約数分布が同じ多項式


ここでは、多項式の係数は整数に限らない有理数範囲とする。
f(x)=0を最高次係数が1である既約多項式とする。
f(x)=0の解をαとする。解の多項式β=a(α)を考える。
βの最小多項式を考えることができる。それをg(x)とする。

ちょっとややこしい。
例えばf(x)=x^3-3x+1=0の解αに対して、
β=b(α)=-7α^2+3α+26という数を考えて、
βを解とする方程式を考える。
それはg(x)=x^3-36x^2+195x+1619=0

☆主張☆
(1) g(x)の次数はf(x)の次数の約数である

(2) g(b(x))はf(x)を因数にもつ。言いかえると、
 f(x)がpで割り切れる ⇒ y=b(x)とすればg(y)もpで割り切れる

(3) g(y)とf(x)の次数が等しい時、α=b(β)とも表せる。従って、
 f(x)がpで割り切れるxが有る ⇔ g(y)がpで割り切れるyが有る

#ここでは(2),(3)に現れるpは素数に限らなくても良い。
次節の合同式への読み変えの考え方を使うと、
 g(b(α))=0 ⇔ g(b(a))≡0 (mod f(a)) という話である。

[証明]
(1)共役の考えを使う。f(x)をn次とする。解をα{0},α{1},...α{n-1}とする。

(αの多項式)の共役=(αの共役)の多項式 であることに注意する。
b(α{0})の共役は、b(α{1}),b(α{2}),...b(α{n-1})に一致する。
すなわちこれらはすべてg(x)の解である。
g(x)の次数がf(x)と異なることは、b(α{k})達に重複があることを意味する。

ここで、H(x)=(x-b(α{0}))*(x-b(α{1}))*...(x-b(α{n-1}))は有理多項式となる。
式がα{k}の対称式であり、α{k}の基本対称式はf(x)の係数だからである。
最小多項式の定義から、H(x)はg(x)で割り切れる。
割ったものH(x)/g(x)が定数でなければ、繰り返しg(x)で割り切れる。

もしg(x)の次数がH(x)の次数の約数でなければ、中途半端に残る。
つまりb(α{k})を解とする、g(x)より次数が低い有理多項式ができてしまう。
それだとg(x)の定義に矛盾するので、g(x)の次数はH(x)の次数=nの約数である。


(2) g(y)にy=a(x)を代入展開した多項式をG(x)とする。
 g(y)の解はβ=a(α)であったから、x=αのときG(x)=0である。
 f(x)はαの最小多項式であるからG(x)はf(x)で割り切れる。

(3) αの有理式はαのn-1次以下の多項式で表される ということを使う。
 β=αの多項式、β^2=αの多項式、... β^(n-1)=αの多項式 と書ける。
これに1=1を加えたn個の式を1,α,α^2,...α^(n-1)を変数とみなして
1次連立方程式を解くようにすればαをβの多項式で表すことができる。
(n個の式は線形独立である。さもなければβの最小多項式がn-1次以下になる。)
従って(2)をf,gを逆にして適用すれば良い。

#f(x)=x^3-3x+1, β=b(α)=-7α^2+3α+26 について考察した。
 βを解とする方程式は g(x)=x^3-36x^2+195x+1619 となる。
#g(b(x))=-(x^3-3x+1)(343x^3-441x^2-840x+71) は確かにf(x)を因数にもつ。

#f(3)=19であるから g(x)が19で割り切れるxが存在する。
 b(3)=-28なので x≡-28(mod 19)とすれば、実際 g(10)=3*17*19

#逆にこれにより f(x)が17で割り切れるxが存在するはずである。
 α=(-7β^2+208β-382)/757 という関係が得られるので、
 この式でβ=10とおくとα=998/757≡12/9≡4/3≡7 (mod 17)
 実際、f(7)=17*19。分数で代入しても確かに f(4/3)=-17/27

#実はf(x)はk=9,A={1,8}におけるW(x)というやつで、
 4.3節で判明するのだが、その素因数は3と9N±1型に限られる。
 従ってg(x)の素因数も3と9N±1に限られることになる。
 4.4 総括的な主張の一例である。

#分母の757の扱いは不明...
 目次 inserted by FC2 system