1.1 x^kの周期と原始根


10^kを7で割ったあまりは周期6で、3,2,6,4,5,1と循環する。
10^kを13で割った余りも周期6で、10,9,12,3,4,1と循環する。
これは10進法において、1/7や1/13の最短循環節が長さ=6に反映される。
d.1 スクリプトでちょっと遊べると思う。

この節では次の2つのことを主張する。

☆主張1☆
 xのk乗をpで割った余りは、遅くともk=φ(p)の時、1になる。(フェルマーの小定理)
 すなわちφ(p)は(最短周期ではないかもしれないが)必ず周期になる。
 「最短周期はφ(p)の約数でなければならない」と言いかえることもできる。

☆主張2☆
 pが素数のとき、xをうまく選べばk=φ(p)=p-1の時初めてx^k≡1(mod p)になる。
 すなわちあるxについて、x^kの値は、p-1が最短周期となる。
#このようなxをmod pにおける「原始根」とか呼ぶ。
#そのとき、x^kはp-1個の全部の剰余類を巡回網羅する。

系:pが素数で、kがφ(p)の約数とする。x^k≡1となるxはk個ある。
(∵p=7では、原始根のべき乗列 3,2,6,4,5,1のうち2,4,6番目が3乗して1になる。
 同様にして、一般には原始根のべき乗列のφ(p)/kの倍数番目がk乗して1になる。)

[主張1の説明]
群論のラグランジュの定理の議論による。
・例えば、x^kを7で割ったあまりを考える。xは1,2,3,4,5,6のどれかである。
 xを掛けて言って今まで同じものが現れたら反復するから周期は6以内である。

・これだけでは周期が6の約数とは分からない。仮にxを4回掛けたら元に戻るとする。
 すなわちx≠1,x^2≠1,x^3≠1,x^4≡1 (mod 7)と仮定する。
 x,x^2,x^3,x^4≡1 は異なる4つの数である。よってここに使われない数が2つある。
 それをcとする。cx,cx^2,cx^3,cx^4≡c も同様に4つの異なる数となる。
 これは先の4つの数と全部ばらばらのはずである。しかし8種類もないから矛盾。
(例えばx^2≡cx^3とすると両辺にxを掛けてx^3≡c,これはcの定義に矛盾)

・xをn回掛けたら元に戻るその周期nが6の約数でなければ同様のことが起きる

[主張2の説明]
a.1 合同式の性質2.1 円分多項式を使うと分かりやすいと思う。
 p=7を例に見る。フェルマーの小定理より、x^6-1≡0 (mod 7)は解を6個持つ。
 x^6-1=Φ[1](x)*Φ[2](x)*Φ[3](x)*Φ[6](x)に注意する。
 Φk(x)≡0はφ(k)次式で、高々φ(k)個の解しか持たない。
(∵6=φ(1)+φ(2)+φ(3)+φ(6)。一般に、Y=Σφ(y) [yはYの約数] である。)
 ということはフル活用しないといけない。
 つまり6の約数dに対してΦ[d](x)≡0はφ(d)個の解を持つ。
 しかも異なるdでは解は重複しない。
 Φ[6](x)≡0の解はx^6≡1を満たし、Φ1,Φ2,Φ3の時の解ではないからx^2≠1,x^3≠1

p=7とp=13で具体的に様子を見よう。

・p=7の時、x≡3とx≡5が「うまく選べば...」の要件を満たす原始根でる。
 x=3としたときにx^kのとる値を時計回りに並べると次のようになる。

このような図において1を0番目と数えることにすると
k番目の数≡3^kであるから指数法則により以下のようになる。
・k番目の数×j番目の数≡(k+j)番目の数
・k番目の数のj乗≡(k×j)番目の数 となる。

ということは、
k番目の数がm乗して初めて1になる ⇔ kをm倍すると初めて6の倍数になる
...と言いかえることができる。いくつかの数字について図と見比べられたい。
#10^kの様子は、3^kの様子と同じである。確かに6乗で初めて1になる。
(注) (3+7)^k≡3^k (mod 7)が成り立つからである。

また、次も成り立つ。
m乗するとk番目の数になる数がある ⇔ kはmの倍数である
#m=2の場合は、2≡3^2≡4^2, 4≡2^2≡5^2, 1≡1^2≡6^2 (mod 7)である。
 奇数番目に並んでいる3,6,5については≡( )^2と書けない。

・p=13では2,6,7,11が原始根になる。a=2,a=6の図解を示した。残りは逆回りで得る。

数字の並び順は違うが、dの倍数番目にある数字はどちらの図でもdの倍数番目にある。
#1,3,9は4N番目にあるから3乗すると1になる。
 また、4乗してこれらの数字になる数字がある。
#1,8,12,5は3N番目にあるから4乗すると1になる。
 また、3乗してこれらの数字になる数字がある。 等...

このように、この図を書けばx^kの様子は分かったと言っていいだろう。

☆7の原始根による列132645...は見覚えがあるかもしれない。
#6桁の数abcdefが7で割り切れる ⇔ f+3e+2d+6c+4b+5aが7で割り切れる
∵10^kを7で割った余り=3^kを7で割った余り=132645...
#1/7=0.142857... の142857の大小の順番は132645と一致する。
∵なぜなら1桁ずつ繰り上がらせると
 10/7=1.426571...
 100/7=14.265714...
 で小数部分の分子が先と同様に1,3,2,6,4,5の順になるから。

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