有限体での共役


有限体F_(p^q) [この表記ではpは素数]には著しい性質がある:
「x^p が xの共役を与える」
q=2の場合はd1.htmlで 常に(a+b√q)^N≡a-b√q が確認できると思う。

σ(x)=x^p は自己同型写像になっている。
すなわち、σ(y+z)=σ(y)+σ(z), σ(yz)=σ(y)σ(z) を満たす。
(y+z)^p の項のうち y^p+z^p 以外は係数がpの倍数となり、
よって有限体F_(p^q)では0になるからである。

そういうわけで σ(f(x))=f(σ(x)) が成り立つので、
f(x)=0ならばf(σ(x))=0も成り立つことが言えるのである。
しかもこの写像を繰り返すことで共役がすべて与えられることが説明される;

☆命題☆
a[0]=a∈F_(p^q), a[i+1]=(a[i])^p に対して
a[k]=a[0] ならば a∈F_(p^k) である。
逆に、a∈F_(p^q) を満たす最小のqをkとすると
a[0]=a[k]であるが a[0],a[1],...,a[k-1] はすべて異なる。

(概略)
x=aは x^(p^k)=x を満たす。a≠0 なら x^(p^k-1)-1=0 を満たす。
前節で F*_25の元が x^24-1=0 を満たすことを見たように、
一般に F*_(p^k)の元は x^(p^k-1)-1=0 の解集合と一致する。
後半については、kより短い周期があれば前半の結果により
それが a∈F_(p^q)を満たすより小さいqになるだろう。

[例]
F_5 の多項式 f(x)=x^4-x^2+1 の根αについて考える。
a[0]=α, a[1]=α^5≠α, a[2]=α^25=αが成り立つ。(*1)
よって α∈F_25 であることが分かる。
そしてα^5がαの共役になっていることが分かる。
α^3∈F_5 であることも分かる。なぜなら(α^3)^5 = α^3

しかしx^4-x^2+1=0には解が4つある。
1つの解をαとした時にα^5,α^7,α^11が残りの解であることは実数の時と変わらない。
どうなっているか、具体的に明示してしまうと、
例えば α=1+√2, α^5=1-√2, α^7=-1-√2, α^11=-1+√2 (*2)
d1.htmlで(A,B,q)=(1,1,2), N=5とすれば見える)

(*1) α^12=1を使った。なぜなら;F_5 の多項式だとしても、
 f(x)=x^4-x^2+1 が (x^12-1) の因数であることは変わらない。
(*2) これの得かたについて。前節で、A=2,B=1 とすると表が埋まることを紹介した。
 各元が(2+√2)^k の形で表現できて、k=24 のときに1になるわけだから、
 k=2,10,14,22 の所を見れば(12倍して初めて24の倍数になる整数である)
「12乗で初めて1になる元」を得られる。その1つをαと明示することができる。

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