び、と見ても良いかもしれません。

当初は、2行だけを考えて、長ド、短ミ、と言う風に呼んでいました。
上の行(長音)は長調の主音になる音、
下の行(短音)は短調の主音になる音、
という意味でした。つまり、音には高さ2種類ある、と考えました。

・水色=長3度 を 4:5 ・紫=短3度 を 5:6
・赤=完全5度 を 4:6=2:3 と仮想すると、
ドを中心とする台形の範囲の7つの音の振動数を計算すると、
Wikipediaなどにある純正律の振動数比と同じものになります。
長bレ短レ長bミ短ミファ長bラ短ラ長bシ短シ
1 16/15 10/9 6/5 5/4 4/3 3/2 8/5 5/3 9/5 15/8
しかも、台形を横にスライドさせれば、あらゆる調で同様になります。
純正律は転調に対応できない、とよく言われますが、それへの解決です。
1つの調で成り立つ振動数の理論は、他の調にも同様に適応できることになります。
・短音/長音の音高の違いを計算すると、81/80≒1.0125倍の違いです。
・異名同音(#ファ/♭ソ)の音高の違いは、3^12/2^19≒1.013倍です。
・このような音の違いは、ピアノのような楽器では当然実際には現れないですが、
頭の中で作られる音のイメージを考察するのに役立つ、そう思っています。

・ここで:お気づきでしょうか。ハ長調でもソシレの和音は使います。
そうです。私の考えでは、次のようなことが起きます:
「ソシレとファラレの2つの和音では、違うレが使われている」
前者のレは長調の主音となるレ、後者のレは短調の主音となるレということです。
そう思って2つの和音を想像してみると、確かに違う、気が、しませんか?

・長短の識別
では曲中のある音に対して、その長短を識別できるか、という問題です。
古典的3和音からなる音楽であれば、それを元に識別可能でしょう。

それ以外のいろいろな和音をどう解釈するかは、しばしば困難です。
例えば9度の和音ソシレファ♭ラの「ファ」と「♭ラ」については
次のページで見るように、長短ではない、また別の「ファ」ではないか、と考えます。

・短調の導音
この存在は私を困らせました。普通に考えれば属音の長3度上、でしょう。
そうすると、当初2行で考えていたのではうまくいかず、はみ出してしまいます。
そこで行を増やして「短短音」ということにしました。短音のさらに80/81倍です。

・あるいは:長調から短調に転調する時は、実は2つの考えがあります。

私の当初の命名に従えば図のように枠が左にずれるのですが、
主音が変わらずに、枠が上にずれる(上下反転)という考えも有りだと思いました。
どっちがより適切でしょうか、と私はずいぶん悩んだのですが、
古典的和声の制限という名目で、左だと考えることにしました。

その根拠は本当に感覚的な話になってしまうのですが、
・ド→♭ミ→ソ→♭シ→レ→ファ→ラ→ド、と音を浮かべると確かに長調に向かう気がする
・イ長調やホ長調には、ハ短調よりもより抵抗なく転調できる、気がする
・その気になると長調のドより短調のドが微妙に低い、気がしないでもない(苦笑)
はい、そんな感じです。

・実は、この並びはもっと以前(2009初秋)の私の作品で使った音形で見られるものです。
その他2で紹介している曲集「あなたを誘う世界」の 3.png 4.png(深海) i.png(間奏曲)
この2曲に特に、上の図の並びのような3度を重ねた響きが見られます。

・でも、どうして、こんな風な構造を見出すことができるのでしょうか。
log(3/2)/log(2)の連分数展開=分数近似列の初めの方に4/7と7/12が現れます。
これが、1オクターブが7つの音名と12の鍵盤に分かれている背景だと思います。
これは、(3/2)^12≒2^7、つまり完全5度12個≒7オクターブ を意味します。
その時に、たまたま(4/3)^3≒2、(6/5)^4≒2もついでに成り立っているために、
短3度、長3度も、すごくきれいな整数比に近い比となった、つまり、偶然、だと思います。

・長調と短調以外の音階も、図で見てみました。この緑の線はリストのハンガリー音階です。

いろいろ眺めて観察してるだけです。

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