闇からの訪問者 玄関の鍵はかけましたか 。歯はちゃんと磨きまし たか。携帯はサイレント にしましたか。そしてす べての明かりを消して、 夏でなければ窓を少しだ け開けておきましたか。 月を食し給う者 その時刻は訪れた。月は そっと消えていって水晶 玉もまた例外でなく。別 に大きな意味を持った出 来事ではないけれどはる か遠くのほうで何かの音 がしたような気がした。 夜空の高速道路 いくら走っても見える景 色は変わらない。だって 星が示す不吉へ向かわな い限り元の場所へ戻され てしまうのだから。それ から高く跳びすぎると頭 の上のトゲが危ないよ。 草の精との戯れ 草原の葉っぱをそっとな でると体がくるくるっと 舞い上がってまた離れた ところにくるくるっと舞 い降りる。やがて時が経 ち空が明るくなると共に どこかに消えてしまう。 冥府への案内船 船長ならいないよ。いる のは剣と盾を持った不死 身の骸骨だけ。心配なさ らないであなたもすぐに そうなるのですよ。ああ イベントが終わるまで船 からは降ろしませんよ。 (2010/6/7 あなたを誘わない世界)