合同方程式との関係


☆別の視点☆
αの最小多項式をf(x)とする。このとき、
αを含む等式P(α)=0を合同式P(a)≡0 (mod f(a))と読み変えることができる。
(∵x=αでP(x)=0となるから、f(x)の定義からP(x)がf(x)を因数に含む。)

#例えば3次の円分多項式x^2+x+1の解α=(-1+√-3)/2によって
 x^2+x+1=(x-α)(x-α^2) という等式が書ける。
 x^2+x+1≡(x-a)(x-a^2) (mod a^2+a+1) と読み変えられる。
#この式で a=3 とかすると
 x^2+x+1≡(x-3)(x-9) (mod 13) 等が確かに成り立つ。

☆後に導入するW(x)にこれを適用するとちょっと楽しい。
 例えばk=19,A={1,7,8,11,12,18}でのW(x)=x^3+x^2-6x-7=0 について、
 Φ[18](x)=x^18+x^17+x^16+x^15+...+x^3+x^2+x+1=0の解をαとすると、
W(x)={x-(α+α^7+α^8+α^11+α^12+α^18)}
 *{x-(α^2+α^3+α^5+α^14+α^16+α^17)}
 *{x-(α^4+α^6+α^9+α^10+α^13+α^15)}
である。ということは、合同式に読み替えてa=10とか代入すると、
x^3+x^2-6x-7≡(x-1000001100110000010)*(x-110100000000101100)
 *(x-1010011001010000) (mod 1111111111111111111) を得る。
#この0,1の列は10進法以外で読んでも成り立つことになる。
#ちなみに1が19個並んだ数は10進数においては素数と知られている。

別の応用として、方程式の解をなんというか部分的に解ければ、
代入によって合同方程式の解を得られるということになる。

・方程式 g(x)=x^4+52x^3-26x^2-12x+1=0 の解は、
コンピュータによれば-13±6√5±2√(85±-38√5) である。
・ということは√5の最小多項式f(x)=x^2-5によって、
g(-13±6a±2√(85±-38a))≡0 (mod f(a)) という風に読み変えることができる。

・例えばx^4+52x^3-26x^2-12x+1≡0 (mod 41) を解くこと考える。
x^2-5≡0 (mod 41)の解はx≡±13であることから、a=±13とおく。
g(-13±6*13±2√(3±3*13))≡0 (mod 41) が成り立つことになる。
これは形式的に√5≡±13と代入しているような操作である。

・そこで、±√(3±3*13)≡±√1,±√5≡±1,±13 をさらに代入すると、
x≡-17±2√1, -9±2√5≡26,22,17,6 となる。
実際、確かにg(x)≡(x-26)(x-22)(x-17)(x-6) (mod 41)である。

☆(mod 41)では解があったが、一般の(mod p)で有理解を持つとは限らない。
例えばp=5N±2型素数ではx^2-5≡0(mod p)が有理解を持たず、√5が有理数に直せない。
pがどのような時に√(85±-38√5)全体が有理数にできるかは一見自明ではないが、
実は4.4 総括的な主張からp=5,20N±1型素数、ということが判明するのである。

#k=20,A={1,19},W(x)=x^4-5x^2+5の解をβとすると、g(x)の解は6β^3-12β^2-8β+17 と表される。

 目次 inserted by FC2 system