もう1つの闇 あとがき
桜の箱庭から4年も経っていることに気がつく。本作品をそれと比べてみると、
多少意図したように人物の気配がほとんど登場しないところは共通しているが、
なんというか桜の箱庭のほうが"温かみ"があるように感じられると思う。
実際の所、色合いの選択において暗い色を多用することを心がけたりした。
それは、あふれる寂寥感と場違いな諧謔を込めたつもりだったから。
そしてもしそのようなものを感じ取ってもらえたのなら、嬉しく思う。
(場違いな諧謔を込めた意図は、それを入れないと深刻すぎるから。)
もう1つ感じることには、絵が雑になったなという印象がある。
投げやりな気持ちが現れているのかもしれない。
あるいは、何か怨念のような気持ちを主張したかったのかもしれない。
4年も経てば考えにいろいろな変化があったことだろう。
しかしこのような創作をする時間が私にとって最も大切な時間だ
と感じる気持ちはおそらく変わっていないし、今後も変わらないと思う。
内容のちょっとした解説
パロディ:
・結晶アイテムの説明文「分化しきれなかった」
世界樹の迷宮のドロップアイテム「〜の結晶」の説明文
・「扉は堅く閉ざされている」
幻霧の塔と剣の掟のメッセージ(他にもありがちだが)
・「〜への扉」
小説「夏への扉」
・「あなたに天の恵みがありますように」
アルカンのエスキス第38曲のタイトル
オリジナル(のつもり):
・「びゅううん」
母音を連続させることで抑揚のようなものを表現できる気がした。
・館への扉を開けた時の「扉は、開かれた」
闇の塔に入って下の方をクリックした時の「扉は、閉ざされた」
ひそかな対比をした。このような対比は音楽では大事だと思う。
・分化しきれなかった「怨念、幻想、信仰、やさしさ」
テーマ。私が大切にしているものでもある。(え?)
・[祈る]
当初はすべてのマップでこのコマンドを表示させることも考えたが
何かを期待して祈ることはできれば欲しくないと思い、やめた。
「祈らせてしまったならごめん」というメッセージにもそれを込めた。
その他世界観
幽霊は、あふれ出る寂寥感から容易に連想されてしまうものだと思う。
ついついホラー系に向かいがちになることもあったが、
ホラーを描きたいわけではないので過度にならないように心がけた。
タイトルの「もう1つの闇」に込められた意味は実ははっきりしない。
白い闇という逆説的な色を用意してみたが、解釈は特には用意していない。