W(x)と名付けた多項式


αを1の原始k乗根とする。αの最小多項式の次数はφ(k)である。
一般に適当なm個の元からなる集合A (1∈A)をうまくとって、
β=Σα^d [d∈A] の最小多項式W(x)の次数がφ(k)/m になる
(つまり共役がm個ずつ重複しているような状況)を作ることを考える。
(例えば前節のk=12に対してβ=α+α^5とおいた例があてはまる。)

共役がm個ずつ重複してφ(k)/m (=nとおく)種類あるということは、
σ_c(β) [c∈B] が全部異なるようなn個の元を持つ集合Bがとれる。

集合Aと集合Bの関係は深い。顕著な例を挙げてみる。
k=13, A=[1,3,9] に対して B=[1,5,8,12] がとれる。
k=13, A=[1,5,8,12] に対して B=[1,3,9] がとれる。
ずばり直積集合{ab|a∈A,b∈B}が13を法とする12種類の剰余類を網羅する関係である。

このような状況を作るには、Aはkを法とする既約剰余類の部分群にすれば良い。
(つまりa,b∈A ならば ab∈A が成り立つようにする)
kが素数の時は、このような集合はd1.htmlを使って構成できる。
N=13で表を作成し、周期が3あるいは4となっている行を探せば上記のAを得る。

k,A,Bを適切に設定したならばW(x)をより明示的に書くことができる:
W(x)=Π(x-σ_c(β)) [c∈B] = Π{x-Σ(α^(cd))[d∈A]} [c∈B]
今までの議論から、これが有理係数多項式になることが分かる。

実際にW(x)を求めるための基本対称式を手計算を、
k=13, A=[1,5,8,12] に対して紹介してみようと思う。
β1=β=α+α^5+α^8+α^12
β2=σ_3(β)=α^3+α^2+α^10+α^11
β3=σ_9(β)=α^9+α^6+α^7+α^4

β1+β2+β3 = -1 はすぐ分かる。
2次、3次の基本対称式が面倒。
項の総数と、α^13=1 が現れる回数を数える方針でやってみる。

β1β2+β2β3+β3β1 においては項の総数は 4*4*3 = 48項
α^13が現れる組み合わせはない。
αの1乗から12乗が4回ずつ現れていると考えられる。よって値は-4。

β1β2β3 においては項の総数は 4*4*4 = 64項
(β2β3)においてα^12が現れる項はα^3α^9だけである。
ということは、β1(β2β3) においてα^13が現れるのは
αα^12, α^5α^8, α^8α^5, α^12α が1個ずつと考えられる。
残りの60項は、α^12までが5回ずつと考えられる。総合して値は-1

以上からW(x) = x^3+x^2-4x+1 を求めることができた。
実用的にはコンピュータを使えば良い。以下のコマンドで得られる。
factor(resultant(y-(x+x^5+x^8+x^12),(x^13-1)/(x-1),x))

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