第一楽章 月明かりに照らされた葉っぱの合間を吹 き抜けるそよ風は思い出の場所への案内 人―あなたは私をどこへ連れていくの? リンプンを七色に輝かせて花から花へと 飛び回る蝶たちは夏への扉の向こうの見 張り番―あなたは私を来てはいけない。 そしてそよ風に花をそっと舞い散らせた 桜たちはまた春の終わりを告げる無言― 私はあなたを出会えて本当によかった。 第二楽章 果てしなく続く夜空の問いが突き刺す私。 私に迷うは川をなでる草原に循環する風。 私に知らぬは夜空の背景に紛れて輝く蝶。 それでも木霊たちと戯れながら眠りたい。 第三楽章 キャベツに詰まった怨念は誰が呪ったもの。 キウイフルーツを開けばそれは異国への扉。 人参の硬くて冷たいはあなたを拒んでいる。 第四楽章 闇から生まれて闇へと誘い闇の底へと消えた訪問者それは妖魔。 妖魔に憑かれればすなわち妖魔となり私もまた妖魔の歌を歌う。 春の夜のそよ風に乗って花から花へと新しい世界へ旅立とうよ。 (2010/5/29 妖魔の歌)